8 / 54
第1章〔地球編〕
03.キアトの能力
しおりを挟む
「下がってろ」
キアトがまゆとひろなに自分の後ろに行くように、右手で合図した。こんな時になんだけど、まゆは香川まゆだよ。
「なんで、活動しなくなったWEGSが今、私達の前で動いているの?」
まゆの大親友の神代ひろなが動揺を見せる。まゆだって驚いているよ。だって、生き物で言ったらもう死んでいるんだよ。
それになんで急に動き始めたの?
「旧式のWEGS反応を感じるよ」
「ヘブンズガールの言うとおりだ。おラァの人工知能からも合計丁度五十のWEGSが活動を再開した」
まゆの相棒、ヘブンズガールとひろなの相棒のバージンロードが急に動き始めたWEGS達を分析した。
「よく見たらあちこちと破損箇所が見えるし、動きは鈍いね」
「例えるならゾンビだな」
ヘブンズガールとバージンロードが廻りのWEGS達の動きを観察しながら発言する。
「そんなふうに言うんじゃねぇ!バカ馬ども!」
!
突然、キアトが天馬モデルのヘブンズガール一角白馬モデルのバージンロードに向かって怒った。
「誰がバカ馬だ!キアトキアホ!」「そうだ!キアトのおたんこなす!」
「うるせぇぞ!下らねぇやり取りしてる間にアイツらが動き始めたぞ」
キアトは気を引き締め、廻りを見渡す。バージンロードはひろなを守るように、ヘブンズガールもまゆを守るように身構えた。
「別に襲ってくると決まった訳じゃねぇだろ?身構えんじゃねぇよ」
キアトはまゆとひろなのWEGSにそう言うと、無防備に歩きはじめた。
「ちょっと、キアト……」
ひろなが不安な表情でキアトに声をかける。まゆだって不安だし、怖いんだよ。
五十のWEGSはぎこちない動きでキアトに接近してくる。五十のWEGSはそれぞれ破損箇所が目立っており、五体満足なWEGSは一体もいない。それでいて動くのは、キアトに怒られるかもしれないけど正直、不気味で怖い。
「よっ!喋れるか?お前ら!」
キアトがいきなり五十体のWEGSの誰にでもなく質問した。
確かにそう言われば、五十体のWEGSのどれもが言葉を発してない。喋らないからこの静寂も不気味で怖いんだ。
「喋れないか……」
キアトは寂しそうな表情を見せると、すぐに笑顔をWEGS達に見せた。
「なに、話せなくても大丈夫だ!オレはキアト!なんでか解んねぇけどお前らよく生き返ったな!」
キアトはそう言いながら、一番近くに来たWEGSに触れようと左手を差しのべた。
一番近くにいたWEGSの形態は犬のような形のWEGSで顔が半分無く、中の構造がまる見えで時々火花が飛び散っている。
キアトがそのWEGSに触れようとした瞬間。
「痛っ!」
いきなりキアトは左手を引戻し、苦痛の表情を見せた。見ればキアトの左腕が突然、流血したんだ。
「「キアトー!!」」
まゆとひろなの叫び声が同時にハモった。犬のようなWEGSの右前脚がキアトをいきなり攻撃したのがすぐに解った。
その行動が合図だったように何十体のWEGSが一斉に、キアトに襲いかかりはじめた。
「キアト!」
「ダメだ!まゆ!僕らも危ないよ!」
まゆがキアトの方に近付こうとすると、ヘブンズガールがまゆを止めた。まゆと同じような行動をしようとしたひろなもバージンロードに止まられていた。
「僕らも囲まれてしまったよ」
ヘブンズガールが言うと、まゆとひろな達の廻りに残りのWEGS達がいた。
キアトの姿はWEGS達に覆い被され、安否がわからない。あの光景はまゆがあっちの世界に行き、映画館で観た、人に群がったゾンビそのものにしか見えない。
正直、キアトはもうダメだと思ったまゆは知らないうちに涙を流してたよ。
でも……。
「うりゃぁあああぁぁ!!」
気合いの叫び声が拡がると共に、キアトに襲いかかったWEGS達がいきなり空中へと放り投げられた。
「キアト!!」
ひろながキアトの名前を呼ぶとキアトは左腕を押さえながら立っていた。
「そうか、キアトにはあの能力があったんだ!」
まゆは泣きながらも安堵しながら、キアトは自分の能力を使って自らを守ったんだ。忘れていたよ。
キアトの能力、ズバリ、磁気能力!
