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ちゃんと信じよう
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図書館に行くとみんなはすでに来ていて、ぼくが入ってきたのに気が付き、ルークが手を振って合図をする。
「遅かったですね。私より先に出たはずなのに、何かありました?」
「うん。実は……」
ぼくはさっきあったサラとのことを、かいつまんで話した。
「……それ、やばくないですか?」
アーネストの言葉にルークも眉間にしわを寄せ、どうにかしないといけないかなと呟いた。
「どうにかって、どうなさるおつもりですか?」
クリスも眉間にしわを寄せているが、それはぼくを心配してというよりもルークを心配しての発言のようだった。
「今までのサラの行動を考えてみても、あれは僕を気に入っていて……それでノエルに嫌がらせをしてるようにしか考えられない」
「それはそうですね」
「え……?」
「『え?』って、ルーク様にまとわりつくサラ嬢はすごいんだけど、ノエルは気がついていなかった?」
「いや、違う逆だよ。ルーク様が、サラ嬢がぼくに嫌がらせをしていると思ってくれるなんて思わなかったから」
「ええっ、なんで? 僕がノエルの話を信じないわけないじゃないか」
……だって、巻き戻る前のルークなら、きっとぼくの話を聞いても流してしまう。ぼくよりサラを選んだんだから。
今のルークを信じていると言ってもぼくにとって過去が消えるわけではないから、やっぱりどこか信じきれないってのがあっちゃうんだよな。
もごもごするぼくを見て、ルークは小さなため息をついた。
「もう我慢するのはやめる」
「えっ?」
我慢? 我慢って何?
戸惑っていると隣に座っているルークが、膝の上に乗っているぼくの手をぎゅっと握った。反射的に心臓がドキンと跳ねた。
「僕はノエルが思ってる以上に君のことが好きだからね。気づいていないようだから言うけど、僕は毎日、いや一日に何度も、君にキスしたいとかハグしたいとか思ってるんだよ。うっとうしいと思われると困るから我慢してるけど」
「へっ?」
ルークのとんでもない告白に頬が熱くて仕方がないぼくを、アーネストたちが微妙な笑顔で見ている。
「一日に何度もキスは確かに鬱陶しいかもしれないですね」
「いや、ノエル様にはそれぐらいした方が良いかと思います。これだけ鈍感なんですから」
「ちょっと、アーネスト!」
「ノエル!」
からかうアーネストに文句を言おうと思ったのに、ルークが握った手を引き寄せて怒ったようにぼくの名を呼ぶ。
「君の恋人は僕だよ。アーネストじゃなくてこっちを見て」
直線的な物言いにものすごく顔が熱くなってしまったけど、目線だけちらりとルークに持っていった。
「――――」
やめてよ、何その顔?
笑顔じゃないのに、真面目な顔なのに。なんでそんなにキラキラしてるの?
「あ、あのルーク様。そろそろ勉強……」
ルークはぼくの言葉に少しだけ不服そうな顔をした後、ふうっとため息をついた。
「じゃあこれだけは言っておくけど、僕が好きなのはノエルだけだよ。以前、君はいずれ僕は誰か別の人を好きになるなんて言ってたけど、そんなことは絶対ないから」
「ルーク様……」
「それだけはちゃんと信じて」
ルークの真剣な瞳に彼の部屋にあったキリンスを思い出した。 2人でいた時に楽しそうに幸せそうに揺れていたキリンス。ぼくの庭に植えてあるキリンスがあんな動きをしたことはない。
そうだよ。あの時、今は頑張ろうって決めたんだ。
「はい、信じます」
「うん、ありがとう」
ルークの顔が嬉しそうに変わった。その表情は、ぼくをも嬉しくさせる。
そんなぼくらを、アーネストとクリスがほっとしたような表情で見ていた。
「遅かったですね。私より先に出たはずなのに、何かありました?」
「うん。実は……」
ぼくはさっきあったサラとのことを、かいつまんで話した。
「……それ、やばくないですか?」
アーネストの言葉にルークも眉間にしわを寄せ、どうにかしないといけないかなと呟いた。
「どうにかって、どうなさるおつもりですか?」
クリスも眉間にしわを寄せているが、それはぼくを心配してというよりもルークを心配しての発言のようだった。
「今までのサラの行動を考えてみても、あれは僕を気に入っていて……それでノエルに嫌がらせをしてるようにしか考えられない」
「それはそうですね」
「え……?」
「『え?』って、ルーク様にまとわりつくサラ嬢はすごいんだけど、ノエルは気がついていなかった?」
「いや、違う逆だよ。ルーク様が、サラ嬢がぼくに嫌がらせをしていると思ってくれるなんて思わなかったから」
「ええっ、なんで? 僕がノエルの話を信じないわけないじゃないか」
……だって、巻き戻る前のルークなら、きっとぼくの話を聞いても流してしまう。ぼくよりサラを選んだんだから。
今のルークを信じていると言ってもぼくにとって過去が消えるわけではないから、やっぱりどこか信じきれないってのがあっちゃうんだよな。
もごもごするぼくを見て、ルークは小さなため息をついた。
「もう我慢するのはやめる」
「えっ?」
我慢? 我慢って何?
戸惑っていると隣に座っているルークが、膝の上に乗っているぼくの手をぎゅっと握った。反射的に心臓がドキンと跳ねた。
「僕はノエルが思ってる以上に君のことが好きだからね。気づいていないようだから言うけど、僕は毎日、いや一日に何度も、君にキスしたいとかハグしたいとか思ってるんだよ。うっとうしいと思われると困るから我慢してるけど」
「へっ?」
ルークのとんでもない告白に頬が熱くて仕方がないぼくを、アーネストたちが微妙な笑顔で見ている。
「一日に何度もキスは確かに鬱陶しいかもしれないですね」
「いや、ノエル様にはそれぐらいした方が良いかと思います。これだけ鈍感なんですから」
「ちょっと、アーネスト!」
「ノエル!」
からかうアーネストに文句を言おうと思ったのに、ルークが握った手を引き寄せて怒ったようにぼくの名を呼ぶ。
「君の恋人は僕だよ。アーネストじゃなくてこっちを見て」
直線的な物言いにものすごく顔が熱くなってしまったけど、目線だけちらりとルークに持っていった。
「――――」
やめてよ、何その顔?
笑顔じゃないのに、真面目な顔なのに。なんでそんなにキラキラしてるの?
「あ、あのルーク様。そろそろ勉強……」
ルークはぼくの言葉に少しだけ不服そうな顔をした後、ふうっとため息をついた。
「じゃあこれだけは言っておくけど、僕が好きなのはノエルだけだよ。以前、君はいずれ僕は誰か別の人を好きになるなんて言ってたけど、そんなことは絶対ないから」
「ルーク様……」
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そうだよ。あの時、今は頑張ろうって決めたんだ。
「はい、信じます」
「うん、ありがとう」
ルークの顔が嬉しそうに変わった。その表情は、ぼくをも嬉しくさせる。
そんなぼくらを、アーネストとクリスがほっとしたような表情で見ていた。
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