フェロモン? そんなの僕知りません!!

くるむ

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第七章

スノウ再び 2

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「やらしい体だな。ロベールが溺れるはずだ。……こうして触れると、フェロモンが滲み出てくる」
「……っ!」

スノウの手がいやらしく僕の胸の粒を捏ねるように押し潰す。

こんなに気持ち悪くておぞましいのに、本当にフェロモンが出ているの?
あまりにも制御の利かないバカな体に泣きたくなる。

しかもスノウが僕の喉を圧したままなので、苦しくって抵抗すら出来ずにいた。

「甘い ……、堪らないな」

スノウが僕のフェロモンを取り込むかのように唇を押しつけたまま、大きく息を吸い込むようなしぐさをする。そして恍惚な表情で僕の露わになった胸に頬をすりつけた。

「くく……。ロベールが悔しがるぞ。ざまあみろだ」
「ぐぅ……っ」

抗議しようにも言葉すらままならない。悔しくて気持ち悪くて泣きそうだ。

「んぐ……っ!」

いつの間にかスノウの掌が僕の下腹部まで下りて、下着の中に入り込んできた。直に触れられて、魚のように体が大きくビクンと跳ねる。

「ううう……っ、ぐぐ……」
「苦しいか? だが気持ちいいだろう? 節操のないフェロモンだ、……グアッ!」

「お前に言われたくないんだが」
「グアッ、止めろ ……っ、離せ ……、グアアッ!」

「ロベール……!?  ゲホッ、ゲホゲホッ、ゴホッ」

ロベール、ロベールが来てくれた!?

急に現われたロベールの声に安心して、体から力が抜けた。と同時に、スノウの手で押さえられていたのどが解放されて咳込んだ。

「大丈夫か?」
「……っ、ゲホッ、……ケホ。う、うん ……大丈夫」

咳が何とか落ち着いてロベールを見上げた。だけど心配そうだったその表情が、僕の露になった姿を見た途端、一瞬で怖いものになった。あまりにも怖いそれに息を呑む。
そんな僕の様子を見て、ロベールは苦い顔になった。

「さて」
「グワッ!!  グアアッ!!」

スノウは、まるで見えない誰かに蹴られているかのように顔を歪ませ腰を折り曲げ、床の上でのたうち回っている。その横ではロベールが、冷たい目で見降ろしていた。

「……よせっ、グアアッッ!」
「まだまだだろう」
「グワッ、ガハッ、ゲホゲホッ……。グウッ」

「ロ、ロベール……」

スノウを許したいわけではないけれど、ロベールの纏うオーラがあまりにも怖くて、思わず彼のシャツをギュッと握った。突端ものすごい力で抱き寄せられる。それから肩から腰から強い力でまさぐられ、唇を荒々しく押し当てられた。
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