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俺に触れて?
ごめんの意味
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目が覚めた時は陸の腕の中だった。腕枕はもちろんのこと、もう片っ方の腕も俺の背中に回っている。
寝転びながら抱きしめられている状況に、嬉しさと共に、初めて陸に抱かれたときの事を思い出した。
あの時は、目覚めた時には陸は既に居なくて、小さなメモだけが残っていたんだっけ。
俺を抱きしめている陸の腕を両手でギュッと握る。
幸せ過ぎて怖いと思う。夢なんかじゃないってわかっているのに、俺は夢でありませんようにと、心の中で小さく呟いた。
「…みず…?」
腕をギュッと握り過ぎたのか、陸が目を覚ましてしまった。
「…はよ」
出した自分の声が思ったより掠れていてびっくりした。
…そういえば、さんざん喘がされてしまっていたような気がする…。
「声、掠れてるな」
「…っ。し、仕方ないだろ…」
「…ああ」
陸は俺の体を少し引き上げて、目線を同じ位置に持ってきた。
「夢じゃ…無いんだな。俺、やっと水のちゃんとした恋人に…なれたんだな」
嬉しそうに、感慨深げに言う陸に、熱いものが込み上げてきた。
同じだ。陸も、俺と同じことを思ってくれていた。
陸の指が、そっと俺の頬をぬぐう。
その濡れた感触に、俺は初めて泣いていることに気がついた。
「今まで、一人で突っ走ってしまって、ごめんな。俺……水に、随分…悲しい思い、させたよな?」
言いにくそうにポツリポツリと話す陸に、よけいに昂る感情を抑えられなくなる。
思わず俺はずっと燻っていて、だけど未だに話していなかった気持ちを陸にぶちまけてしまった。
「…そう、だよ…っ!『ごめん』だなんてあんなメモだけ残すから…!…もう、友達に戻ることでしか陸の傍に居られないんじゃないかって、凄く悩んだんだからな…!」
心の奥に沈んでいた俺の思い。それを吐き出したことによって、押さえつけられていた思いが溶け出していく。
何でもっとこうやって、陸に踏み込んでいくことが出来なかったんだろう。
あまりにも不甲斐ない俺たちに、ホント、あきれ果ててしまう。
「…ごめんって気持ちは今でもあるよ」
「え…?」
驚いて見上げる俺に、陸は苦く笑った。
「…好きすぎてごめん、抑えが利かなくてごめん、別れたいと言われても絶対に分かれてなんてやらない…。そういう気持ちだ」
「陸…」
「あの時、そういう色んな思いを水に伝えなきゃと思ったんだけど、俺も神経が昂っていて、どう書いたら水に思いが伝わるのかって色々考えすぎちまって、わけわかんなくなっちゃって…」
「……それで、あんな思いっきり短縮した『ごめん』になったってわけ?」
思いっきり睨みつけて文句を言う俺に、陸が身を縮める。
「…すまん」
初めて見る陸のしおらしい態度。
いつもは本当に呆れるくらい無表情で不愛想だっていうのに…。
「…いいよ、もう」
苦笑交じりに言う俺に、陸が恐る恐るといった風に顔を上げる。
そろそろ陽が昇り始めたらしい。少し開いているカーテンの隙間から白い太陽の光が差し込み始める。
その白い光が、陸の横顔を明るく照らしていた。
「…シャワー」
「え?」
「シャワー一緒に浴びたいけど、やっぱり止めとく。…俺のことだから性懲りもなく、水のこと求めそうだし」
「り、陸…」
あけすけに自分の気持ちを伝えてくれる陸は嬉しいけれど、却ってこっちが悶える羽目になってしまう。
陸が俺を求めるアレコレを思い出して、顔が熱くなってしまった。
「水」
呼ばれて顔を上げると、不意に陸が顔を寄せてきて、チュッと音を立てて口付けた。びっくりして固まる俺をよそに、陸はそのままバスルームへと歩いて行った。
…ちょっと、ちょっと待て…っ!
陸ってあんな奴だったっけ!?
それとも、本当はずっとそうしたいと思っていたことを、我慢するのを止めたってことか……?
