15 / 37
blood (出血) モート編
14
しおりを挟む
真っ赤に血で汚れたたくさんの自動車が隙間なく並んでいた。心底落胆したペルガモは、人々がいつの間にかこの道路をも埋め尽くす自動車をバリケードにしたのだろうと考えた。
ガシャンと窓ガラスが割れた。ペルガモは危うく外へと押し出されるところだった。人々が何故かこちらに一斉に動いているのだ。
人が波となって、ペルガモを襲う。
だが、左腕を強い力で窓の外へと引き寄せられた。
そのまま左腕を掴んだ手はペルガモを窓の外の自動車の天辺へと素早く導いた。
――――
モートはペルガモの左腕を離すと、血の雨の原因を探すと同時にマンホールの下から蠢くものを警戒した。周囲が腐臭で埋まる。血の雨が降り注ぐマンホールから這い出てきたそれは真っ赤なネズミや虫の死骸の塊だった。
モートは死骸の塊の中心に銀の大鎌を投げつける。
宙を回転する銀の大鎌は死骸の塊を中央から上下に切断した。
死骸の塊は上と下の二つに分離した。回転して戻ってきた銀の大鎌をモートはキャッチすると、素早く半分になった死骸の塊の両方を狩りこんでいく。
しばらく狩りこむと、死骸の塊がバラバラになった。
空から降る真っ赤な血で汚れた道路にネズミや虫の死骸が霧散すると、そのまま動かなくなってきた。
「ふう……」
モートは額の汗を拭った。
「もう、大丈夫よね……。助かったわ。ありがとう」
立ち並ぶ自動車の天辺にいるペルガモは可愛らしくお辞儀をして礼を言ってきた。
「もしかして、君の家は教会なのかい?」
「え? 違うわ」
「そうか……」
モートは考えた。
どうやら、守らなければならないのは、この少女たちなのだ。そして、ここウエストタウンで頻繁に事件が起きたのは、ただ単に数名の少女が住んでいただけだったのだのだろう。
何から?
そして、どうして?
少女を守らなければならないのかは、モートには皆目わからなかった。
「さあ、君の家まで送るよ」
「ありがとう……カッコよくて怖いお兄さん」
空から降る赤い水滴はいつの間にかピタリと止んでいた。
代わりにシンシンと真っ白な雪が地面に舞い降り積もっていく。
街の人々は次第に空を見上げ。
誰もが安堵の白い長い息を吐き始めた。
ガシャンと窓ガラスが割れた。ペルガモは危うく外へと押し出されるところだった。人々が何故かこちらに一斉に動いているのだ。
人が波となって、ペルガモを襲う。
だが、左腕を強い力で窓の外へと引き寄せられた。
そのまま左腕を掴んだ手はペルガモを窓の外の自動車の天辺へと素早く導いた。
――――
モートはペルガモの左腕を離すと、血の雨の原因を探すと同時にマンホールの下から蠢くものを警戒した。周囲が腐臭で埋まる。血の雨が降り注ぐマンホールから這い出てきたそれは真っ赤なネズミや虫の死骸の塊だった。
モートは死骸の塊の中心に銀の大鎌を投げつける。
宙を回転する銀の大鎌は死骸の塊を中央から上下に切断した。
死骸の塊は上と下の二つに分離した。回転して戻ってきた銀の大鎌をモートはキャッチすると、素早く半分になった死骸の塊の両方を狩りこんでいく。
しばらく狩りこむと、死骸の塊がバラバラになった。
空から降る真っ赤な血で汚れた道路にネズミや虫の死骸が霧散すると、そのまま動かなくなってきた。
「ふう……」
モートは額の汗を拭った。
「もう、大丈夫よね……。助かったわ。ありがとう」
立ち並ぶ自動車の天辺にいるペルガモは可愛らしくお辞儀をして礼を言ってきた。
「もしかして、君の家は教会なのかい?」
「え? 違うわ」
「そうか……」
モートは考えた。
どうやら、守らなければならないのは、この少女たちなのだ。そして、ここウエストタウンで頻繁に事件が起きたのは、ただ単に数名の少女が住んでいただけだったのだのだろう。
何から?
そして、どうして?
