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ルークの手に渡った指輪 2
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休憩時間、アーネストとおしゃべりをしていたらクリスが駆け込んできた。見たことがない焦った表情にぼくらは驚く。
「どうしたの、クリス。そんなに慌てて」
「そうですよ。ルーク様は?」
「…っ、そのルーク様が大変なんだ!」
「大変って、何かあったの?」
「僕が知らないうちに気味の悪い指輪をつけてて、サラ嬢と異常に仲良くしてるんだ」
「えっ?」
さっと血の気が引いた。
サラと仲良くしてるって……。あんなに警戒していたのに。
「あまりにも急な変化だから、絶対あれは指輪が何か悪さをしていると思うんだよ。だけどルーク様、頑なに外そうとしないんだそれを」
きっと今のぼくの顔は顔面蒼白だろう。頭の中も真っ白だ。
恐れていた事がとうとう起きてしまったんだから。
「とにかくルーク様を見に行きましょう!」
「……え」
「『え』じゃないです! 指輪のせいで変になってるんだとしたら、そのまま放置しておくわけにはいきませんよ。だってそれはきっと魔法か呪いのせいで、ルーク様の本当の気持ちじゃないでしょ?」
アーネストに、怒鳴るくらいの勢いで説得されて我に返った。
そうだった。今回はサラが絶対何かしでかしてるってわかったから、戦わなきゃって思ってたんだ。ここで尻込みしてどうする。
「うん、わかった」
ぼくら3人は教室を出て、特進クラスに向かった。
目にしたのは、ぼくにとって衝撃的な光景だった。
サラが特進クラスの教室に堂々と入っていて、ルークと向かい合わせに座ってまるで恋人同士のように見つめ合っている。そして指には、クリスが言ったように禍々しい色をした指輪が光っていた。
フローラやシャロンたちも唖然とした表情で彼らを見ていた。
一瞬足を止めてしまったぼくを横目で見て、アーネストがルークに早足で近づいていく。
「こんにちは、ルーク様」
「やあ、アーネスト、こんにちは」
隣でサラが、むっとしたような表情でアーネストを見た。アーネストもそれに気がついたようだったけど、気付かぬ振りをして隣に居続ける。さすがアーネストだ、強い。
ぼくも頑張って一歩を踏み出した。
「ルーク様、楽しそうですね。やいちゃうな」
精一杯今、ぼくができる範囲での笑顔を作って、ルークのそばに行った。ルークはぼくを見て、ハッとした表情になった。
気まずそうな表情を浮かべるルークの腕をサラがぎゅっと握る。そのサラの手の上に、ルークの掌がおおった。サラはほっとしたような笑顔を浮かべてルークを見た。
ぎゅうっと心臓を、わしづかみにされたかのような痛みが走る。禍々しい指輪に操られてのことだと分かっていても、苦しくて仕方がなかった。
「どうしたの、クリス。そんなに慌てて」
「そうですよ。ルーク様は?」
「…っ、そのルーク様が大変なんだ!」
「大変って、何かあったの?」
「僕が知らないうちに気味の悪い指輪をつけてて、サラ嬢と異常に仲良くしてるんだ」
「えっ?」
さっと血の気が引いた。
サラと仲良くしてるって……。あんなに警戒していたのに。
「あまりにも急な変化だから、絶対あれは指輪が何か悪さをしていると思うんだよ。だけどルーク様、頑なに外そうとしないんだそれを」
きっと今のぼくの顔は顔面蒼白だろう。頭の中も真っ白だ。
恐れていた事がとうとう起きてしまったんだから。
「とにかくルーク様を見に行きましょう!」
「……え」
「『え』じゃないです! 指輪のせいで変になってるんだとしたら、そのまま放置しておくわけにはいきませんよ。だってそれはきっと魔法か呪いのせいで、ルーク様の本当の気持ちじゃないでしょ?」
アーネストに、怒鳴るくらいの勢いで説得されて我に返った。
そうだった。今回はサラが絶対何かしでかしてるってわかったから、戦わなきゃって思ってたんだ。ここで尻込みしてどうする。
「うん、わかった」
ぼくら3人は教室を出て、特進クラスに向かった。
目にしたのは、ぼくにとって衝撃的な光景だった。
サラが特進クラスの教室に堂々と入っていて、ルークと向かい合わせに座ってまるで恋人同士のように見つめ合っている。そして指には、クリスが言ったように禍々しい色をした指輪が光っていた。
フローラやシャロンたちも唖然とした表情で彼らを見ていた。
一瞬足を止めてしまったぼくを横目で見て、アーネストがルークに早足で近づいていく。
「こんにちは、ルーク様」
「やあ、アーネスト、こんにちは」
隣でサラが、むっとしたような表情でアーネストを見た。アーネストもそれに気がついたようだったけど、気付かぬ振りをして隣に居続ける。さすがアーネストだ、強い。
ぼくも頑張って一歩を踏み出した。
「ルーク様、楽しそうですね。やいちゃうな」
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気まずそうな表情を浮かべるルークの腕をサラがぎゅっと握る。そのサラの手の上に、ルークの掌がおおった。サラはほっとしたような笑顔を浮かべてルークを見た。
ぎゅうっと心臓を、わしづかみにされたかのような痛みが走る。禍々しい指輪に操られてのことだと分かっていても、苦しくて仕方がなかった。
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