近くにいるのに君が遠い

くるむ

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番外編

君にメリークリスマス♪♪♪♪

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礼人がいなくなってから、陸が俺の手をそっと引き寄せた。俺の手のひらより少しだけ温かい陸の手のひら。
驚く俺に陸は笑って、コートのポケットに俺の手を握ったまま突っ込んだ。

「いいだろ? これくらい」

陸が目を細めて優しく微笑む。俺の大好きな陸の表情。
うれしくて、胸がキュンとした。

「うん、そうだね」

陸が包み込むように握ってくれる俺の手のひらは、外気の寒さとは全くの無縁で、ポカポカと温かくなってきていた。
キラキラと煌めく光の洪水の中、まるで別世界に居るような感覚だ。
陸と2人で居られるこの世界が永遠なのだと、俺たちに優しく微笑んでくれているようだ。


言葉なんて無くたって、溶け合うように俺たちの心は繋がっている。


☆☆☆☆☆☆彡☆☆☆☆☆☆


「お邪魔します」

イルミネーションを見終えて、陸と一緒に家に帰る。

「黒田君、いらっしゃい。さ、上がってちょうだい」
「はい、失礼します」

当然と言えば当然なんだろうけど、陸は俺の家族と接する時はまるで別人で、普段とは段違いに礼儀正しく愛想もいい。だから俺の両親の間の陸のイメージは、礼儀正しい好青年だ。以前そのことを礼人に言ったら、腹を抱えて爆笑し陸の脚が飛んでいた。

「お友達とごはん食べてきたって言ってたけど、これくらいは付き合ってくれるでしょう?」

母さんがそう言って、食卓にケーキをお皿に切り分けて持ってきてくれた。小学生の頃はケーキにローソクを立てたりしてたけど、もう最近ではそんな真似はしていない。
母さんと父さんの前には紅茶を、俺らの前には炭酸飲料を置いてくれた。

他愛ない話をしながら、父さんや母さんが陸に笑いかけるのを見るだけでほっこりとする。
ケーキを食べ終えた後、父さんは一人で日本酒を楽しんだ。
ケーキの後のお酒って、どうなんだろう。しかも日本酒だなんて、とても合うとは思えない。

「そういや、陸君は……」
「はい」

途中で言葉を止めた父さんに、一瞬ドキリとする。
俺らの関係に、何かを勘づいたというわけでは無いだろうけど、次の言葉をドキドキしながら待った。

「酒は強くなりそうに見えるよなー。二十歳過ぎたら、一緒に飲もうな。水も加えて3人で」
「は、はいっ」

陸も一瞬何を言われるんだろうとドキドキしていたんだろう。続く父さんの言葉に、ホッとしたように笑顔で頷いた。

「そんな事言って、父さん陸に無理させたらだめだからね。陸も、もしも飲めそうに無かったら、ちゃんと言わなきゃだめだよ」
「……大丈夫だよ」

どこか嬉しそうに笑う陸に、父さんの機嫌が上昇したのが分かる。

「そうか、じゃあ約束な。二十歳になったら、陸君のご家族も交えて皆でお祝いだ」
「まあ、いいわね。今から楽しみだわ」

盛り上がる両親に苦笑しながらも、陸が俺の家族に受け入れられていることに、俺は嬉しくてしょうが無かった。
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