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悲しみの対峙

2.

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遠くからでも解る。

巨大な象のような生体が、王城に向かっているのが…。

始元の龍の屍が三つの大地となり、この星が龍地球ドラゴンアースと呼ばれ、龍地球の子と呼ばれる最強の十龍。

その十龍の一頭、闇龍ダークドラゴン、キーカンバーが、動く龍死体ドラゴンゾンビと化した事など、アストやパラガスには、解るはずもなかった。

先程、崩れ落ちた警察館から脱出した時、ドワーフのタンクも王城に行くと言い、行動を共にしたが、彼の鈍足に苛立ち、アストとパラガスは、タンクを見捨て、早々と走っていった。

ペテンは巨龍を目にし、腰を抜かしたままなので、崩壊した警察館へ置いていった。

「国王、無事でいてください…」

辺りは火の海。燃え盛る業火に、負傷者、死体、悲鳴や声にならない鳴咽、アストとパラガスはそれらを無視しながら、走りながら国王の安否した。

二人の青年は、まるで地獄を走り抜ける錯覚を覚えた。

「結構、死体が増えたようですね、キーカンバー…」

巨龍の頭に立つミレアは、冷ややかな笑みを浮かべ、龍死体に話しかけた。

むろん、返事など返ってこなかった。

そしてミレアは、死者達を哀悼あいとうするかのように目をつむった。

口元でぶつぶつと、何かをつぶやく。

別にミレアは死者達の為に、黙祷もくとうしている訳でわなかった。

むしろ死者達を暴騰ぼうとうする為に、目をつむっていたのだ。

そしてミレアは目を開け、キーカンバーにまた話しかけた。

「徹底的に破壊しましょう、キーカンバー。私の新たな死の軍隊と共に……」

巨龍とミレアは、王城の前に到着した。

辺りからは、先程亡くなった数十の遺体が、ゆっくりと起きはじめ…、
…生きてる人々に絶望と恐怖をあたえた。

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