近くにいるのに君が遠い

くるむ

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俺に触れて?

甘々旅行デート5

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「じゃあ、そろそろチェックインしに行くか」

俺がお守りをさっさと買ってしまったので、陸もまあいいかと思ってくれたようだ。
そして自分も同じものを買った後、ホテルに行こうとみんなを促した。

「その前に!」

千佳が手を上げて大声を出す。

「〇イトオン行かない? 俺、Tシャツとか欲しいんだけど」
「ああ、いいな。俺が選んでやるよ」

剛先輩の返事に、千佳が嬉しそうに腕に飛びつく。

「やったー♪ ね、みんなも良いでしょ? チェックインなんか、ごはん食べ終わってからでもいいんじゃない? ホテルは駅から近いしさ」

「それもそうだな。反対の奴、いるか?」

涼さんが、みんなを見まわして意見を募った。だけど、別に反対する人はいなくって、俺らはまたぞろぞろとショップへと向かった。

「うわ、ラッキー♪ セールやってるよ」

千佳はタタタと走って行って、ボーダー柄や、華やかな色合いのTシャツを手に取って、剛先輩を振り返る。
仲良く並んだ彼らは、千佳にシャツを合わせたり鏡を見たりと楽しそうに悩んでいる。
気が付くと、みんな各々物色し始めていた。


ふと目をやると、淡いグリーンのTシャツ。その透明で瑞々しい色合いが、陸に似合うと思った。
思わず手に取って、陸にあてがう。突然の俺の行動に、陸はびっくりしたように目を瞬かせた。

「…カッコイイ…」
「え…?」
「え、あっ。や…」

う、うわっ…。思わず声に出してしまっていた…!
恥ずかしくてどうごまかそうかと思ったんだけど、陸はしっかり俺の声が聞こえていて、……陸の顔も赤くなっている。
俺らのとんだバカップルぶりに、礼人が向こうからニヤニヤしながらこちらを見ていた。でもって、しっかりこっちに歩み寄ってくる。(来なくていいし…!)


「さすがだなぁ、クロ。爽やかでクール。どっかのアイドルみたいだな」
「……揶揄いに来たんなら、向こうに戻れ」
「んなわけねーだろ。試着してみれよ」
「……」

陸が、シャツを手に持ったまま俺をじっと見る。

「…嫌じゃなかったら、着てみて? ホント、似合ってるから」
「…分かった」

頬の赤いまま陸は頷いて、素直に試着室へと入って行った。
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