上 下
75 / 93
第六章

引っ越し、準備のはずなんですが 2

しおりを挟む
「あ……っ」

唇がどんどん下に移動する。手のひらも僕のお尻あたりをスルスルと撫でまわしていたんだけど、そのうち指の動きが意味深になってきた。
そして、とうとう僕の奥へと入り込んできた。

恥ずかしくてドキドキして。だけどそれと同時に、どうしようってオロオロするような怖い気持ち。
その両方が微妙に混じりあっていて、僕の心の中はちっとも落ち着かない。
ロベールのことは大好きだし独占したいけど、おそらく僕は、まだこの行為自体に慣れきれていないみたいだ。

ついつい体を硬くして縋る僕をチラリと見て、ロベールが僕の太腿あたりに唇を寄せた。

「あ……っ!」

食むように愛撫されて、途端に下腹部へと甘い痺れが走る。
僕の体がビクンと大げさに跳ねた。それを面白がってかロベールは、さらにそこに吸い付き舌を這わせた。

「あ、……だ、だめっ! ロベ……ッ あ……、んんっ」
「……何が嫌だ。南のここも中も……、喜んでるぞ?」
「は……、あっ、……やっ」

熱が……、甘い毒のような疼きがじわじわと広がっている。両側からの焦れる疼きが狂おしくて、僕の意思に反して腰が揺れ始めた。

「ん……、んんっ……」

なるべく恥ずかしい声が漏れないようにと唇をぎゅうっと噛んで、体中に走る甘く疼く熱を逃すように、体をよじりシーツにこすりつけた。

「堪らないな……」

うっとりとした声でそう呟いたロベールは、本当に僕の中の何かを吸い込んでいるんじゃないかという勢いで、体中のあちらこちらに唇を這わせ食むように吸い付いている。
しかも中の指もいつの間にか増えていて、僕は恥ずかしいんだけど、ビクビクと反応する体を抑えることが出来なくなっていた。

「ヤダ……、ロベール……ぅ」
「嫌……?」

ロベールは意地の悪い声で聞き返した後、中の指をバラバラに動かす。その引っかかった指先の一か所に、僕はビクンと大きく反応した。

「あん……、っ!」

な……、何この恥ずかしい甲高い声! "あん"ってなんだ! "あん"って!

カーッて、顔が燃えるように熱くなって居ても立ってもいられないざわざわとした気持ちが押し寄せてきた。(寝転んでるから居ても立ってもいないんだけどさ!)

「可愛いなあ、南は」
「……ふ、……へ?」

恥ずかしくて恥ずかしくて落ち着かない僕の耳に届いた艶っぽくうれしそうな声。それに反応して視線を上げると、それこそ恐ろしい美貌の持ち主が、恍惚な蕩けるような表情で僕を見つめている。

「ロベ……、ひゃあっ!!」
「可愛い、可愛い……南」
「あっ……、ああっ……、やっ!」

ロベールの指が、さっき掠めた僕の弱いところばかりを必要に攻め始めた。
ただでさえ籠り始めていた熱と疼きが、解放されたがって暴れ始める。

「やっ、……もう、い、イク……、イっちゃう……ぅ」
「イっとけ、いいから……」

興奮した声。少し荒い息をこぼしながらそう言った後、ロベールは背中を丸めて僕の方に近づき、カリッと胸の粒を甘噛みした。

「あ……、ああっ!!」

瞬間、熱は一挙に解放されて、頭の中が真っ白になった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

初恋を諦めるために惚れ薬を飲んだら寵妃になった僕のお話

トウ子
BL
惚れ薬を持たされて、故国のために皇帝の後宮に嫁いだ。後宮で皇帝ではない人に、初めての恋をしてしまった。初恋を諦めるために惚れ薬を飲んだら、きちんと皇帝を愛することができた。心からの愛を捧げたら皇帝にも愛されて、僕は寵妃になった。それだけの幸せなお話。 2022年の惚れ薬自飲BL企画参加作品。ムーンライトノベルズでも投稿しています。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

いつの間にか後輩に外堀を埋められていました

BL
2×××年。同性婚が認められて10年が経った現在。 後輩からいきなりプロポーズをされて....? あれ、俺たち付き合ってなかったよね? わんこ(を装った狼)イケメン×お人よし無自覚美人 続編更新中! 結婚して五年後のお話です。 妊娠、出産、育児。たくさん悩んでぶつかって、成長していく様子を見届けていただけたらと思います!

【完結】神様はそれを無視できない

遊佐ミチル
BL
痩せぎすで片目眼帯。週三程度で働くのがせいっぱいの佐伯尚(29)は、誰が見ても人生詰んでいる青年だ。当然、恋人がいたことは無く、その手の経験も無い。 長年恨んできた相手に復讐することが唯一の生きがいだった。 住んでいたアパートの退去期限となる日を復讐決行日と決め、あと十日に迫ったある日、昨夜の記憶が無い状態で目覚める。 足は血だらけ。喉はカラカラ。コンビニのATMに出向くと爪に火を灯すように溜めてきた貯金はなぜか三桁。これでは復讐の武器購入や交通費だってままならない。 途方に暮れていると、昨夜尚を介抱したという浴衣姿の男が現れて、尚はこの男に江東区の月島にある橋の付近っで酔い潰れていて男に自宅に連れ帰ってもらい、キスまでねだったらしい。嘘だと言い張ると、男はその証拠をバッチリ録音していて、消して欲しいなら、尚の不幸を買い取らせろと言い始める。 男の名は時雨。 職業:不幸買い取りセンターという質屋の店主。 見た目:頭のおかしいイケメン。 彼曰く本物の神様らしい……。

お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。

すずなり。
恋愛
母に仕組まれた『お見合い』。非の打ち所がない相手には言えない秘密が私にはあった。「俺なら・・・守れる。」終わらせてくれる気のない相手に・・私は折れるしかない!? 「こんな溢れさせて・・・期待した・・?」 (こんなの・・・初めてっ・・!) ぐずぐずに溶かされる夜。 焦らされ・・焦らされ・・・早く欲しくてたまらない気持ちにさせられる。 「うぁ・・・気持ちイイっ・・!」 「いぁぁっ!・・あぁっ・・!」 何度登りつめても終わらない。 終わるのは・・・私が気を失う時だった。 ーーーーーーーーーー 「・・・赤ちゃん・・?」 「堕ろすよな?」 「私は産みたい。」 「医者として許可はできない・・!」 食い違う想い。    「でも・・・」 ※お話はすべて想像の世界です。出てくる病名、治療法、薬など、現実世界とはなんら関係ありません。 ※ただただ楽しんでいただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 それでは、お楽しみください。 【初回完結日2020.05.25】 【修正開始2023.05.08】

発禁状態異常と親友と

ミツミチ
BL
どエロい状態異常をかけられた身体を親友におねだりして慰めてもらう話

たまに目覚める王女様

青空一夏
ファンタジー
苦境にたたされるとピンチヒッターなるあたしは‥‥

処理中です...