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Sweat (汗) アリス編
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どうやら、ゾンビは電車に轢かれて死亡した人達なのだろうと、モートは考えた。その証拠にここセントラル駅の近くの共同墓地には、大きな穴が空いた中身のない墓が散乱していた。
ゾンビは墓からも来る。
至って単純なことだった。
だが、モートはそのことに気がついていたのだ。
腐臭で満杯になった車内で、モートは車窓の方へ一時首を向けた。血の雨によって、真っ赤になりだしたそれぞれの車窓を眺めて、少し焦った銀の大鎌を握り直した。
モートは、瞬間的に上方を真横に狩った。五体のゾンビの首が吹っ飛ぶ。
それからモートはそのまま銀の大鎌を斜めに降ろし、三体のゾンビの腹を右肩から裂いていった。
溢れかえるゾンビも徐々にその数が減って来ていた。
モートは額に浮いた汗を片腕で拭うと、このローカル線の運転手に手を振った。今までモートとオーゼムがこっそりと電車を停車しないでくれとお願いしていたのだ。
電車が止まれば、停車した場所の周囲にゾンビが溢れてしまうからだ。
自由を得たゾンビはやはり生命には危険だと思えた。
と、車内の連結部分のドアが開閉の音を発した。
モートが音のした方へ首を向ける。
ドアから乗客である男が一人だけ現れた。こちらに普通に歩いてくるのだ。ドアの向こう側にも乗客がたくさんいるのだが、皆うずくまって微動だにしていなかった。
不審に思ったモートは注意深くその男を観察する。
連結部分(つなぎ目)からは遥か後方にオーゼムの何色にも見えない魂が垣間見える。そこには、大切なアリスがいるのだ。
車窓から外は、種々雑多な建造物を真っ赤に彩る取り分けて激しい血の雨が降り続けていた。
車窓から見える景色はどこも真っ赤だ。
男はごく普通のサラリーマンだった。メガネを掛けてこちらにネクタイを緩めながら丁寧なお辞儀をしてきた。だが、微かにその男からは腐敗臭がした。
魂の色はこの上なく黒。
ゾンビは墓からも来る。
至って単純なことだった。
だが、モートはそのことに気がついていたのだ。
腐臭で満杯になった車内で、モートは車窓の方へ一時首を向けた。血の雨によって、真っ赤になりだしたそれぞれの車窓を眺めて、少し焦った銀の大鎌を握り直した。
モートは、瞬間的に上方を真横に狩った。五体のゾンビの首が吹っ飛ぶ。
それからモートはそのまま銀の大鎌を斜めに降ろし、三体のゾンビの腹を右肩から裂いていった。
溢れかえるゾンビも徐々にその数が減って来ていた。
モートは額に浮いた汗を片腕で拭うと、このローカル線の運転手に手を振った。今までモートとオーゼムがこっそりと電車を停車しないでくれとお願いしていたのだ。
電車が止まれば、停車した場所の周囲にゾンビが溢れてしまうからだ。
自由を得たゾンビはやはり生命には危険だと思えた。
と、車内の連結部分のドアが開閉の音を発した。
モートが音のした方へ首を向ける。
ドアから乗客である男が一人だけ現れた。こちらに普通に歩いてくるのだ。ドアの向こう側にも乗客がたくさんいるのだが、皆うずくまって微動だにしていなかった。
不審に思ったモートは注意深くその男を観察する。
連結部分(つなぎ目)からは遥か後方にオーゼムの何色にも見えない魂が垣間見える。そこには、大切なアリスがいるのだ。
車窓から外は、種々雑多な建造物を真っ赤に彩る取り分けて激しい血の雨が降り続けていた。
車窓から見える景色はどこも真っ赤だ。
男はごく普通のサラリーマンだった。メガネを掛けてこちらにネクタイを緩めながら丁寧なお辞儀をしてきた。だが、微かにその男からは腐敗臭がした。
魂の色はこの上なく黒。
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