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俺を見て?
モデルの依頼
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「あれ、みんな早かったな。呼びに行こうと思ってたのに」
教室から飛び出してきた礼人が、俺らを見て拍子抜けしたようだ。
「これでも結構、楽しみにしてるんだよ。読書どうこうは置いといても。みんなでわちゃわちゃ出来るわけでしょ」
「剛先輩といちゃつけるし?」
「えへへー」
礼人の冷やかしにも千佳は動じる風もない。素直な所は千佳の長所だ。
…ちょっと羨ましいかな。
部室へと向かいながら四人で歩いていると、後ろから大声で千佳を呼ぶ声がした。
「工藤ー! ちょっと待って! 工藤千佳!」
切羽詰まったその声に振り返ると、町田が荒い息をしながら駆け寄ってきた。
「頼む。工藤、頼みがあるっ」
「なんだよ、町田。びっくりした」
「モデル! モデルになってくれ美術部の!」
言われた千佳も、俺らもびっくりして町田の汗だくの顔を凝視した。
四人から一斉に見られたせいか、町田がちょっと後ずさる。だけど俺と目が合って、何か気が付いたように目を見開いた。
「うわ、白石じゃん! こりゃ良いや。工藤と一緒に白石もモデルや…っ、イッテ!」
また陸の足が飛んだようだ。町田が痛そうに足をさすっている。
「何しやがんだよ、黒田! いてーだろ!」
「あぁ?」
睨みながら低い声で威嚇する陸に、一瞬町田もビビるが、引く気は無いようだ。
「頼むよ、工藤。先輩から工藤をモデルに連れて来いって言われてるんだよ!」
「え~? 俺、これから同好会に行くんだけど」
「同好会?」
「そうだよ! 読書同好会! 千佳も会員なんだから、美術部になんて入れさせねーぞ」
礼人も斜め上に顔を上げ、腰に手を当て見下ろすように町田を見る。
綺麗な顔をした礼人の不機嫌そうな顔はそれなりに迫力があり、町田も困惑したようだ。
だけど町田も町田で、美術部の先輩が怖いのか絶対に引く気は無さそうだった。
「美術部に入らなくていいから、い、一週間、いや3日でもいいから工藤と白石を貸してくれ!」
ドカッ!!
「ったー!!」
今度はさっきより力を込めていたようで、陸の足蹴に町田が大きく転んだ。
「ちょっと、陸!」
俺は慌てて止めに入ろうとしたが、礼人に肩をポンと叩かれて止められた。
「今シロに止められたら、あいつよけいに頭に来るから」
「えっ、でも…」
「何するんだよ!」
これは本当に痛かったのだろう。町田も真っ赤になって怒っていた。
「それはこっちのセリフだ! 連れて来いと言われたのは工藤一人だろ! なんでお前は水まで連れて行こうとするんだよ」
…え。
陸が俺を連れて行かせまいとして、怒ってくれてる…?
どうしよう。凄く嬉しいんだけど…。
ドキドキと喜ぶ心臓に素直に従っていたら、後ろから複雑そうな千佳の声が聞こえてきた。
「クロ、酷ーい。俺はどうでも良いわけー?」
千佳の言葉に一瞬反応した陸は、振り返って千佳を見るが言葉は無い。
そのまま、また町田に向かい合った。
「…工藤もどうやら嫌らしい。諦めろ」
「ええっ!? いや、それは勘弁してくれ。マジで怖いんだよ、あの先輩! 工藤連れて行かなかったら何言われるか!」
「うーん」
その町田の言葉に、千佳が何かを考えるように腕を組んだ。
「バイト代くれる?」
「…へ?」
「バイト代、出してくれるなら。シロと一緒なら出ても良いよ?」
「ちょっと千佳!」
「なんだと、てめー!」
「……」
俺たちの動揺をよそに、千佳はにっこり笑っていた。
教室から飛び出してきた礼人が、俺らを見て拍子抜けしたようだ。
「これでも結構、楽しみにしてるんだよ。読書どうこうは置いといても。みんなでわちゃわちゃ出来るわけでしょ」
「剛先輩といちゃつけるし?」
「えへへー」
礼人の冷やかしにも千佳は動じる風もない。素直な所は千佳の長所だ。
…ちょっと羨ましいかな。
部室へと向かいながら四人で歩いていると、後ろから大声で千佳を呼ぶ声がした。
「工藤ー! ちょっと待って! 工藤千佳!」
切羽詰まったその声に振り返ると、町田が荒い息をしながら駆け寄ってきた。
「頼む。工藤、頼みがあるっ」
「なんだよ、町田。びっくりした」
「モデル! モデルになってくれ美術部の!」
言われた千佳も、俺らもびっくりして町田の汗だくの顔を凝視した。
四人から一斉に見られたせいか、町田がちょっと後ずさる。だけど俺と目が合って、何か気が付いたように目を見開いた。
「うわ、白石じゃん! こりゃ良いや。工藤と一緒に白石もモデルや…っ、イッテ!」
また陸の足が飛んだようだ。町田が痛そうに足をさすっている。
「何しやがんだよ、黒田! いてーだろ!」
「あぁ?」
睨みながら低い声で威嚇する陸に、一瞬町田もビビるが、引く気は無いようだ。
「頼むよ、工藤。先輩から工藤をモデルに連れて来いって言われてるんだよ!」
「え~? 俺、これから同好会に行くんだけど」
「同好会?」
「そうだよ! 読書同好会! 千佳も会員なんだから、美術部になんて入れさせねーぞ」
礼人も斜め上に顔を上げ、腰に手を当て見下ろすように町田を見る。
綺麗な顔をした礼人の不機嫌そうな顔はそれなりに迫力があり、町田も困惑したようだ。
だけど町田も町田で、美術部の先輩が怖いのか絶対に引く気は無さそうだった。
「美術部に入らなくていいから、い、一週間、いや3日でもいいから工藤と白石を貸してくれ!」
ドカッ!!
「ったー!!」
今度はさっきより力を込めていたようで、陸の足蹴に町田が大きく転んだ。
「ちょっと、陸!」
俺は慌てて止めに入ろうとしたが、礼人に肩をポンと叩かれて止められた。
「今シロに止められたら、あいつよけいに頭に来るから」
「えっ、でも…」
「何するんだよ!」
これは本当に痛かったのだろう。町田も真っ赤になって怒っていた。
「それはこっちのセリフだ! 連れて来いと言われたのは工藤一人だろ! なんでお前は水まで連れて行こうとするんだよ」
…え。
陸が俺を連れて行かせまいとして、怒ってくれてる…?
どうしよう。凄く嬉しいんだけど…。
ドキドキと喜ぶ心臓に素直に従っていたら、後ろから複雑そうな千佳の声が聞こえてきた。
「クロ、酷ーい。俺はどうでも良いわけー?」
千佳の言葉に一瞬反応した陸は、振り返って千佳を見るが言葉は無い。
そのまま、また町田に向かい合った。
「…工藤もどうやら嫌らしい。諦めろ」
「ええっ!? いや、それは勘弁してくれ。マジで怖いんだよ、あの先輩! 工藤連れて行かなかったら何言われるか!」
「うーん」
その町田の言葉に、千佳が何かを考えるように腕を組んだ。
「バイト代くれる?」
「…へ?」
「バイト代、出してくれるなら。シロと一緒なら出ても良いよ?」
「ちょっと千佳!」
「なんだと、てめー!」
「……」
俺たちの動揺をよそに、千佳はにっこり笑っていた。
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