少女を守らなければならないのかは、モートには皆目わからなかった。
「さあ、君の家まで送るよ」
「ありがとう……カッコよくて怖いお兄さん」
空から降る赤い水滴はいつの間にかピタリと止んでいた。
代わりにシンシンと真っ白な雪が地面に舞い降り積もっていく。
街の人々は次第に空を見上げ。
誰もが安堵の白い長い息を吐き始めた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
アポリアの林
千年砂漠
ホラー
中学三年生の久住晴彦は学校でのイジメに耐えかねて家出し、プロフィール完全未公開の小説家の羽崎薫に保護された。
しかし羽崎の家で一ヶ月過した後家に戻った晴彦は重大な事件を起こしてしまう。
晴彦の事件を捜査する井川達夫と小宮俊介は、晴彦を保護した羽崎に滞在中の晴彦の話を聞きに行くが、特に不審な点はない。が、羽崎の家のある林の中で赤いワンピースの少女を見た小宮は、少女に示唆され夢で晴彦が事件を起こすまでの日々の追体験をするようになる。
羽崎の態度に引っかかる物を感じた井川は、晴彦のクラスメートで人の意識や感情が見える共感覚の持ち主の原田詩織の助けを得て小宮と共に、羽崎と少女の謎の解明へと乗り出す。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
夜を狩るもの 終末のディストピア seven grimoires
主道 学
ライト文芸
雪の街 ホワイト・シティのノブレス・オブリージュ美術館の一枚の絵画から一人の男が産まれた。
その男は昼間は大学生。夜は死神であった。何も知らない盲目的だった人生に、ある日。大切な恋人が現れた。そんな男に天使と名乗る男が現れ人類はもうすぐ滅びる運命にあると知る。
終末を阻止するためには、その日がくるまでに七つの大罪に関わるものを全て狩ること。
大切な恋人のため死神は罪人を狩る。
人類の終末を囁く街での物語。
注)グロ要素・ホラー要素が少しあります汗
産業革命後の空想世界での物語です。
表紙にはフリー素材をお借りしました。ありがとうございます。
主に かっこいいお兄さんメーカー様
街の女の子メーカー様
感謝感激ですm(__)m
闇に蠢く
野村勇輔(ノムラユーリ)
ホラー
関わると行方不明になると噂される喪服の女(少女)に関わってしまった相原奈央と相原響紀。
響紀は女の手にかかり、命を落とす。
さらに奈央も狙われて……
イラスト:ミコトカエ(@takoharamint)様
※無断転載等不可

しちせき 14.4光年の軌跡
主道 学
SF
学校帰りの寄り道で、商店街へ向かった梶野 光太郎は、そこで街角にある駄菓子屋のガチャを引いた。
見事不思議なチケット「太陽系リゾート地。宇宙ホテル(宇宙ステーション・ミルキーウェイ)」の当たりを引く。
同時刻。
世界各地でオーロラが見えるという怪奇現象が起きていた。
不吉な前兆を前に、光太郎たちは宇宙ステーション・ミルキーウェイへ宿泊するが……。
度々改稿作業加筆修正をします汗 本当にすみません汗
お暇潰し程度にお読みくださいませ!
赤い部屋
山根利広
ホラー
YouTubeの動画広告の中に、「決してスキップしてはいけない」広告があるという。
真っ赤な背景に「あなたは好きですか?」と書かれたその広告をスキップすると、死ぬと言われている。
東京都内のある高校でも、「赤い部屋」の噂がひとり歩きしていた。
そんな中、2年生の天根凛花は「赤い部屋」の内容が自分のみた夢の内容そっくりであることに気づく。
が、クラスメイトの黒河内莉子は、噂話を一蹴し、誰かの作り話だと言う。
だが、「呪い」は実在した。
「赤い部屋」の手によって残酷な死に方をする犠牲者が、続々現れる。
凛花と莉子は、死の連鎖に歯止めをかけるため、「解決策」を見出そうとする。
そんな中、凛花のスマートフォンにも「あなたは好きですか?」という広告が表示されてしまう。
「赤い部屋」から逃れる方法はあるのか?
誰がこの「呪い」を生み出したのか?
そして彼らはなぜ、呪われたのか?
徐々に明かされる「赤い部屋」の真相。
その先にふたりが見たものは——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる