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話をしよう

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 脱力しているルークに、カーギル先生とジョーンズ様が近寄った。
「大丈夫か? はっきりしているか?」
「……はい、大丈夫です。少し疲れた感じはしますが」
「そうか」

 ジョーンズ様はしばらくルークの顔を観察するようにじっと見ていたけれど、大丈夫だろうと言って彼から離れた。

「君の精神状態が変になっていたのはわかるな?」
「はい。なんだかまともにものが考えられなくて、夢心地な感じでした」
「それがわかった状態ならいい。君は精神的に操られるような状態になっていた」
 ある程度わかっていたことなのだろうけれど、ジョーンズ様からそう聞いて、ルークは愕然とした表情になった。ショックだったのだろう。

「で、君に指輪をくれた相手は誰だい?」カーギル先生が問う。
「……ラッフェル伯爵家のサラ嬢です」
 ジョーンズ様は聞いたことのない名前だったのだろう。首をかしげて考えるそぶりを見せた。当然だ。彼は特進クラスのみしか扱っていないのだから。
「Bクラスの生徒ですね」
 カーギル先生の言葉に、ジョーンズ様は頷いた。

「そうか、わかった。彼女には後で事情を聞くことにしよう。君も気をつけなさい」
「はい」

 ルークは神妙にうなずいた。そしてぼくと目が合うと、ごめんといったような表情になった。以前ぼくに言われた事も思い出していたんだろう。

「さてと、一応ひと段落ついたということで、本来のキリンスに関してのことを話そう。いいかい? ノエル」
「えっ?」
 今度はぼくが心拍数を上げる番だった。ジョーンズ様が真剣な目でぼくを見ている。おそらくぼくが抱える秘密を、話すようにと言っているのだろう。

「知るということは、何かを解決することに繋がる。知らなければ、救える者も救ってあげることはできないぞ?」
 ジョーンズ様はぼくから目を離さない。緊迫した空気を察して、お兄様がぼくに声をかけた。

「俺たちは部屋から出た方がいいか?」
 その言葉にハッとして周りを見た。ここに居るのは信頼できるカーギル先生にお兄様、王子にアーネストにクリス、そしてこの件にも関わるルークだ。

 ぼくはぎゅっと拳を握った。

「大丈夫です、話します。続けてください」
 ぼくの言葉にジョーンズ様は頷いた。
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