32 / 57
図書館でお勉強
しおりを挟む
ぼくが今回BクラスからAクラスに上がれたのは、みんなより一年余分に学校に通っていた記憶があるからだけど、それは好きだった選択科目のみに表れていて、ほかの魔法学や一般教養の中の地理や経済学ではほとんど効果が発揮されなかった。
まあ、当然と言えば当然なんだ。だってそちらのほうは、成績悪かったから。
ルークの教えは丁寧だった。教科書を見ながらノエルの分からない部分を噛み砕いて丁寧に教える。それでもわかりにくい部分は、自ら補足を書きながら説明してくれた。
「ルーク様って、もしかして先生?」
「えっ?」
「だってこんなに丁寧に教えてくれて、授業中より頭に入ってきます」
「そうかい? それならよかった」
嬉しそうに笑うその笑顔が、何とも言えずに甘い。
そういえば、サラにルークを奪われるまでは、よくこんな表情をしてくれていたんだ。
ルークはいつもぼくに親切で誠実で優しかった。それは婚約を破棄される数日前までそうで、突然の裏切りに頭がついていかなかった。だって、ルークのあの時の言い方ではぼくと付き合いながら、ぼく以外に本命がいると言っていたようなもんだったんだもの。あの時はただただショックでわからなかったけど、今から考えればルークのその時の行動には違和感がありすぎる。
「……ノエル? ちゃんと分かった?」
「はっ、はい。分かりました」
ん?
アーネストとクリスがニヤニヤしながらこっちを見ている。
「仲良しでいいですね」
「こちらまで幸せになります」
「そうだろう?」
恥ずかしがるでもなくドヤ顔するルークに、アーネストもクリスも嬉しそうに笑った。そんな3人にぼくはちょっぴりいたたまれない気持ちもあるのだけど、やっぱり嬉しいと思っている。
ルークに教えてもらいつつ自分でも課題に取り組んでいるうちに、閉館時間になってしまった。
「結構頑張ってしまったな」
「そうですね。ちょっと疲れました」
「今度からもう少しのんびりしよう。あんまり根詰め過ぎて嫌になると困る」
「そうですね」
ぼくが納得して微笑むと、ルークが嬉しそうに笑った。
「これで君を毎日送って行く口実ができたよ」
「あー、なるほど。いい案ですね、ルーク様」
「だろう?」
ドヤ顔のルークを、かわいいと思ってしまう。
「ぼくも嬉しいです」
素直にそう返事をすると。ルークの顔が瞬時に嬉しそうになり、笑顔がキラキラと輝いた。
まあ、当然と言えば当然なんだ。だってそちらのほうは、成績悪かったから。
ルークの教えは丁寧だった。教科書を見ながらノエルの分からない部分を噛み砕いて丁寧に教える。それでもわかりにくい部分は、自ら補足を書きながら説明してくれた。
「ルーク様って、もしかして先生?」
「えっ?」
「だってこんなに丁寧に教えてくれて、授業中より頭に入ってきます」
「そうかい? それならよかった」
嬉しそうに笑うその笑顔が、何とも言えずに甘い。
そういえば、サラにルークを奪われるまでは、よくこんな表情をしてくれていたんだ。
ルークはいつもぼくに親切で誠実で優しかった。それは婚約を破棄される数日前までそうで、突然の裏切りに頭がついていかなかった。だって、ルークのあの時の言い方ではぼくと付き合いながら、ぼく以外に本命がいると言っていたようなもんだったんだもの。あの時はただただショックでわからなかったけど、今から考えればルークのその時の行動には違和感がありすぎる。
「……ノエル? ちゃんと分かった?」
「はっ、はい。分かりました」
ん?
アーネストとクリスがニヤニヤしながらこっちを見ている。
「仲良しでいいですね」
「こちらまで幸せになります」
「そうだろう?」
恥ずかしがるでもなくドヤ顔するルークに、アーネストもクリスも嬉しそうに笑った。そんな3人にぼくはちょっぴりいたたまれない気持ちもあるのだけど、やっぱり嬉しいと思っている。
ルークに教えてもらいつつ自分でも課題に取り組んでいるうちに、閉館時間になってしまった。
「結構頑張ってしまったな」
「そうですね。ちょっと疲れました」
「今度からもう少しのんびりしよう。あんまり根詰め過ぎて嫌になると困る」
「そうですね」
ぼくが納得して微笑むと、ルークが嬉しそうに笑った。
「これで君を毎日送って行く口実ができたよ」
「あー、なるほど。いい案ですね、ルーク様」
「だろう?」
ドヤ顔のルークを、かわいいと思ってしまう。
「ぼくも嬉しいです」
素直にそう返事をすると。ルークの顔が瞬時に嬉しそうになり、笑顔がキラキラと輝いた。
1,856
お気に入りに追加
2,673
あなたにおすすめの小説

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
※沢山のお気に入り登録ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

やり直せるなら、貴方達とは関わらない。
いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。
エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。
俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。
処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。
こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…!
そう思った俺の願いは届いたのだ。
5歳の時の俺に戻ってきた…!
今度は絶対関わらない!

