夜を狩るもの 終末のディストピアⅡ meaning hidden

主道 学

文字の大きさ
上 下
5 / 37
Rain of blood (血の雨) モート編

04

しおりを挟む
 急に配管だらけの空間の脇の排水路から赤い水が流れてきた。
 モートは考えた。
 ここの上はトンネルだった。恐らく外は血の雨が降ってきているのだろう。

 天井のぶらりとしたライトが突然に破裂した。
 奥の方から多くの黒い魂がゆっくりとこちらに向かってきていた……。

 モートは落ち着いて銀の大鎌を黒のロングコートから再び取り出した。構え直すと、空間の片隅に隠しておいた少女がなにやらビクビクと動きだした。

 少々、焦り気味になったモートは、奥へと走った。

 それはゾンビ……アンデッドの群れだった。ひたひたとこちらに歩いてきている。何故、ゾンビだとわかるかというと、全て手術の後があるからだ。あるものは、右肩から胸にかけて普通なら致命傷になるはずのメスによる裂傷が見える。また、あるものは、そのまま胸が大きく開かれていた。

 ゾンビの群れの大きく裂けた胸は、完全に停止した心臓が見える。

 どこかから大きな銃声が木霊した。
 モートの身体を幾つかの弾丸が貫通していった。
 
 まず、モートはゾンビの群れへと走った。
  
 そのままど真ん中に突っ込むと、腐臭漂う空間でモートは次々とゾンビの首を素早く狩り続ける。その間。銃声は鳴り続けていた。

 だが、弾丸はモートに決して当たることはない。
 倒れたゾンビはびくびくと痙攣している。

 ゾンビは動きが緩慢で首をたやすく狩りやすいはずなのだが、何故かモートは訝しんだ。黒のロングコートが徐々にだが濁った血液の汚れで、そのせいかひどく重くなってきているのだ。

 身体が重くなったモートは危険を察知してゾンビの群れから少し距離を置いた。

 その中心に銀の大鎌を思いっきり投げつける。

 高速に回転した銀の大鎌はアンデッドの群れの複数の首を正確に狩って行った。濁った血液が大量に地面にばらまかれ、腐った水たまりができる。

 銀の大鎌がモートの手に戻る頃には、首を狩られたゾンビの群れはその場に音を立てて崩れ落ちていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

岡●県にある●●村の●●に関する話

ちょこち。
ホラー
岡●県の、とある村について少しでも情報や、知ってる事がある方が居れば、何卒、教えて頂けると幸いです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

闇に蠢く

野村勇輔(ノムラユーリ)
ホラー
 関わると行方不明になると噂される喪服の女(少女)に関わってしまった相原奈央と相原響紀。  響紀は女の手にかかり、命を落とす。  さらに奈央も狙われて…… イラスト:ミコトカエ(@takoharamint)様 ※無断転載等不可

怪物どもが蠢く島

湖城マコト
ホラー
大学生の綿上黎一は謎の組織に拉致され、絶海の孤島でのデスゲームに参加させられる。 クリア条件は至ってシンプル。この島で二十四時間生き残ることのみ。しかしこの島には、組織が放った大量のゾンビが蠢いていた。 黎一ら十七名の参加者は果たして、このデスゲームをクリアすることが出来るのか? 次第に明らかになっていく参加者達の秘密。この島で蠢く怪物は、決してゾンビだけではない。

夜を狩るもの 終末のディストピア seven grimoires 

主道 学
ライト文芸
雪の街 ホワイト・シティのノブレス・オブリージュ美術館の一枚の絵画から一人の男が産まれた。 その男は昼間は大学生。夜は死神であった。何も知らない盲目的だった人生に、ある日。大切な恋人が現れた。そんな男に天使と名乗る男が現れ人類はもうすぐ滅びる運命にあると知る。 終末を阻止するためには、その日がくるまでに七つの大罪に関わるものを全て狩ること。 大切な恋人のため死神は罪人を狩る。 人類の終末を囁く街での物語。 注)グロ要素・ホラー要素が少しあります汗   産業革命後の空想世界での物語です。 表紙にはフリー素材をお借りしました。ありがとうございます。 主に かっこいいお兄さんメーカー様  街の女の子メーカー様  感謝感激ですm(__)m

歩きスマホ

宮田 歩
ホラー
イヤホンしながらの歩きスマホで車に轢かれて亡くなった美咲。あの世で三途の橋を渡ろうとした時、通行料の「六文銭」をモバイルSuicaで支払える現実に——。

処理中です...