元々、鋼鉄がメインのWEGSは大きな磁石のような物。キアトは体内から磁気を自由に操る能力を持っていて、磁気能力を使ってWEGS達を弾き飛ばしたんだ。
キアトは能力を使って鉄屑をボードのようにし、大地の磁力と反発させながら宙に浮くこともできるんだ。
キアトは近くに落ちている鉄板を拾い、それをボード代わりにまゆとひろなの元へと向かってまゆ達を囲むWEGS達を一瞬で弾き飛ばしたよ。余りにも一瞬の出来事でまゆもひろなも呆然としちゃった。
やっぱりキアトはカッコいい!うん。まゆはキアトが大好きでたまらない。
まゆの目がハートになっていると、それに気づいたひろながまゆを見て膨れっ面している。ヤバいヤバい、ひろなに怒られちゃうよ。
「なんでお前ら攻撃してくんだよ!」
キアトが声を大にしながら怒る。
WEGS達がゆっくりとまゆ達に近付いて来る。ピンチには変わりないよね。どうしよう……
「仕方ねぇ……、動きを止める」
そう言うとキアトは両手をいきなり挙げた。その行為と共に、地面の砂が舞い上がり五十体のWEGS達に降り注いだ。
「砂鉄だ。悪いが動きを止めてもらった」
キアトはそう言うと、五十体のWEGS全体の動きが鈍くなり、その場から動けなくなった。
「砂鉄でWEGSの可動箇所を混じらせ動けなくするとは、アンポンタンのキアトにしては考えたね」
ひろながキアトに皮肉ぽく言うと、キアトは一瞬だけひろなを無表情に見つめた。そういえば、ひろなとキアトさっきまでケンカしてたんだった。なんかひろなの顔色が急に変わってく。
「うるせぇブスじゃないでしょ!」
どうやらひろなはキアトの心の声を聞いてしまったようね。
ひろなは人の思うことを感じてしまう読心能力の持ち主なんだ。
それはそうとなんとか危機的状況は回避したみたい。
「なんで急に動き始めたのかが謎だけどな」
バージンロードが金縛りのように動かなくなったWEGSを見回しながら疑問を言った。
キアトとひろなは揉めに揉めている。でも、すぐに揉め事は収まった。その原因は……
「一体だけ……」「……動いている」
キアトの言葉をひろなが継ぎ足す。まゆはキアトとひろなが見つめる先へと振り向いた。
そこには青く輝く、四足歩行型で口から大きな二つの鋼鉄の牙が剥き出しになった虎みたいな体型、他のWEGSと違い五体満足のWEGSが立ち、そしてまゆ達の方へともの凄い勢いで向かって来た。
キアトがまゆとひろなに自分の後ろに行くように、右手で合図した。こんな時になんだけど、まゆは香川まゆだよ。
「なんで、活動しなくなったWEGSが今、私達の前で動いているの?」
まゆの大親友の神代ひろなが動揺を見せる。まゆだって驚いているよ。だって、生き物で言ったらもう死んでいるんだよ。
それになんで急に動き始めたの?
「旧式のWEGS反応を感じるよ」
「ヘブンズガールの言うとおりだ。おラァの人工知能からも合計丁度五十のWEGSが活動を再開した」
まゆの相棒、ヘブンズガールとひろなの相棒のバージンロードが急に動き始めたWEGS達を分析した。
「よく見たらあちこちと破損箇所が見えるし、動きは鈍いね」
「例えるならゾンビだな」
ヘブンズガールとバージンロードが廻りのWEGS達の動きを観察しながら発言する。
「そんなふうに言うんじゃねぇ!バカ馬ども!」
!
突然、キアトが天馬モデルのヘブンズガール一角白馬モデルのバージンロードに向かって怒った。
「誰がバカ馬だ!キアトキアホ!」「そうだ!キアトのおたんこなす!」
「うるせぇぞ!下らねぇやり取りしてる間にアイツらが動き始めたぞ」
キアトは気を引き締め、廻りを見渡す。バージンロードはひろなを守るように、ヘブンズガールもまゆを守るように身構えた。
「別に襲ってくると決まった訳じゃねぇだろ?身構えんじゃねぇよ」
キアトはまゆとひろなのWEGSにそう言うと、無防備に歩きはじめた。
「ちょっと、キアト……」
ひろなが不安な表情でキアトに声をかける。まゆだって不安だし、怖いんだよ。
五十のWEGSはぎこちない動きでキアトに接近してくる。五十のWEGSはそれぞれ破損箇所が目立っており、五体満足なWEGSは一体もいない。それでいて動くのは、キアトに怒られるかもしれないけど正直、不気味で怖い。
「よっ!喋れるか?お前ら!」
キアトがいきなり五十体のWEGSの誰にでもなく質問した。
確かにそう言われば、五十体のWEGSのどれもが言葉を発してない。喋らないからこの静寂も不気味で怖いんだ。
「喋れないか……」
キアトは寂しそうな表情を見せると、すぐに笑顔をWEGS達に見せた。
「なに、話せなくても大丈夫だ!オレはキアト!なんでか解んねぇけどお前らよく生き返ったな!」
