82 / 93
第六章
無自覚で罪な蜜
しおりを挟む
その後すっかりお腹が満足して一息ついたので、僕らはレストランを出ることにした。
その帰りの道々も、相変わらず呆けた視線がロベールに集中している。当人は見飽きた光景だとは言っていたけど、もしかしたら中には好みのタイプがいるかもしれないよね。
「……つまみ食いとかしたら、許さないからね」
ぷくっと頬を膨らませてそう言うと、ロベールが片眉を上げる。
「そんな余裕があるか」
「……え?」
建物の陰に入った途端、急に真っ暗になって景色が変わった。
あれ? ここ?
ホテルの部屋じゃん。いつの間に!?
てか、なんで僕ベッドの上に押し倒されてんの?
「ロ、ロベール……?」
「私がどれだけ南に神経を注いでいると思っているんだ?」
「え……?」
「無意識に自覚無く、勝手にフェロモン駄々洩れにして。いつ危うい奴を惹きつけるのかと思うとハラハラして、他の奴なんて気にしてられるか! それに南が私のことを好きでいてくれるのに、どうして他の奴なんか気にする必要があるんだ?」
「ロベール……」
怒ってる……。本気でムッとして怒ってる。
ああ、もう本当に。
「ずるい……」
「――何?」
僕に覆いかぶさって、間近で怒っている綺麗な顔に手を伸ばした。両頬に包むように手のひらを合わせると、ロベールの瞳が大きくなる。
「そんなふうに言われたら、ロベールに焼き餅焼けなくなるじゃん。僕なんかより絶対誘惑多いくせに」
「焼かなくていいし、焼く必要はない。南と違ってどうこうされる立場じゃないからな」
むうっ。
「僕は別に弱いわけじゃないぞ?」
「――分かってる。だが、南より強い奴だってごろごろいるだろ? しかも変質者は容赦ないし」
「う……。わ、分かってるよ」
「よろしい」
……あ。
ニコッと笑ったロベールが顔を近づけ、僕の唇に彼のソレをふわりと押し当てた。
「それにしても」
「……え? ん……」
ロベールは一言言葉を発してまた僕の唇を覆った。何度も何度もしっとりと押し当てて、そっと唇を離す。
そして首筋に唇を移動した。
「南のフェロモンはどうなっているんだ? 大量に発したからしばらく漏れてこないだろうと思っていたら、また溢れてくるし」
「そんなの……、あっ、んっ……!!」
ちょっと、どこ触ってんだよ!
「あ、だめ……っ、ロベ……」
「好きだよな? ここ」
「誰が好きだって……、っん……っ!」
ビクンッと体が跳ねた。ロベールが面白がって、胸の粒を捏ねながら引っ張ったからだ。
そして空いている方の粒を、舌で舐め甘噛みする。
「あ、やあっ!!」
また体が跳ねて、高い声が出た。
「……南の中にはまだ甘いものがいっぱい詰まっているな」
「ふ……、んんっ。……ヤダ……」
「全部出させて、私が取り込んだ方が安心なのか?」
「は……、あ。……え?」
ロベールが何を言いたいのかよく意味が分からなかった。焦点の合わない瞳でロベールの顔を見ると、彼は困ったように笑っている。
「冗談だよ」
「ロベール……?」
弄っていた粒から手を離して、ロベールがギュッと僕を抱きしめた。
――いくら安心したいからって、そんな鬼畜なこと。
「……何?」
「いや、私はつまみ食いはしないし、南に纏わりつこうとする奴にも容赦しないから安心しろ」
「うん」
僕もロベールの背中に腕を回した。
その帰りの道々も、相変わらず呆けた視線がロベールに集中している。当人は見飽きた光景だとは言っていたけど、もしかしたら中には好みのタイプがいるかもしれないよね。
「……つまみ食いとかしたら、許さないからね」
ぷくっと頬を膨らませてそう言うと、ロベールが片眉を上げる。
「そんな余裕があるか」
「……え?」
建物の陰に入った途端、急に真っ暗になって景色が変わった。
あれ? ここ?
ホテルの部屋じゃん。いつの間に!?
てか、なんで僕ベッドの上に押し倒されてんの?
「ロ、ロベール……?」
「私がどれだけ南に神経を注いでいると思っているんだ?」
「え……?」
「無意識に自覚無く、勝手にフェロモン駄々洩れにして。いつ危うい奴を惹きつけるのかと思うとハラハラして、他の奴なんて気にしてられるか! それに南が私のことを好きでいてくれるのに、どうして他の奴なんか気にする必要があるんだ?」
「ロベール……」
怒ってる……。本気でムッとして怒ってる。
ああ、もう本当に。
「ずるい……」
「――何?」
僕に覆いかぶさって、間近で怒っている綺麗な顔に手を伸ばした。両頬に包むように手のひらを合わせると、ロベールの瞳が大きくなる。
「そんなふうに言われたら、ロベールに焼き餅焼けなくなるじゃん。僕なんかより絶対誘惑多いくせに」
「焼かなくていいし、焼く必要はない。南と違ってどうこうされる立場じゃないからな」
むうっ。
「僕は別に弱いわけじゃないぞ?」
「――分かってる。だが、南より強い奴だってごろごろいるだろ? しかも変質者は容赦ないし」
「う……。わ、分かってるよ」
「よろしい」
……あ。
ニコッと笑ったロベールが顔を近づけ、僕の唇に彼のソレをふわりと押し当てた。
「それにしても」
「……え? ん……」
ロベールは一言言葉を発してまた僕の唇を覆った。何度も何度もしっとりと押し当てて、そっと唇を離す。
そして首筋に唇を移動した。
「南のフェロモンはどうなっているんだ? 大量に発したからしばらく漏れてこないだろうと思っていたら、また溢れてくるし」
「そんなの……、あっ、んっ……!!」
ちょっと、どこ触ってんだよ!
「あ、だめ……っ、ロベ……」
「好きだよな? ここ」
「誰が好きだって……、っん……っ!」
ビクンッと体が跳ねた。ロベールが面白がって、胸の粒を捏ねながら引っ張ったからだ。
そして空いている方の粒を、舌で舐め甘噛みする。
「あ、やあっ!!」
また体が跳ねて、高い声が出た。
「……南の中にはまだ甘いものがいっぱい詰まっているな」
「ふ……、んんっ。……ヤダ……」
「全部出させて、私が取り込んだ方が安心なのか?」
「は……、あ。……え?」
ロベールが何を言いたいのかよく意味が分からなかった。焦点の合わない瞳でロベールの顔を見ると、彼は困ったように笑っている。
「冗談だよ」
「ロベール……?」
弄っていた粒から手を離して、ロベールがギュッと僕を抱きしめた。
――いくら安心したいからって、そんな鬼畜なこと。
「……何?」
「いや、私はつまみ食いはしないし、南に纏わりつこうとする奴にも容赦しないから安心しろ」
「うん」
僕もロベールの背中に腕を回した。
1
お気に入りに追加
183
あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…
月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた…
転生したと気づいてそう思った。
今世は周りの人も優しく友達もできた。
それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。
前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。
前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。
しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。
俺はこの幸せをなくならせたくない。
そう思っていた…