ブレスレットが運んできたもの
mahiro
BL
第一王子が15歳を迎える日、お祝いとは別に未来の妃を探すことを目的としたパーティーが開催することが発表された。
そのパーティーには身分関係なく未婚である女性や歳の近い女性全員に招待状が配られたのだという。
血の繋がりはないが訳あって一緒に住むことになった妹ーーーミシェルも例外ではなく招待されていた。
これまた俺ーーーアレットとは血の繋がりのない兄ーーーベルナールは妹大好きなだけあって大いに喜んでいたのだと思う。
俺はといえば会場のウェイターが足りないため人材募集が貼り出されていたので応募してみたらたまたま通った。
そして迎えた当日、グラスを片付けるため会場から出た所、廊下のすみに光輝く何かを発見し………?

婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw
ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。
軽く説明
★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。
★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。

笑うとリアルで花が咲き泣くと涙が宝石になる化け物の俺は、おひとり様を満喫しようと思っていたのに何故か溺愛されています。
竜鳴躍
BL
生前スタイリストだった俺は、子どもの頃からお人形遊びや童話が大好きな男の子だった。童話であるだろう?すごくかわいい子の表現で、バラ色の頬から花が咲き、目から宝石が落ちるとかなんとか。
それがリアルだったらどう思う?グロだよ?きもいよ?化け物だよ…。
中世ヨーロッパのような異世界の貴族に転生した俺は、自分の特異体質に気付いた時、無表情を貫くことにした!
当然、可愛がられないよね!
貴族家の次男でオメガとして生まれた俺は、おそらく時期が時期がきたら変態さんにお嫁に出される。
だけど、前世で男のストーカーに悩まされていた俺は、それは嫌なんだ。
なので、出入りのドレスショップに弟子入りして、将来はデザイナーとして身を立てようと思う!
おひとり様で好きなこと仕事にして、生きていきたい。
なのになんでかな?
どうして侯爵家に養子に行って公爵令息様が俺を膝に乗せるのかな??
子どもだから?!
でもドキドキする!心は大人なんだってば!
※誤字等報告ありがとうございます!助かります!
※奨励賞ありがとうございました!

有能すぎる親友の隣が辛いので、平凡男爵令息の僕は消えたいと思います
緑虫
BL
第三王子の十歳の生誕パーティーで、王子に気に入られないようお城の花園に避難した、貧乏男爵令息のルカ・グリューベル。
知り合った宮廷庭師から、『ネムリバナ』という水に浮かべるとよく寝られる香りを放つ花びらをもらう。
花園からの帰り道、噴水で泣いている少年に遭遇。目の下に酷いクマのある少年を慰めたルカは、もらったばかりの花びらを男の子に渡して立ち去った。
十二歳になり、ルカは寄宿学校に入学する。
寮の同室になった子は、まさかのその時の男の子、アルフレート(アリ)・ユーネル侯爵令息だった。
見目麗しく文武両道のアリ。だが二年前と変わらず睡眠障害を抱えていて、目の下のクマは健在。
宮廷庭師と親交を続けていたルカには、『ネムリバナ』を第三王子の為に学校の温室で育てる役割を与えられていた。アリは花びらを王子の元まで運ぶ役目を負っている。育てる見返りに少量の花びらを入手できるようになったルカは、早速アリに使ってみることに。
やがて問題なく眠れるようになったアリはめきめきと頭角を表し、しがない男爵令息にすぎない平凡なルカには手の届かない存在になっていく。
次第にアリに対する恋心に気づくルカ。だが、男の自分はアリとは不釣り合いだと、卒業を機に離れることを決意する。
アリを見ない為に地方に移ったルカ。実はここは、アリの叔父が経営する領地。そこでたった半年の間に朗らかで輝いていたアリの変わり果てた姿を見てしまい――。
ハイスペ不眠攻めxお人好し平凡受けのファンタジーBLです。ハピエン。
【完結】僕がハーブティーを淹れたら、筆頭魔術師様(♂)にプロポーズされました
楠結衣
BL
貴族学園の中庭で、婚約破棄を告げられたエリオット伯爵令息。可愛らしい見た目に加え、ハーブと刺繍を愛する彼は、女よりも女の子らしいと言われていた。女騎士を目指す婚約者に「妹みたい」とバッサリ切り捨てられ、婚約解消されてしまう。
ショックのあまり実家のハーブガーデンに引きこもっていたところ、王宮魔術塔で働く兄から助手に誘われる。
喜ぶ家族を見たら断れなくなったエリオットは筆頭魔術師のジェラール様の執務室へ向かう。そこでエリオットがいつものようにハーブティーを淹れたところ、なぜかプロポーズされてしまい……。
「エリオット・ハワード――俺と結婚しよう」
契約結婚の打診からはじまる男同士の恋模様。
エリオットのハーブティーと刺繍に特別な力があることは、まだ秘密──。
⭐︎表紙イラストは針山糸様に描いていただきました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる