フェロモン? そんなの僕知りません!!

くるむ

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第一章

好き? 僕が?

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はーっ、間に合ったぁ。

先生が来る一歩手前で駆け込んで、ホッと息を吐く。何気に顔を上げると心配そうに奏多がこっちを見ていたので、大丈夫と言うように手を上げて合図をし、ニコリと笑った。
奏多の安心した顔に僕もホッとして、教科書を広げた。


そしてお昼休み。
僕も奏多も弁当派なので、そのまま教室で食べる。うちのクラスは学食に行く人の方が多いから、残ってる弁当組は適当にかたまって食べている。

「お茶買って来ようか」
「おう、頼む。お茶なら何でもいい」
「俺はコーラがいい」
「俺、紅茶」
「OK」

今日は残っているのは五人だ。いつも誰かしら、適当にお茶を買いに行ってくれるので、今日は僕と奏多とで自販機に買いに行こうと席を立った。

「あ、そうだ奏多。僕ご飯食べ終わったら、保健室に行くことになった」
「え? 何で? どっか具合悪いの?」
「……あ、そうじゃなくて。ロベール先生に呼ばれて……」
「ああ! ロベール先生か。じゃあ安心だね。分かった。行ってくると良いよ」
「う……、うん」

……これって、完璧ロベールの術なのか魔力なのかにヤられてるってことだよね……。そうじゃなきゃ、奏多がこんなに簡単に、僕に関わる男の人を信頼しきることなんて無いはずだもの。

……。
そう言えば、ロベールって何者なんだろう?
人間じゃないことは聞いているけど、正体がなんなのかってのは聞いて無い。

保健室に行ったら、聞いてみようかな。

「…………」
「……? なに?」

ロベールのことをアレコレ考えていると、奏多がなんだか面白そうに僕を見ていた。

「南ってさー、ロベール先生のこと好きだろ?」
「……、は……?」

トクン!

え?
ちょっ……、な、なに今の?
トクンって、トクンって……、心臓が変な音立てた!

「え、……いや、ち……、違うからっ……!」

違う違うと言いながら、みるみる顔が熱くなる。

「ああー、やっぱりそうかー。なーんかさ、ちょっと他の奴らに対する態度と違うって思ってたんだよなー。そうか―、やっぱそうなんだー」
「ちょ、ちょっと待って! 何わけわかんないこと……っ」
「いいから、いいから。俺、偏見ないよ? それに、ロベール先生紳士っぽいしいい人じゃない」
「…………」

それはキッパリ、ノーと言えるよ。
ロベールは紳士じゃないし、しっかりエロい。

「とにかくさ、先生も南のことだいぶ心配してただろ? 南のこと気に入ってると思うし、素直になってみれば?」

そう言ってにこやかに笑う奏多に、僕は呆然とした。

好き……?
僕が?

戸惑うし驚くけど……。
僕はロベールのことを思い出した途端、またカーッと顔が熱くなるのがわかった。


ハッキリ言って、僕はかなり動揺していた。
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