28 / 57
図書館で一緒に勉強をしよう
しおりを挟む
お昼休み。今日は2人だけじゃなくてみんなでワイワイ食べようと、テラス席の予約はやめていた。同じテーブルにぼくとルークとアーネストとクリスが着いている。
「へえー、薬草を育てるのにも相性というものがあるんですね。初めて知りました」
「そうなんだよ、ぼくも初めて知ったんだ」
相性の調べ方もわかったし、帰ったらキリンスにも試してみようかな。
「僕らも今日は剣術の初稽古だったんだよ。僕らの科は風魔法を得意とする者の集まりなんだけど、持ってる属性はそれだけじゃないから、発揮される能力がみんな違うんだよ」
「へえ? じゃあ火魔法の扱えるルーク様は、突風だけじゃなくて火も放ったりするんですか?」
「僕みたいなひよっこはほんの少しね。ぬるい……熱風とも言えない程度かな。もっと鍛えると、風と炎を巻き起こすことができるみたいなんだけど」
「すごい、かっこいいですね」
「ノエルに自信を持ってそう言ってもらえるように頑張るよ」
ニコリと微笑むルークにちょっぴりドキドキした。
まだ素直に言えないけれど。
「そういえばアーネストは土魔法を持っていたよね。その場合はどんな感じなの?」
「私の場合は安定感ですかね? 相手の攻撃にもぶれない防御力がほかの人より強いような感じがします」
「クリスは?」
「僕の場合は風魔法特化型なので、風そのものの威力が強い感じだよ」
「みんな違うんだねー、面白いな」
こんな話を聞くとぼくももう一度剣を振ってみたい気がするけれど、ぼくに才能がないことは以前で学習済みだからな……。
「そういえば宮廷魔導士のジョーンズ様って、特別講師をしているんですよね。ルーク様たちは会ったことあるんですか?」
「残念ながらまだ無いよ。あの方は忙しいらしいから、本当に稀にしか来ないみたいだよ」
「そうなんですか。会ってお話してみたいんですけど、ぼくのクラスでは講師をしてくれないんですよね」
忙しすぎるから仕方がないことなんだけど、宮廷魔導師の教えを請うことができるのは特進クラスだけだ。
「来年は頑張って、僕と同じ特進Aに来てよ」
「えっ、それはかなり難しいミッションですね」
今年のAクラスだって、2度目のズルのようなものなのに……。
頬をぴくぴくさせていたら、ルークが良いことを思いついたという顔になった。
「そうだ。授業が終わったら、一緒に図書館で勉強しないか? 選択科目は無理だけど、基本科目なら教えてあげることができるよ。どう?」
それはありがたいけれど……。
「ルーク様の迷惑になりませんか?」
「なるわけないよ。自分の勉強にもなるし。知ってるところなら復習にもなるだろ?」
「そういうことでしたら、ありがたいです」
「じゃあ今日からだね。モンゴメリー邸には僕の馬車で送るから。よかったら、アーネストもクリスもどうだい?」
「お邪魔じゃないですか?」
「邪魔なわけないよ。図書館で不埒な行為なんてできないからね」
えっ?
な、なんて冗談を言うんだよ。
にこりと笑うルークに、それもそうだねと2人は頷いた。
変なところで納得しないで……。
授業が終わり、約束通りアーネストと一緒に図書館に行こうと、アーネストの席まで行った。
「すみません、先に行っててもらえますか? 今日中に学生課に提出しておかないといけない書類を忘れてましたので、出し終わったらすぐに向かいますから」
そう言いながら書類をヒラヒラさせていた。ぼくが既に提出し終えたものだ。
「うん、わかった。じゃあ後でね」
「はい」
アーネストが早足で学生課に向かうのを見て、ぼくも図書館へ向かった。途中でルークのクラスを覗いてみたけれど姿が見えなかったので、先に行くことにした。
ここは2階なので、図書館に行くには階段を下りなければならない。廊下を抜けて階段を下りようと一歩足を踏み出した時、
「ひどいですわ、ノエル様!」
「えっ?」
何が?と思って振り向いたら、怖い顔をしたサラがいた。
「へえー、薬草を育てるのにも相性というものがあるんですね。初めて知りました」
「そうなんだよ、ぼくも初めて知ったんだ」
相性の調べ方もわかったし、帰ったらキリンスにも試してみようかな。
「僕らも今日は剣術の初稽古だったんだよ。僕らの科は風魔法を得意とする者の集まりなんだけど、持ってる属性はそれだけじゃないから、発揮される能力がみんな違うんだよ」
「へえ? じゃあ火魔法の扱えるルーク様は、突風だけじゃなくて火も放ったりするんですか?」
「僕みたいなひよっこはほんの少しね。ぬるい……熱風とも言えない程度かな。もっと鍛えると、風と炎を巻き起こすことができるみたいなんだけど」
「すごい、かっこいいですね」
「ノエルに自信を持ってそう言ってもらえるように頑張るよ」
