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俺に触れて?
危機一髪
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ガシャーンと、机と椅子のぶつかる音がして、激しく机が倒れた。
「この…っ!」
俺の必死の抵抗に、竹下の顔色が変わる。俺を殴りつけてでも言う事を聞かせたいと思ったのか、竹下が右手を振り上げた。
殴られるのを覚悟して、俺はギュッと歯を食いしばる。
「水、いるのか!?」
「シロ!?」
ガラッと扉が開いて、陸と礼人が駆け込んできた。
「り、く…」
竹下は振り上げた手をぴたりと止めて、固まったように二人の方を向いていた。
来て…くれた。陸が俺を探しに来てくれた…。
切羽詰まったような表情の陸と目が合って、俺の体から力が抜けていく。
弛緩した俺の様子を確認すると、陸はその視線を竹下に移動した。
つかつかと足早にこちらに近づいてきた陸は、力任せに竹下を引き上げて俺から遠ざける。
「離せ! 何しやがるっ! お前だって似たような事してるくせにっ…!」
往生際の悪い事を言いながら抵抗する竹下を、陸は力任せに殴り飛ばした。
近くの机にぶつかって、凄い音とともに転がっていく。竹下は苦痛に顔を歪ませていた。
陸は竹下の胸倉を掴み引き寄せて、頬を殴る。そのまま馬乗りになって竹下を殴ろうとする陸を、礼人が慌てて止めに入った。
「止せ! バカ。二発殴ったんだから、もういいだろ!」
「離せ! 水が襲われたんだぞ! これだけで済ませられるか!」
竹下に馬乗りになったまま、陸は礼人と揉めていた。絶対引きそうにない陸に、俺も慌てる。
「陸、大丈夫だから! 押し倒されただけで、大したことはされてないよ!」
「シャツ、肌蹴てるじゃないか!」
俺の言葉に反射的に陸が怒鳴り返す。
その言葉にびっくりしてシャツを握ると、ボタンが飛び散って布だけの感触のところがいくつかあって、焦ってしまった。
「それだけじゃないんだろ」
突き刺す様な鋭い視線で睨まれて、俺の体が一瞬ピクリと揺れる。
俺の抵抗で、キスとは言えない状態だったけど、キスだと言われてもおかしくないようなことをされていた事を思い出した。
俺のそんな微妙な状態を見た陸が、表情を余計に強張らせた。
「殺す」
物騒な事を言って、竹下に向き直った陸を、俺と礼人で必死で止めた。
「バカ! なに言ってんだよ! こんな奴ぶちのめして、クロが処分されてみろ! シロはどうすんだよ!」
「そうだよ! 竹下にされた事なんて大したことじゃないよ。陸が停学とか、退学なんかになったら…! 俺はそっちの方が嫌だよ!」
必死の形相の俺と礼人に、陸はすごく不満そうではあったけど、それでも何とか竹下から引いてくれた。
ふらふらと立ち上がった竹下に、礼人が呼び止める。
「お前、二度とシロにちょっかい出すなよ。今回は見逃すけど、次やったらマジでただじゃおかないからな」
「…」
「返事しろ! 今すぐ潰されたいか?」
珍しく怒気を放ってすごむ礼人に、竹下の体が揺れた。表情も、緊張しているのか血の気が引いている。
「…分かった。シロに二度と変な事はしない」
呟くように言った後、竹下は教室を出て行った。
「この…っ!」
俺の必死の抵抗に、竹下の顔色が変わる。俺を殴りつけてでも言う事を聞かせたいと思ったのか、竹下が右手を振り上げた。
殴られるのを覚悟して、俺はギュッと歯を食いしばる。
「水、いるのか!?」
「シロ!?」
ガラッと扉が開いて、陸と礼人が駆け込んできた。
「り、く…」
竹下は振り上げた手をぴたりと止めて、固まったように二人の方を向いていた。
来て…くれた。陸が俺を探しに来てくれた…。
切羽詰まったような表情の陸と目が合って、俺の体から力が抜けていく。
弛緩した俺の様子を確認すると、陸はその視線を竹下に移動した。
つかつかと足早にこちらに近づいてきた陸は、力任せに竹下を引き上げて俺から遠ざける。
「離せ! 何しやがるっ! お前だって似たような事してるくせにっ…!」
往生際の悪い事を言いながら抵抗する竹下を、陸は力任せに殴り飛ばした。
近くの机にぶつかって、凄い音とともに転がっていく。竹下は苦痛に顔を歪ませていた。
陸は竹下の胸倉を掴み引き寄せて、頬を殴る。そのまま馬乗りになって竹下を殴ろうとする陸を、礼人が慌てて止めに入った。
「止せ! バカ。二発殴ったんだから、もういいだろ!」
「離せ! 水が襲われたんだぞ! これだけで済ませられるか!」
竹下に馬乗りになったまま、陸は礼人と揉めていた。絶対引きそうにない陸に、俺も慌てる。
「陸、大丈夫だから! 押し倒されただけで、大したことはされてないよ!」
「シャツ、肌蹴てるじゃないか!」
俺の言葉に反射的に陸が怒鳴り返す。
その言葉にびっくりしてシャツを握ると、ボタンが飛び散って布だけの感触のところがいくつかあって、焦ってしまった。
「それだけじゃないんだろ」
突き刺す様な鋭い視線で睨まれて、俺の体が一瞬ピクリと揺れる。
俺の抵抗で、キスとは言えない状態だったけど、キスだと言われてもおかしくないようなことをされていた事を思い出した。
俺のそんな微妙な状態を見た陸が、表情を余計に強張らせた。
「殺す」
物騒な事を言って、竹下に向き直った陸を、俺と礼人で必死で止めた。
「バカ! なに言ってんだよ! こんな奴ぶちのめして、クロが処分されてみろ! シロはどうすんだよ!」
「そうだよ! 竹下にされた事なんて大したことじゃないよ。陸が停学とか、退学なんかになったら…! 俺はそっちの方が嫌だよ!」
必死の形相の俺と礼人に、陸はすごく不満そうではあったけど、それでも何とか竹下から引いてくれた。
ふらふらと立ち上がった竹下に、礼人が呼び止める。
「お前、二度とシロにちょっかい出すなよ。今回は見逃すけど、次やったらマジでただじゃおかないからな」
「…」
「返事しろ! 今すぐ潰されたいか?」
珍しく怒気を放ってすごむ礼人に、竹下の体が揺れた。表情も、緊張しているのか血の気が引いている。
「…分かった。シロに二度と変な事はしない」
呟くように言った後、竹下は教室を出て行った。
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