キアトはそう言いながら、一番近くに来たWEGSに触れようと左手を差しのべた。
一番近くにいたWEGSの形態は犬のような形のWEGSで顔が半分無く、中の構造がまる見えで時々火花が飛び散っている。
キアトがそのWEGSに触れようとした瞬間。
「痛っ!」
いきなりキアトは左手を引戻し、苦痛の表情を見せた。見ればキアトの左腕が突然、流血したんだ。
「「キアトー!!」」
まゆとひろなの叫び声が同時にハモった。犬のようなWEGSの右前脚がキアトをいきなり攻撃したのがすぐに解った。
その行動が合図だったように何十体のWEGSが一斉に、キアトに襲いかかりはじめた。
「キアト!」
「ダメだ!まゆ!僕らも危ないよ!」
まゆがキアトの方に近付こうとすると、ヘブンズガールがまゆを止めた。まゆと同じような行動をしようとしたひろなもバージンロードに止まられていた。
「僕らも囲まれてしまったよ」
ヘブンズガールが言うと、まゆとひろな達の廻りに残りのWEGS達がいた。
キアトの姿はWEGS達に覆い被され、安否がわからない。あの光景はまゆがあっちの世界に行き、映画館で観た、人に群がったゾンビそのものにしか見えない。
正直、キアトはもうダメだと思ったまゆは知らないうちに涙を流してたよ。
でも……。
「うりゃぁあああぁぁ!!」
気合いの叫び声が拡がると共に、キアトに襲いかかったWEGS達がいきなり空中へと放り投げられた。
「キアト!!」
ひろながキアトの名前を呼ぶとキアトは左腕を押さえながら立っていた。
「そうか、キアトにはあの能力があったんだ!」
まゆは泣きながらも安堵しながら、キアトは自分の能力を使って自らを守ったんだ。忘れていたよ。
キアトの能力、ズバリ、磁気能力!
元々、鋼鉄がメインのWEGSは大きな磁石のような物。キアトは体内から磁気を自由に操る能力を持っていて、磁気能力を使ってWEGS達を弾き飛ばしたんだ。
キアトは能力を使って鉄屑をボードのようにし、大地の磁力と反発させながら宙に浮くこともできるんだ。
キアトは近くに落ちている鉄板を拾い、それをボード代わりにまゆとひろなの元へと向かってまゆ達を囲むWEGS達を一瞬で弾き飛ばしたよ。余りにも一瞬の出来事でまゆもひろなも呆然としちゃった。
やっぱりキアトはカッコいい!うん。まゆはキアトが大好きでたまらない。
まゆの目がハートになっていると、それに気づいたひろながまゆを見て膨れっ面している。ヤバいヤバい、ひろなに怒られちゃうよ。
「なんでお前ら攻撃してくんだよ!」
キアトが声を大にしながら怒る。
WEGS達がゆっくりとまゆ達に近付いて来る。ピンチには変わりないよね。どうしよう……
「仕方ねぇ……、動きを止める」
そう言うとキアトは両手をいきなり挙げた。その行為と共に、地面の砂が舞い上がり五十体のWEGS達に降り注いだ。
「砂鉄だ。悪いが動きを止めてもらった」
キアトはそう言うと、五十体のWEGS全体の動きが鈍くなり、その場から動けなくなった。
「砂鉄でWEGSの可動箇所を混じらせ動けなくするとは、アンポンタンのキアトにしては考えたね」
ひろながキアトに皮肉ぽく言うと、キアトは一瞬だけひろなを無表情に見つめた。そういえば、ひろなとキアトさっきまでケンカしてたんだった。なんかひろなの顔色が急に変わってく。
「うるせぇブスじゃないでしょ!」
どうやらひろなはキアトの心の声を聞いてしまったようね。
ひろなは人の思うことを感じてしまう読心能力の持ち主なんだ。
それはそうとなんとか危機的状況は回避したみたい。
「なんで急に動き始めたのかが謎だけどな」
バージンロードが金縛りのように動かなくなったWEGSを見回しながら疑問を言った。
キアトとひろなは揉めに揉めている。でも、すぐに揉め事は収まった。その原因は……
「一体だけ……」「……動いている」
キアトの言葉をひろなが継ぎ足す。まゆはキアトとひろなが見つめる先へと振り向いた。
そこには青く輝く、四足歩行型で口から大きな二つの鋼鉄の牙が剥き出しになった虎みたいな体型、他のWEGSと違い五体満足のWEGSが立ち、そしてまゆ達の方へともの凄い勢いで向かって来た。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
ふたりの愛は「真実」らしいので、心の声が聞こえる魔道具をプレゼントしました
もるだ
恋愛
伯爵夫人になるために魔術の道を諦め厳しい教育を受けていたエリーゼに告げられたのは婚約破棄でした。「アシュリーと僕は真実の愛で結ばれてるんだ」というので、元婚約者たちには、心の声が聞こえる魔道具をプレゼントしてあげます。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる