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頼もしくて怖い笑顔

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 お昼の時間になった。普段なら、ルークがテラス席を予約したよと誘いに来るか、今日はみんなで一緒に食べようと誘いに来るのだけど今日は違っていた。
 クリスが一人で申し訳なさそうにAクラスにやってきた。

「悪いな。ルーク様はサラ嬢と出て行った。……止められなかった」
 クリスはため息をついて視線を落とした。

「クリスが謝ることじゃないよ。悪いのはルーク様だ」 
「ですがそうは言っても、あの指輪に操られているのですよね? それを考えると、ルーク様もお気の毒です」
「――そうだね」

 仕方がないので今日は、この3人で食堂へと向かった。そこで、王子と一緒に歩いているお兄様と遭遇した。

「あれ? 今日はルーク様はお休み?」
「あ、いいえ、そのなんというか……」
「サラ嬢に持って行かれました」
「 アーネスト!」
「本当のことですから」
 どういうふうに説明したら一番いいのかって悩んでいたのに……!

 案の定、お兄様の眉間には深いしわがより眉もつりあがっている。恐ろしいお顔だ。
 そして王子からも、なんだか怖いオーラが流れてきている。

「わかる範囲でいいから、それがどういう状況なのか教えてくれる?」
 王子の冷ややかな声に、ぼくら3人はサラが怪しい指輪をルークに渡したことを話した。

「信じられない人だな。精神攻撃の魔法も罪になると話したばかりなのに」と眉をしかめた。
 お兄様も横でため息をついている。

「そうだ、ノエル。今日ジョーンズ先生に会うと言ったね。私も参加してもいいかな?」
「えっ、もちろんそれは構いませんが」
「良かった。それでは授業が済んだら、君たちの教室に行くことにするよ」
「ええっ、ぼくたちの教室にですか? いや、それよりもぼくらが迎えに行きますよ」
 そうですよと、アーネストもクリスも慌ててうなずく。

「そうかい? じゃあおとなしく待つことにするか」
「はい、お願いします」
 ぼくらがほっと胸をなでおろすと王子は可笑しそうに笑った。

「ノエル」
 お兄様が、優しいけれど低い声でぼくを呼んだ。
「俺も一緒に行くからね」
 こわーい怖い笑顔だった。

 僕はそれに慌ててコクコクうなずき、カフェへ向かうお兄様たちを見送り、ぼくらも食堂で食事を済ませた。
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