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婚約しよう

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 カーギル先生が帰った後、ぼくとお兄様とルークの3人で話をした。
「魅了魔法にかかっていたとは言え、ルークにはつらい思いをさせて本当にすまなかった」
 そう言って、ルークが深々と頭を下げた。ぼくらは慌てて彼の頭を上げさせる。 

「さっきも言いましたけど、それはルーク様のせいではありません。操られていたあなたも被害者ですから。そうですよね、お兄様」
「 もちろんだ。俺らはちゃんとわかってますから」
「……ありがとう」
 ルークの目は赤い。涙もうっすらと滲んでいる。それをゴシゴシと手でぬぐった後、ルークが表情を変えた。

「キリンスのおかげでもう僕たちは呪いを受ける可能性もなくなった。違法魔法を使ったことでサラもきっと罰を受けるだろう。僕は今日知った事実を、父上と母上に話そうと思う。その上でノエルとの婚約を許してもらおうと思うのだけど、構わないか?」

「えっ?」
 トクンと小さく胸が鳴った。
「……僕は君のことを愛しているから、今すぐにでも婚約したいんだ」
  安心したいと呟くルークに、変わらないなと思った。

「どうする? ノエル。俺は色々と解決したし、 2人の気持ちが確かなら構わないと思うのだけど」
「……ぼくも、安心したいです」
「じゃあ、話を進めてもいいんだね?」
 ぱあっと、ルークの顔が花がほころぶような笑顔になった。
 ちょっとドキドキする。

「はい」
 こくんとぼくが頷くと、ルークは「ありがとう」と叫ぶように言い、ぼくをぎゅっと抱きしめた。
「幸せにするから、大事にするからね!」
「はい、ぼくもルーク様を幸せにします」

 感極まりすぎて、涙が出そうになる。
 巻き戻った時、こんな展開になるだなんて想像すらできなかったのに。

 やっとルークの腕の中を、本当に安心できると思えるようになった。ほうっと安堵のため息をついて何気に視線を斜め前に向けると、困ったような優しいような何とも言えない表情のお兄さまと目が合った。
 そ、そうだった。お兄様がいるんだよ。

「ル、ルーク様……」
 ポンポンと背中を叩くも、ルークはさらにぎゅっとぼくをだきしめる腕に力を込めた。
「あの、お兄様もいらっしゃいますから……」
 お兄様に聞こえないように小さな小さな声でルークに訴えると、不服そうにしながらもゆっくりと腕をほどいた。
 お兄様は笑っている。

「こちらの方でも両親に話をつけておきます」
「ありがとう。頼むよ」

 話が落ち着いた頃には陽も落ち始め、少し薄暗くなってきた。そろそろ帰ったほうがいいのでは?とお兄様に促され、ルークは名残惜しそうにしながら帰っていった。
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