底辺召喚士の俺が召喚するのは何故かSSSランクばかりなんだが〜トンビが鷹を生みまくる物語〜

第十一章

下戸

「……あ、飼い主様。トランプの決着は着いたの？」

「あぁ、何とか勝てたよ」

「あんな運だけで威張られても困りますね、マイマスター」

　ウィルに遅れて、エルネ、レフィー、リリが食事のためにやって来る。
　既に座っていたネフィルの隣へ。
　こうして、円卓を囲むようにウィルたちは座った。

「ご飯は今用意してもらってるみたい……すごく楽しみ」

「期待しておいて良いと思うぞ。ここにはかなり腕のいい料理人がおるからな」

「レレーナさんだよね！　色んなスイーツも作れるし、リリも憧れちゃうなぁー」

　料理が出されるまでの間。
　珍しく正面で顔を合わせての会話になる。

　既に魔王城の料理のクオリティを知っているリリたちは、待ちきれないようにかつて味わった感覚を思い出していた。

　逆にそれを知らないネフィルは、味への期待からかゴクリと唾を飲み込む。

「あ！　皆さん！　もう来ちゃってたんですか!?」

「少し早かったか？　別に気にしなくてもいいぞ、ソフィア」

　いつの間にかテーブルに揃っていたウィルたちを発見するソフィア。
　慌てて料理を持ってこようとするが、そこまで気を使わせるようなウィルではない。

「いえいえ！　ウィルさんたちを待たせるのは申し訳がないです！」

「そんなこと一々気にせんでいいぞ。ほれ、そこに座るのじゃ。儂の酒もここで飲めばいいじゃろう」

「は、はい！　エルネ先輩！」

　エルネが座るように促したら、ソフィアは人形のように座る。
　同じ魔王であるはずが、立場は飼い犬と飼い主のようだった。

　土産として貰ったエルネの酒も、まずは自分ではなくエルネのグラスに注ぐ。

「ソフィア、酒は得意か？」

「普段はあまり飲まないけど……大丈夫だと思います！　エルネ先輩！」

　ソフィアは、目をつむってグイッとグラス一杯分の酒を飲み干した。
　その酒はエルネを基準に作られており、酒にそこまで強くないソフィアからしたら、少しばかりキツい度数だ。

「どうじゃ、ソフィア？」

「お、おお美味しいです……」

　ソフィアは顔を赤くさせながら答える。
　種族の関係で酔いが回るのが早いのか――それとも度数が高すぎるのか。
　既に出来上がっている状態にまでなってしまった。

「お、おいエルネ。あまり無理に飲ませたら大変だぞ……」

「……そうかもしれんな。魔王というのは誰でも酒が得意かと思っておったが、どうやら個人差があるようじゃ」

「レレーナちゃーん！　おつまみ持ってきてー！」

「これは手遅れかもしれんのお」

「と、とりあえず水を持ってくる！」

　ウィルは、ソフィアの酔いを覚ませるため、急いで水を貰いに行くことになる。