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第二章
☆サキュバス召喚
しおりを挟む「お、ちっこいのが出てきたのじゃ」
「いや、何で裸なんだよ!?」
「かわいいですね、この子」
ウィルたちの目の前に現れたのは、一人の幼女だ。
辺りをキョロキョロと見回して、スっと立ち上がる。
「早く服を着せてやらないと!」
「慌ててみっともないの。流石の童貞力じゃ」
「う、うるさいやい……!」
簡単に童貞を見抜かれてしまったウィル。
童貞だということを聞かれて、裸の少女にも笑われてしまう。
本来なら裸の少女が恥ずかしがるべきなのだが、何故かウィルの方が恥ずかしい思いをしていた。
「童貞のお兄ちゃん! よろしくね!」
「ちょ、ちょっと待て! そんな不名誉な覚え方をするんじゃない! 俺の名前はウィルだ!」
「小さい男は嫌われますよ、マイマスター」
「……あれ? 何で俺の家なのにアウェーなの?」
ここにウィルの居場所はないらしい。
三人の美女に囲まれながら、この世の地獄を味わっていた。
「アウェーなのはいつもの事じゃろ。それより、この小娘の事を考えた方が良いと思うのじゃが?」
「……それもそうだ。お嬢ちゃん、名前は?」
「リリの名前はリリだよ! お兄ちゃんはウィルお兄ちゃんだよね?」
「よーしよし! リリちゃんはリリちゃんだね」
「うん! お兄ちゃん好き!」
「うんうん、俺もだよ!」
急激に縮まるウィルとリリの距離。
それは、あまりにも不自然なものだった。
「大変です! マイマスターが魅了にかかってます! しっかりしてください、マイマスター!」
そこで何かを悟ったレフィーは、ウィルの頬を引っぱたく。
ぶへっ――と、無様なリアクションを見せたウィルは、数秒後に意識を取り戻した。
「――はっ! 俺は一体何を……」
「モロに魅了にかかっておったぞ、ご主人様。その小娘はサキュバスじゃ」
「流石の童貞力ですね、マイマスター」
正気を取り戻したウィルは、自分が魅了されていたという事実を知る。
しかし、戻ってきたとしてもアウェーな現実は変わっていなかった。
「天使の仲間が欲しかったですけど、どうして魔族を召喚してしまうのですか……マイマスター」
「アッハハ、それがご主人様の面白い所じゃな」
「え? リリって天使の魔法陣から出てきたの? すごーい!」
「俺が正気を失っている間に、また立場が低くなってないか……?」
リリは、召喚されたばかりでありながら、既にパーティーに馴染んでいるようだ。
ウィルよりパーティー内での立場が上だと言っても過言ではない。
こうして、SSSランクのサキュバスが、ウィルたちのパーティーに加わった。
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