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第二章
ロベールのお泊り 3
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とりあえず、いつロベールが乱入してくるか分からないので、僕は先にさっさと体を洗ってしまおうと考えた。シャワーを開き体をざっと流して、ボディタオルを泡立てる。
首筋にタオルを当てたところで、背後からにょきっと手が出てきた。
「……えっ? わっ!」
振り返ると真っ裸のロベールが、僕から奪ったボディタオルを持って立っている。
「……い、いつの間に」
怯む僕に、ロベールは片眉を上げて顎を上げる。
……うわ、見下される感半端ない。
「隙を見つけて入ってきたんだ。私の楽しみを奪うんじゃない」
そう言いながら口角を上げ、もこもことタオルの泡を立て始めた。
「洗ってやるから、こっち向け」
「い、……良いよ。自分で洗うって!」
タオルを取り返そうと手を伸ばしたのに、スッと腕を上げられてかわされた。
「楽しみを奪うなと言っただろう。ほら」
「……ふ、ひゃっ!」
うわわわわ、なんて声だよ!
ロベールが首筋にタオルを当ててなぞったせいで変な声が出た。思わずびっくりして、僕はタオルを持っているロベールの手首を反射的にハシッと握る。
「南……」
う、うわわわわ!
低音の甘く艶やかな声が、僕の脳天だか下半身だかを直撃した。
弱いんだってば、この声っ。
「怖いのか恥ずかしいのか期待してるのか、どっちだ」
「う……」
真正面から僕を見つめるロベールの瞳に、吸い込まれそうな気持になる。
……どっちだって、そんなの……。
「――どっちだ?」
もう! お互い素っ裸でこんな状況で……。
「……全部だよ。……決まってんじゃんか」
ああ、もう!
何なんだよ、もう。
恥ずかしい本音を喋らされて、僕の顔が燃えるように熱い。
だけど、ロベールは嬉しかったのか僕を見つめるその表情がだんだん甘く崩れてきた。
「そうか。……じゃあまず、体から洗おう」
「……ふ、ふわっ!」
ロベールは僕の背中に腕を回し離れられないようにした後、首筋から鎖骨、胸元へとタオルを滑らせた。ロベールの手が動くたびにビクビクと反応して声も抑えられない。
は……、恥ずかしすぎる……。
「可愛い、南。……お前、オスを惹きつけるフェロモンが濃くなってるぞ。甘くて……、ぞくぞくするいい匂いだ」
「ロ……、ロベ……」
ロベールの手の動きがだんだんいやらしくなってきた。僕のことを求めるように背中やお尻……、あちらこちらを撫で回る。
密着して、滑る泡が気持ちいい。
今まで、変態に襲われてばかりで嫌な思いをしてきたことがロベールの言うフェロモンのせいだったとしたら、そんなものいらないって思うんだけど……。
だけどそのせいで、ロベールが僕に溺れてくれるのなら、それはそれで嬉しいかもしれないと思い始めていた。
でもちょっと、怖いんだけどね……。
首筋にタオルを当てたところで、背後からにょきっと手が出てきた。
「……えっ? わっ!」
振り返ると真っ裸のロベールが、僕から奪ったボディタオルを持って立っている。
「……い、いつの間に」
怯む僕に、ロベールは片眉を上げて顎を上げる。
……うわ、見下される感半端ない。
「隙を見つけて入ってきたんだ。私の楽しみを奪うんじゃない」
そう言いながら口角を上げ、もこもことタオルの泡を立て始めた。
「洗ってやるから、こっち向け」
「い、……良いよ。自分で洗うって!」
タオルを取り返そうと手を伸ばしたのに、スッと腕を上げられてかわされた。
「楽しみを奪うなと言っただろう。ほら」
「……ふ、ひゃっ!」
うわわわわ、なんて声だよ!
ロベールが首筋にタオルを当ててなぞったせいで変な声が出た。思わずびっくりして、僕はタオルを持っているロベールの手首を反射的にハシッと握る。
「南……」
う、うわわわわ!
低音の甘く艶やかな声が、僕の脳天だか下半身だかを直撃した。
弱いんだってば、この声っ。
「怖いのか恥ずかしいのか期待してるのか、どっちだ」
「う……」
真正面から僕を見つめるロベールの瞳に、吸い込まれそうな気持になる。
……どっちだって、そんなの……。
「――どっちだ?」
もう! お互い素っ裸でこんな状況で……。
「……全部だよ。……決まってんじゃんか」
ああ、もう!
何なんだよ、もう。
恥ずかしい本音を喋らされて、僕の顔が燃えるように熱い。
だけど、ロベールは嬉しかったのか僕を見つめるその表情がだんだん甘く崩れてきた。
「そうか。……じゃあまず、体から洗おう」
「……ふ、ふわっ!」
ロベールは僕の背中に腕を回し離れられないようにした後、首筋から鎖骨、胸元へとタオルを滑らせた。ロベールの手が動くたびにビクビクと反応して声も抑えられない。
は……、恥ずかしすぎる……。
「可愛い、南。……お前、オスを惹きつけるフェロモンが濃くなってるぞ。甘くて……、ぞくぞくするいい匂いだ」
「ロ……、ロベ……」
ロベールの手の動きがだんだんいやらしくなってきた。僕のことを求めるように背中やお尻……、あちらこちらを撫で回る。
密着して、滑る泡が気持ちいい。
今まで、変態に襲われてばかりで嫌な思いをしてきたことがロベールの言うフェロモンのせいだったとしたら、そんなものいらないって思うんだけど……。
だけどそのせいで、ロベールが僕に溺れてくれるのなら、それはそれで嬉しいかもしれないと思い始めていた。
でもちょっと、怖いんだけどね……。
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