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プロローグ
前編
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あ~、ヤだな。遅くなっちゃった。
別に部活をしているわけでも無いんだけど、みんなとおしゃべりをしていたら帰る時間が遅くなってしまった。
いつもなら親友の奏多と一緒なんだけど、今日は奏多の奴、礼美ちゃんとデートだとかでさっさと帰っちゃったんだよなぁ。
ともかく、変なのに絡まれないように急いで帰ろう。
僕は少し大周りになっても、暗い道は歩かないようにしている。
何でかって言うと、僕の見た目が愛らしいだとかわけの分からない理由で、男に絡まれることが多いからだ。
大通りをタタタと走っていると、突然横から手が伸びてきてガシッと掴まれた。
ゲッ、来た!
悲しいかな。こういう事に慣れつつある僕は、勢いよく振りかぶってそいつを殴ろうとしたんだけど、喧嘩慣れしている奴だったみたいで、僕の拳は瞬時に除けられた。そして代わりに、そいつは僕の腹に一発ぶちかましてきやがった。
「……グハッ!」
もろにみぞおちあたりに入り込んで、痛さのあまり呼吸が止まる。
その場に崩れ落ちて蹲ると、あろうことかそいつはそんな僕を抱えて走り出した。
「……っ、止め……、なせ……っ」
痛くて大声も出せない。
しかも運の悪いことにすぐ隣は公園で、助けを呼ぶ前にずるずると薄暗い中に引きずられていった。
ドサッ!!
「……つっ!」
木々がうっそうと茂る暗い場所に、放り投げられた。投げられ方が悪くて、頭を打ちくらくらする。
……ヤバイ。これってかなり拙いんじゃないのか?
必死で起き上がろうとしたのだけど、上からまたがられて口を塞がれた。
上から僕を見下す男の表情は、……すっごい気持ちが悪いよ!!
舌なめずりしている!
目がギラギラしている~!!!
何で―!
何で男の僕に、そんな発情なんかしてるんだよー!!!
「い……、い、嫌だあぁぁぁぁ~!!!」
ドガッ!!
「グハッ、ゲホゲホッ!!」
――――?
「……え? は?」
突然目の前の男が吹っ飛んで、代わりに、僕の目線の上には恐ろしいくらいに整った顔の、少し冷たい感じのした男の人が立っていた。
「あ……、あの……?」
「大丈夫か?」
うわわ……。
顔だけじゃない、声もカッコイイ……。
ホケーッとその人の顔を見続けていると、その人がゆっくりと小首を傾げる。
うわっ、そうだよ!
なにポケッとしてるんだ。助けてもらったんだよね、僕。お礼言わなきゃ!
「あ、あの……、ありがとうございました!」
「……いや。立てるか?」
「あ、はっ、はいっ」
慌てて立ち上がろうとしたら、その人は僕に手を貸してくれた。
優しいな。ちょっと冷たそうだなんて思っちゃ、罰が当たるね。
「ありがとうござ……!?」
「気にするな。謝礼貰ってやる」
「……? え?」
〇▽□×?△◆!☆?~!!!
ききき、キス!
キスされてるうぅぅぅ~!!!!
な、な、な、なんなのこれ?
助けてくれた親切な人だと思ったのにぃ――――――!!!
別に部活をしているわけでも無いんだけど、みんなとおしゃべりをしていたら帰る時間が遅くなってしまった。
いつもなら親友の奏多と一緒なんだけど、今日は奏多の奴、礼美ちゃんとデートだとかでさっさと帰っちゃったんだよなぁ。
ともかく、変なのに絡まれないように急いで帰ろう。
僕は少し大周りになっても、暗い道は歩かないようにしている。
何でかって言うと、僕の見た目が愛らしいだとかわけの分からない理由で、男に絡まれることが多いからだ。
大通りをタタタと走っていると、突然横から手が伸びてきてガシッと掴まれた。
ゲッ、来た!
悲しいかな。こういう事に慣れつつある僕は、勢いよく振りかぶってそいつを殴ろうとしたんだけど、喧嘩慣れしている奴だったみたいで、僕の拳は瞬時に除けられた。そして代わりに、そいつは僕の腹に一発ぶちかましてきやがった。
「……グハッ!」
もろにみぞおちあたりに入り込んで、痛さのあまり呼吸が止まる。
その場に崩れ落ちて蹲ると、あろうことかそいつはそんな僕を抱えて走り出した。
「……っ、止め……、なせ……っ」
痛くて大声も出せない。
しかも運の悪いことにすぐ隣は公園で、助けを呼ぶ前にずるずると薄暗い中に引きずられていった。
ドサッ!!
「……つっ!」
木々がうっそうと茂る暗い場所に、放り投げられた。投げられ方が悪くて、頭を打ちくらくらする。
……ヤバイ。これってかなり拙いんじゃないのか?
必死で起き上がろうとしたのだけど、上からまたがられて口を塞がれた。
上から僕を見下す男の表情は、……すっごい気持ちが悪いよ!!
舌なめずりしている!
目がギラギラしている~!!!
何で―!
何で男の僕に、そんな発情なんかしてるんだよー!!!
「い……、い、嫌だあぁぁぁぁ~!!!」
ドガッ!!
「グハッ、ゲホゲホッ!!」
――――?
「……え? は?」
突然目の前の男が吹っ飛んで、代わりに、僕の目線の上には恐ろしいくらいに整った顔の、少し冷たい感じのした男の人が立っていた。
「あ……、あの……?」
「大丈夫か?」
うわわ……。
顔だけじゃない、声もカッコイイ……。
ホケーッとその人の顔を見続けていると、その人がゆっくりと小首を傾げる。
うわっ、そうだよ!
なにポケッとしてるんだ。助けてもらったんだよね、僕。お礼言わなきゃ!
「あ、あの……、ありがとうございました!」
「……いや。立てるか?」
「あ、はっ、はいっ」
慌てて立ち上がろうとしたら、その人は僕に手を貸してくれた。
優しいな。ちょっと冷たそうだなんて思っちゃ、罰が当たるね。
「ありがとうござ……!?」
「気にするな。謝礼貰ってやる」
「……? え?」
〇▽□×?△◆!☆?~!!!
ききき、キス!
キスされてるうぅぅぅ~!!!!
な、な、な、なんなのこれ?
助けてくれた親切な人だと思ったのにぃ――――――!!!
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