フェロモン? そんなの僕知りません!!

くるむ

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第二章

送りたがる笹山(なんでだろう?)

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僕がロベールのことを好きだということに気付いていて、なぜか応援してくれている(もしかしたらロベールの記憶操作が入っているのかもしれないけど)奏多は、何気なく移動して僕とロベールが隣になるように歩いてくれた。
薄暗くなった校内を、五人でぞろぞろと歩いて校門に出た。

「南、お前どっち? 俺、今日暇だから時間つぶしついでに送ってってやるよ」

笹山が、くるんと振り返って僕に言った。

「え?」

送る? わざわざ? なんで?
変なの、と思いキョトンとしていたら、ロベールがまるで先生のような窘め口調で口を開いた。
(いや、まあ。保健の先生に扮してはいるんだけどさ)

「笹山君の家はどこなんだ?」
「え、俺? 俺は、下仁田の丸井の近くですけど」
「それじゃあ、南とは別方向だな。大丈夫。私も南と同じ方向だから送っていくから、心配はないよ」
「え……?」

笹山は、なんでこいつが僕の家を知っているんだ?というような目でロベールを見た。

「……ロベール先生、甘木君とずいぶん親しいようですね。前からの知り合いなんですか?」

どうやら疑問に思ったのは笹山だけではなかったらしい。日暮までもが、けげんな表情でロベールを見た。

「まだ赴任する前にね、南にちょっとした災難が降りかかって。たまたま近くにいた私が助けたのがきっかけで、それでね」
「……ああ。そういえば甘木君は、前にも変態を伸していたことがあったね」

「そうそう。南は強いけど、でもロベール先生はもっと強いみたいだから、先生に任せておけば大丈夫だよ。僕も近くまで一緒だし、笹山もそんなに気にかけることはないよ」

「……そうかよ」

ロベールや奏多にまで送りは必要ないと言われ安心すべきところだろうに、なぜだか笹山は不服そうだった。自分の気遣いをいらないと言われたのが、面白くなかったんだろうか。

結局、皆の提案を受け入れるしかなかった笹山とは、そのままそこで別れた。日暮とも。
そして、僕は奏多とロベールと一緒に帰路に着いたのだ。
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