近くにいるのに君が遠い

くるむ

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俺に触れて?

鈍感…なのか?

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翌日、やっと美術部でのモデルのバイトが終了した。
千佳と俺は約束通り三千円のバイト料をもらい、美術室を出る。

「今日はあの竹下って奴、来なかったね」
「ああ、それなら紫藤に頼んでおいたから」
「礼人に?」

俺はもらったバイト料をポケットにしまいながら、陸を見る。

「紫藤も竹下の事、気に入らないらしいぞ。…初めて紫藤に話しかけられたあの日さ、水の事守ってくれって頼まれたんだよな。誰に、とは言われなかったんだけど、あれたぶん竹下の事だったんだな」

「守るって…。俺、別に竹下に変な事なんてされてないぞ」

「これだからな…」

一拍間をおいて、呆れたように言う陸。

「だな」

今まで黙って話を聞いていただけの剛先輩まで、陸に同意した。…て、どういう意味だよ。

いちいち反論するのも子供じみているから、あえて反論は控えることにした。
でも今一、モヤモヤするなーと思いながら歩いていると、後ろからバタバタと走る足音が近づいてくる。

「やー、間に合った。間に合った」
「お疲れ。紫藤」
「「お疲れー」」

みんな口々に礼人をねぎらう。チラリと礼人に視線を向けられ、ちょっと身構えた。

「なんだシロ、その顔。さてはみんなに説教されたか」
「別に説教なんてされてないよ…。でも、鈍感扱いされてる気はする」

そう言って軽く愚痴ると、礼人は笑い顔のまま目を見開いて、俺の肩をバシバシ叩いた。

「イッタ、礼人痛い!」
「( ゜∀゜)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \。わっり。でもそれもシロの可愛いとこだし」
「「可愛い言うな!」」

え…?

言葉がかぶって振り向くと、不機嫌そうに陸が礼人を睨んでた。

「あー、またお前は面倒くさい!そういう文句はなぁ、シロとセミダブルで寝れるくらいになってからにしろ」
「…なに言ってんだ、てめぇ」
「るせっ。お前は欲求不満のくせにヘタレなんだよっ」
「お前、絶対許さん!」

真っ赤になった陸が礼人を蹴ろうと足を上げた。それを避けるように、笑いながら走り出した礼人を陸が追っていく。



相変わらずな光景に、残された三人は顔を合わせて笑い出した。
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