ニコリと微笑むルークにちょっぴりドキドキした。
まだ素直に言えないけれど。
「そういえばアーネストは土魔法を持っていたよね。その場合はどんな感じなの?」
「私の場合は安定感ですかね? 相手の攻撃にもぶれない防御力がほかの人より強いような感じがします」
「クリスは?」
「僕の場合は風魔法特化型なので、風そのものの威力が強い感じだよ」
「みんな違うんだねー、面白いな」
こんな話を聞くとぼくももう一度剣を振ってみたい気がするけれど、ぼくに才能がないことは以前で学習済みだからな……。
「そういえば宮廷魔導士のジョーンズ様って、特別講師をしているんですよね。ルーク様たちは会ったことあるんですか?」
「残念ながらまだ無いよ。あの方は忙しいらしいから、本当に稀にしか来ないみたいだよ」
「そうなんですか。会ってお話してみたいんですけど、ぼくのクラスでは講師をしてくれないんですよね」
忙しすぎるから仕方がないことなんだけど、宮廷魔導師の教えを請うことができるのは特進クラスだけだ。
「来年は頑張って、僕と同じ特進Aに来てよ」
「えっ、それはかなり難しいミッションですね」
今年のAクラスだって、2度目のズルのようなものなのに……。
頬をぴくぴくさせていたら、ルークが良いことを思いついたという顔になった。
「そうだ。授業が終わったら、一緒に図書館で勉強しないか? 選択科目は無理だけど、基本科目なら教えてあげることができるよ。どう?」
それはありがたいけれど……。
「ルーク様の迷惑になりませんか?」
「なるわけないよ。自分の勉強にもなるし。知ってるところなら復習にもなるだろ?」
「そういうことでしたら、ありがたいです」
「じゃあ今日からだね。モンゴメリー邸には僕の馬車で送るから。よかったら、アーネストもクリスもどうだい?」
「お邪魔じゃないですか?」
「邪魔なわけないよ。図書館で不埒な行為なんてできないからね」
えっ?
な、なんて冗談を言うんだよ。
にこりと笑うルークに、それもそうだねと2人は頷いた。
変なところで納得しないで……。
授業が終わり、約束通りアーネストと一緒に図書館に行こうと、アーネストの席まで行った。
「すみません、先に行っててもらえますか? 今日中に学生課に提出しておかないといけない書類を忘れてましたので、出し終わったらすぐに向かいますから」
そう言いながら書類をヒラヒラさせていた。ぼくが既に提出し終えたものだ。
「うん、わかった。じゃあ後でね」
「はい」
アーネストが早足で学生課に向かうのを見て、ぼくも図書館へ向かった。途中でルークのクラスを覗いてみたけれど姿が見えなかったので、先に行くことにした。
ここは2階なので、図書館に行くには階段を下りなければならない。廊下を抜けて階段を下りようと一歩足を踏み出した時、
「ひどいですわ、ノエル様!」
「えっ?」
何が?と思って振り向いたら、怖い顔をしたサラがいた。
1,686
お気に入りに追加
2,673
あなたにおすすめの小説
やり直せるなら、貴方達とは関わらない。
いろまにもめと
BL
俺はレオベルト・エンフィア。
エンフィア侯爵家の長男であり、前世持ちだ。
俺は幼馴染のアラン・メロヴィングに惚れ込み、恋人でもないのにアランは俺の嫁だと言ってまわるというはずかしい事をし、最終的にアランと恋に落ちた王太子によって、アランに付きまとっていた俺は処刑された。
処刑の直前、俺は前世を思い出した。日本という国の一般サラリーマンだった頃を。そして、ここは前世有名だったBLゲームの世界と一致する事を。
こんな時に思い出しても遅せぇわ!と思い、どうかもう一度やり直せたら、貴族なんだから可愛い嫁さんと裕福にのんびり暮らしたい…!
そう思った俺の願いは届いたのだ。
5歳の時の俺に戻ってきた…!
今度は絶対関わらない!
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
婚約者の恋
うりぼう
BL
親が決めた婚約者に突然婚約を破棄したいと言われた。
そんな時、俺は「前世」の記憶を取り戻した!
婚約破棄?
どうぞどうぞ
それよりも魔法と剣の世界を楽しみたい!
……のになんで王子はしつこく追いかけてくるんですかね?
そんな主人公のお話。
※異世界転生
※エセファンタジー
※なんちゃって王室
※なんちゃって魔法
※婚約破棄
※婚約解消を解消
※みんなちょろい
※普通に日本食出てきます
※とんでも展開
※細かいツッコミはなしでお願いします
※勇者の料理番とほんの少しだけリンクしてます
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる