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俺に触れて?
エピローグ
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いつもの放課後。
俺と陸と礼人は三人で部室に向かう。千佳も迎えに行ったのだが、既に剛先輩に拉致られた後だった。
「やっぱり千佳にはストーカー除けのお守りよりも、剛先輩だよな」
「だね」
剛先輩の千佳に対する執着というか独占欲の強さは半端ない。
だけど、最初に好きになったのは千佳の方なんだってさ。詳しい事は知らないけれど、俺がそのことを聞いた時、心底驚いたのは言うまでもないだろう?
部室に入ると案の定、剛先輩に膝枕をしてもらっている千佳がいた。
猫のように気持ちよさそうにゴロゴロしている。
…いつ見ても羨ましい程の甘えっぷりだよなぁ。
思わずじっと見つめていると、千佳と目が合った。
「どうしたの?シロ」
「ん…。いや、別に…」
言いよどむ俺に礼人がニヤニヤと笑う。
「なんだシロ、羨ましいんじゃないのか? クロに膝枕してもらいたいんだろ」
「……」
礼人の言葉に陸が『え?』という顔をして俺を見る。
「……」
いや、それはちょっと違う。
千佳が羨ましいというよりは…。どちらかというと…。
「陸、ちょっと」
俺は陸を引っ張って床に座らせる。キョトンとしながらも、陸は素直に腰を下ろした。
「そのままちょっと寝転んでみて?」
「え?」
俺の言葉が意外だったのだろう。戸惑ったように固まった。だけど腕を引っ張ったら、また素直に応じてくれた。
そこにすかさず足を持って行って…。
陸が俺に膝枕をしてもらっている状態が完成した。
「え、え?」
びっくりして慌てて飛び起きようとする陸を両手で抑える。
みんなも俺の行動に目を瞠っていた。
「なに?陸、不服?」
ちょっと拗ねたように口を尖らせて陸に言うと、陸は目を見開いたままフルフルと顔を横に振る。
「嫌じゃない?」
「……嫌なわけない…。てか、お前らあっち向け。こっち見んな!」
顔をほんのり赤くした陸が、寝転んだままこちらを凝視するみんなに拳を握って抗議する。
ちょっぴり子供っぽく見えるそんな陸を、俺はまた可愛いだなんて思ってしまっている。
…やっぱり末期だな。
だけどそんな風に陸を思える自分が嬉しい。
陸に甘えたい、甘えてもらいたい。
ずっと願っていた思いが、また1つ叶っている。
サラサラとした陸の髪に手を伸ばして、俺は思いっきりその感触を楽しんだ。
その後、我慢することを止めた陸に、備品室に連れ込まれてしまったのは俺の誤算だった……。
おしまい。
俺と陸と礼人は三人で部室に向かう。千佳も迎えに行ったのだが、既に剛先輩に拉致られた後だった。
「やっぱり千佳にはストーカー除けのお守りよりも、剛先輩だよな」
「だね」
剛先輩の千佳に対する執着というか独占欲の強さは半端ない。
だけど、最初に好きになったのは千佳の方なんだってさ。詳しい事は知らないけれど、俺がそのことを聞いた時、心底驚いたのは言うまでもないだろう?
部室に入ると案の定、剛先輩に膝枕をしてもらっている千佳がいた。
猫のように気持ちよさそうにゴロゴロしている。
…いつ見ても羨ましい程の甘えっぷりだよなぁ。
思わずじっと見つめていると、千佳と目が合った。
「どうしたの?シロ」
「ん…。いや、別に…」
言いよどむ俺に礼人がニヤニヤと笑う。
「なんだシロ、羨ましいんじゃないのか? クロに膝枕してもらいたいんだろ」
「……」
礼人の言葉に陸が『え?』という顔をして俺を見る。
「……」
いや、それはちょっと違う。
千佳が羨ましいというよりは…。どちらかというと…。
「陸、ちょっと」
俺は陸を引っ張って床に座らせる。キョトンとしながらも、陸は素直に腰を下ろした。
「そのままちょっと寝転んでみて?」
「え?」
俺の言葉が意外だったのだろう。戸惑ったように固まった。だけど腕を引っ張ったら、また素直に応じてくれた。
そこにすかさず足を持って行って…。
陸が俺に膝枕をしてもらっている状態が完成した。
「え、え?」
びっくりして慌てて飛び起きようとする陸を両手で抑える。
みんなも俺の行動に目を瞠っていた。
「なに?陸、不服?」
ちょっと拗ねたように口を尖らせて陸に言うと、陸は目を見開いたままフルフルと顔を横に振る。
「嫌じゃない?」
「……嫌なわけない…。てか、お前らあっち向け。こっち見んな!」
顔をほんのり赤くした陸が、寝転んだままこちらを凝視するみんなに拳を握って抗議する。
ちょっぴり子供っぽく見えるそんな陸を、俺はまた可愛いだなんて思ってしまっている。
…やっぱり末期だな。
だけどそんな風に陸を思える自分が嬉しい。
陸に甘えたい、甘えてもらいたい。
ずっと願っていた思いが、また1つ叶っている。
サラサラとした陸の髪に手を伸ばして、俺は思いっきりその感触を楽しんだ。
その後、我慢することを止めた陸に、備品室に連れ込まれてしまったのは俺の誤算だった……。
おしまい。
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