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第三章

保健室に行こう

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昼休みに約束した通り、みんなわらわらと日暮の周りにやってきた。笹山もどことなく不貞腐れた風だったけど、雄基に腕を引っ張られ嫌々勉強会に参加していた。
まあこの勉強会のきっかけを作ったのは当の本人なので、やっぱり今度の成績が悪いと色んな意味で危ないのだろう。

「あ」
「ん? 何、どうした南」

今頃思い出した。いつでも保健室に遊びに来いって言われていたのに、結局昼休みも数学を教えてもらったおかげでロベールに会いに行くことを忘れていた。

ちょっとだけでいいから、顔見に行こうかな。

「あのさ、ちょっとだけ保健室に顔出してくる」
他のみんなに聞こえないようにと、奏多にだけ耳打ちをした。

「ああ、うん分かった。じゃあ俺も行くよ」
「え? 大丈夫だよ。向こうまで特に入り組んだとこ無いし。全力で駆け抜けるから」
「……んー、じゃあ、トイレには近づくなよ。そこは鬼門みたいだし」
「うん、わかってる。じゃ、ちょっとだけ行ってくるね」

僕はいそいそと扉を開けて廊下に出て、それこそダッシュで保健室まで走った。今回は奏多が心配するようなことは何もなくて、スムーズに保健室に辿り着いた。

カラッと開けて中を覗き込む。
シンとしている。誰かが来ている様子はない。

「ロベール……、先生?」

何となーく忍び足で中を窺いながら歩いていくも、ロベールの姿は見当たらない。

……?
どこかに行ってるのかな?

拍子抜けして腰に手をやりため息を吐いていたら、突然腕を引っ張られ、「あ?」と思うと同時に長い腕に抱きこまれた。

「ロ……!?」

びっくりした。本気でびっくりした。

「……もう、保健の先生のくせにベッドでお昼寝なんてしてて良いの?」
「――誰かさんが顔見せに来ないからだろ」

そう言いながら僕を抱く腕の力が強くなる。

……あ、不貞腐れてる。
どうしよう、可愛い。

「ごめん。試験が近いから、昼休みは勉強教えてもらってた」
「ふうん」

……ん? んん?

「ちょ、ちょっとロベールっ」

ちょっとだけ顔を見に来たつもりだったのに、ロベールの掌が僕の背中を意味深に撫で始めた。しかもそれはどんどん下降して、僕のお尻を撫で始める。

「待ちくたびれてた」
「だっ……、だから悪かったって。……あ、んっ、もう……っ!」

執拗にいやらしく撫でまわすのは止めて!

ちょっぴりヤケになった僕は、伸びあがってロベールの首裏を抑え自分からロベールの唇に唇を重ねた。一瞬驚いて手の動きが止まったロベールに満足して離れようと思ったんだけど、そう上手くはいかなかった。

……想像はついてはいたんだけどね。

火がついてしまったロベールにさんざん唇を貪られ、結局僕はまた息絶え絶えになっていた……。
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