陸の思いがけない甘い爆弾に、俺は枕に顔をうずめて悶えていた。
寝転びながら抱きしめられている状況に、嬉しさと共に、初めて陸に抱かれたときの事を思い出した。
あの時は、目覚めた時には陸は既に居なくて、小さなメモだけが残っていたんだっけ。
俺を抱きしめている陸の腕を両手でギュッと握る。
幸せ過ぎて怖いと思う。夢なんかじゃないってわかっているのに、俺は夢でありませんようにと、心の中で小さく呟いた。
「…みず…?」
腕をギュッと握り過ぎたのか、陸が目を覚ましてしまった。
「…はよ」
出した自分の声が思ったより掠れていてびっくりした。
…そういえば、さんざん喘がされてしまっていたような気がする…。
「声、掠れてるな」
「…っ。し、仕方ないだろ…」
「…ああ」
陸は俺の体を少し引き上げて、目線を同じ位置に持ってきた。
「夢じゃ…無いんだな。俺、やっと水のちゃんとした恋人に…なれたんだな」
嬉しそうに、感慨深げに言う陸に、熱いものが込み上げてきた。
同じだ。陸も、俺と同じことを思ってくれていた。
陸の指が、そっと俺の頬をぬぐう。
その濡れた感触に、俺は初めて泣いていることに気がついた。
「今まで、一人で突っ走ってしまって、ごめんな。俺……水に、随分…悲しい思い、させたよな?」
言いにくそうにポツリポツリと話す陸に、よけいに昂る感情を抑えられなくなる。
思わず俺はずっと燻っていて、だけど未だに話していなかった気持ちを陸にぶちまけてしまった。
「…そう、だよ…っ!『ごめん』だなんてあんなメモだけ残すから…!…もう、友達に戻ることでしか陸の傍に居られないんじゃないかって、凄く悩んだんだからな…!」
心の奥に沈んでいた俺の思い。それを吐き出したことによって、押さえつけられていた思いが溶け出していく。
何でもっとこうやって、陸に踏み込んでいくことが出来なかったんだろう。
あまりにも不甲斐ない俺たちに、ホント、あきれ果ててしまう。
「…ごめんって気持ちは今でもあるよ」
「え…?」
驚いて見上げる俺に、陸は苦く笑った。
「…好きすぎてごめん、抑えが利かなくてごめん、別れたいと言われても絶対に分かれてなんてやらない…。そういう気持ちだ」
「陸…」
「あの時、そういう色んな思いを水に伝えなきゃと思ったんだけど、俺も神経が昂っていて、どう書いたら水に思いが伝わるのかって色々考えすぎちまって、わけわかんなくなっちゃって…」
「……それで、あんな思いっきり短縮した『ごめん』になったってわけ?」
思いっきり睨みつけて文句を言う俺に、陸が身を縮める。
「…すまん」
初めて見る陸のしおらしい態度。
いつもは本当に呆れるくらい無表情で不愛想だっていうのに…。
「…いいよ、もう」
苦笑交じりに言う俺に、陸が恐る恐るといった風に顔を上げる。
そろそろ陽が昇り始めたらしい。少し開いているカーテンの隙間から白い太陽の光が差し込み始める。
その白い光が、陸の横顔を明るく照らしていた。
「…シャワー」
「え?」
「シャワー一緒に浴びたいけど、やっぱり止めとく。…俺のことだから性懲りもなく、水のこと求めそうだし」
「り、陸…」
あけすけに自分の気持ちを伝えてくれる陸は嬉しいけれど、却ってこっちが悶える羽目になってしまう。
陸が俺を求めるアレコレを思い出して、顔が熱くなってしまった。
「水」
呼ばれて顔を上げると、不意に陸が顔を寄せてきて、チュッと音を立てて口付けた。びっくりして固まる俺をよそに、陸はそのままバスルームへと歩いて行った。
…ちょっと、ちょっと待て…っ!
陸ってあんな奴だったっけ!?
それとも、本当はずっとそうしたいと思っていたことを、我慢するのを止めたってことか……?
陸の思いがけない甘い爆弾に、俺は枕に顔をうずめて悶えていた。
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