近くにいるのに君が遠い

くるむ

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俺に触れて?

心も体も5

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「ほら、水…。そんなにくっついてちゃ洗えないから」

耳元で、低く優しい声で囁くように俺に言いながら、陸は掌をわき腹へと下ろしていく。
俺はそんな陸の声にまで反応してしまってびくびくと体が震える。

…絶対、わざとだ。

もう俺の下半身もしっかり反応を示し始めていた。

「陸…、ずるい…っ」

変な声が出ないように押し殺しながら抗議する俺に、陸の気配が楽しそうに揺れる。
わざわざまた、俺の耳元に唇を寄せて、吐息交じりに囁いた。

「なにが…?」
「つ…っ、もう…っ」

堪らなくなった俺は、陸の悪戯な手をがしっと掴み、抗議する。

「俺だって陸のこと触りたい」

俺がそういうと陸は目をパシパシとさせた。そしてちょっぴり頬を赤らめ、目線を泳がす。

「…いやじゃないけど、だめだ。ヤバいから」
「何で…?」
「何でって…」

そこでいったん陸はふうっと息を吐き、俺に視線を戻す。

「今だって必死に抑えてるんだよ、水を怖がらせないように。あんまり煽られると、これ以上抑えてられるか分かんねーし」

「…大丈夫だよ。今の陸なら」


しばらくしっかり視線を合わす。

すると陸は、困ったような顔をして、「しょうがないな」と呟いた。
了承を得られた俺は、陸の気持ちが変わらないうちにと、ボディソープの泡を手に取った。 

掌を陸の首筋に滑らせて、石鹸の泡を撫で付けていく。滑らかな肌に滑らかな泡。
するすると気持ち良い手触りを、俺は純粋に楽しんでいた。
しっかりと付いた胸の筋肉も、気持ちのいい厚みと固さだ。

ほんっと、男としては羨ましい限りの体だよな。
俺とおんなじ細身のくせに!

…まあ、俺は陸みたいに鍛えてないからしょうがないんだけどさ。


「…俺もちょっとは鍛えようかなあ」
「…っ、水…!」
「ん~?」

突然ガシッと両手を掴まれてびっくりして顔を上げる。
…真っ赤な顔の陸が、俺を睨んでいた。

「お前、いい加減にしろよ? 言っただろ、煽るなって!」
「あ、煽ってなんかないよ!…羨ましい体だなって思っただけで…。そりゃ、ちょっと触り心地が良すぎたから、ついついおんなじとこばっか触っちゃったけどさ」

「……」

俺の返事になぜか絶句したような表情をした陸は、俺をグイッと引き寄せて抱きしめあう形になった。

「背中、洗うから」

そう言って、俺の背中をするすると撫でまわしていく。

「つ…っ。うん…っ」

背中を洗うと言って引き寄せられたとき、俺も、と思ったのに、またビクビクと感じてしまって、思うように動けなくなる。それで思わず陸の背中に縋りついてしまう。
陸の掌はそのまま俺の背中を伝って、腰からお尻へと下降していった。

「…柔らかいな」

やわやわと、まるで感触を楽しむようにいやらしく蠢く掌。しつこく揉まれて撫でられて…。
今日あった痴漢よりもいやらしい動きなのに、陸にされているというだけで、俺の気持ちは昂っていく。

「り、りくぅ…っ」
「いったんイッとこう」

言うや否や、陸は緩く反り上がり掛けている俺の物を掴み、陸のそれとひとまとめに両手で擦り合わせる。
熱く固く脈打つ陸のそれを直に感じて、ダイレクトに甘い痺れが走った。

「ま、待って陸…っ」

「何…? 焦らして…欲しいのか…?」

快感に塗れた色っぽい表情で、陸が俺を見る。

焦らしてほしいわけじゃない。あまりに気持ち良すぎて、どうにかなってしまいそうで怖いだけだ。
だけど陸の言葉同様、追い上げるように激しく動いていた手の動きがどんどん緩慢になっていく。
そしてとうとう、撫でるくらいの鈍い動きへと変わって行った。

あまりにじれったいゆっくりな動きに、知らず、腰が揺れる。

「り、く…」

拷問のように焦れる動きに、俺は今度は強請るように陸の顔を見上げた。分かっているだろうに、陸は俺と目を合わせても、口角を上げるだけでちっとも手のスピードを上げようとはしない。
痺れを切らした俺は、とうとう陸の手の上に両手を重ねた。

「だよ、な」

意地悪くニヤリと笑った陸は、今度は逆に追い上げるスピードを上げる。
上下に動く手の動きと、熱く脈打つ陸のソレに、体温がまた上昇し始める。


「…っ、あ、ああっ…っ」
「…んっ」



二人、ほぼ同時に熱を吐き出して、俺らは熱くなった体を抱きしめあったまま、荒く息を吐いていた。
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