悪魔祓いの跡取り息子なのに上級悪魔から甘やかされています
萌葱 千佳
BL
進学のために上京してきた大学生(悪魔祓いの跡取り息子)の隣の家に住んでいたのは上級悪魔だった……!?
偶然出会った相容れない2人が生涯のパートナーになるまでの物語です。
※2人の受け、攻めは決めておりません。ご自由に解釈ください。
※pixiv様でも同作品を投稿しております。

勃起できない俺に彼氏ができた⁉
千歳
BL
大学三年生の瀬戸結(セト ユイ)は明るい性格で大学入学当初からモテた。
しかし、彼女ができても長続きせずにすぐに別れてしまい、その度に同級生の羽月清那(ハヅキ セナ)に慰めてもらっていた。
ある日、結がフラれる現場に出くわしてしまった清那はフラれて落ち込む結を飲みへと誘う。
どうして付き合ってもすぐに別れてしまうのかと結に尋ねてみると、泥酔した彼はぽつりと言葉を零した。
「……勃起、できないから」
衝撃的なその告白と共に結は恋愛体質だから誰かと付き合っていたいんだとも語った。
酔っ払いながら泣き言を零す結を見ながら清那はある一つの案を結に提示する。
「誰かと付き合っていたいならさ、俺と付き合ってみる?」
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である


いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる