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一章

弍.惑

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「はっ。もうこんな時間だ!次のストーリーに間に合わない!」
 
時計を確認したルゥラが声を上げる。


「まったく、ヒロインは忙しいのぉ」

「主人公だから当たり前でしょ」

この子いないとストーリー展開しないよ??


「リリデアの出番もあるんだ!はやく行くぞ!」

手を掴んで走り出すルゥラ

「ぐぇっ!?」

「急げ!」


私の体……いや、リリデアの体?でもリリデアもある意味私の体か。とにかく、されるがままになっている


「音速で走るヒロインは嫌だ……」



そこから5分ほど走り続けると、どこから叫び声が聞こえた


「おっ、フラワーガーデン、ここだな」

ついた場所は、花咲き乱れる庭園

「はぁ、つ、ついた……?」


物陰からフラワーガーデンの方を伺うと、そこには鋭い尖った目のイケメンと、長い髪をゆるく結んだ爽やかイケメンがいた

周りには、キャッキャウフフな女子達


「あっちの目つきが悪い方がこの国の王子のランビアで、長い髪のやつがその幼馴染のシャーロット。まぁ、両方私らの仲間で転生者なんだけど」


あいつらもかよ……


「そんで、私は今からランビアにこのハンカチを渡しに行く。あいつがわざと落としたやつだ」

ポケットからハンカチを取り出す


「さっき間違えて使って濡れてるけど、ま、いっか」
「よくねぇよ」

きたねぇな


「リリデアは、私が渡しに行く途中でわざとぶつかってくるんだ。私はこけて、ランビアに助けられる。あいつに助けられるとか死ぬほど癪だけど、助けられる。本当に切腹したいほど嫌だけど、助けられる。手を握られて、助けられる。あ、待って吐きそう」

「……切実」

ここまでくると、ランビアが可哀想になってくる


「じゃ、言ってくるわ!」












ぱっと表に出て、さりげなくアイコンタクトをする3人

そしてすぐさま視線を外し、ハンカチを胸に握りしめたルゥラはきょろきょろと辺りを見回す



……いや、すぐ目の前にいるからキョロキョロせんでも分かるだろ

シチュエーションなんだろうけどさ




「あー!リリデア様!」

「え」

「もうっ!探しましたよぉ!」


突如現れた2人組


失礼だけど、いかにもなモブ顔だな

今世の自分の顔が綺麗すぎてそう思えるのかもしれないが


「ルゥラのやつ、またランビア様の周りをうろうろと……」

「あのハンカチを渡そうと探してるに違いありませんよ!」


探さんでも見えるって

目の前いるじゃん。ねぇ!!!



「「行きましょ!!」」

「あ、うん……」

ばっ、とルゥラの前に立ち塞がる




えっと、うーん。なんて言えばいいんだろ



「ど平民がこんなところにいますわぁ!」

「まぁ!不釣り合いにも程がありましってよ!!」



うん。なんて言うか……


































































側近の雑魚感が拭えません(泣)
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