フェロモン? そんなの僕知りません!!

くるむ

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第五章

ロベールを下宿させるぞ!

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食卓で、父さんと母さんを目の前にして緊張していた。
僕の大好きな豚の生姜焼きを突きながらも、美味しいと思う余裕すらない。
ひたすら緊張を和らげようと、豚肉をどんどん口の中に放り込んだ。

「そういえば南、何か話が合ったんじゃないの?」
「あむ……っ、んぐんぐ!」

口いっぱい放り込んだお肉をもぐもぐと噛んでる真っ最中に、急に振られて僕は慌てた。何度も頷きながら、必死で咀嚼する。

「ああ、もう。慌てないでいいわよ。ちゃんと噛んで呑み込みなさい」
「んぐんぐ」

呆れる二人を目の前に、一生懸命噛んで呑み込み、そして腹を据えた。

……邪な気持ちがあるから、同性の恋人を両親に紹介するかのような緊張具合だ。

「えーっとね、僕の学校の保健医が下宿先を探してるんだって。それでうち、一部屋空いてるじゃん? だから思わず僕んち空いてるから話したげようか?って言っちゃってさ……。期待させちゃってるんだよね」

「保健の先生? なんで保健の先生とそんな話になったの?」
「まさか南、授業をさぼるために保健室に仮病使って眠りに行ってるんじゃないだろうな?」
「まさか! 違うよ! 学校帰りにへ……、カツアゲに遭ってるときに偶然助けてもらったのが切っ掛けで親しくなっただけだよ」
「カツアゲ? ……そうか、それはちゃんと礼を言わなきゃならんな」
「それは……、ちゃんと、お礼したから」

……強引にだったけど……。

「母さん、どうだ? 力になってあげられそうか?」
「え? まあ、そうねえ。部屋は確かに空いているし、お料理一人分くらい増えるのは大したことないけど」
「ちゃんと下宿代払うって言ってたよ。務めてるからお金の方は問題ないし!」
「そう。……だけど、どうして下宿なの? 今まではどうしていたわけ?」

「今まではアパート住まいだったんだけど、老朽化で取り壊しが決まったんだって。いろいろ探してはいるらしいんだけど、学校の近くになかなかいい物件が無いらしいんだよ」

「じゃあ、一度会わせてもらって、それから考えましょうか? 学校の先生なら問題ないとは思うけど、一応お世話させてもらう身としては、相性の問題もあるからね」

「そうだな、その方がいいだろう。それじゃあ南、明日にでも来てもらいなさい。期待に応えられないかもしれないけど、話は聞いてみようと言ってたと言っておきなさい」

「ん、分かった」

とりあえず一安心だな。
ロベールのことだから、きっとうまく気に入られるだろう。計算高さはピカイチだろうから。
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