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ルークの焼きもち

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 人気者で目立つルークと手をつないで歩くのは、かなり緊張した。だって、すれ違う多くの人がぼくの顔をじろじろ見て行くんだもの。
 手に汗掻きそうだ。いやだなあ、掻きたくないよ。アーネストたちは一般の食堂なので、もう離れちゃったし。

「おや、ノエル。今からご飯?」
 あっ!
 大好きなお兄様の声だ。安心する声にホッとして、勢い良く振り返った。
「ハロルドお兄様! はい、そうです……、あっ」
 ハロルドお兄様の隣には、グレアム第二王子がいた。

 王子とは今回これが初対面だ。ルークと手をつないだままでは不敬かもと思い手を離そうと思ったのに、それに気づいたルークがぼくの手をぎゅっと握り直すものだからびっくりした。
 振り払うわけにもいかないので、ヒヤヒヤしながらそのまま挨拶をしようと姿勢を正した。

「グレアム王子殿下には、」
「そういう挨拶はいらないよ」
 えっ、と思ってグレアム王子の顔を見ると。有無を言わさない静かな笑顔をたたえている。
「学園内で、階級は問わないとなっているだろう? グレアムでいい」

「……では、グレアム王子」
「ああ、もっと砕けてもいいけど、まあそれでいいよ。ハロルドから君の噂は聞いているよ」
「えっ? あ、それはどうも……」
 どう対応したらいいのか困る。ハロルドお兄様ったら、いったいぼくの何を言っているんだろう?
 ちらりとお兄様を窺うも、何を考えてるのかわからないいつものニコニコ顔でぼくを見ている。

「――で、ルーク。君はノエルともう婚約したのかい?」
「……いえ、精進中です」
「そうかい。まあ、頑張れよ」
「……はい」
 じゃあね、と王子とお兄様は先に行った。おそらく王族と特進クラスだけが入れる食堂に行ったのだろう。もともと王族だけのために作られたカフェだったようだが、それでは平等を謳う学園の趣旨に反するということで、特進クラスも入れることになったと聞いている。

 グレアム王子のつかめない感じは相変わらずだ。キリリとしてカッコイイから余計に胃に来る。
 それにしても、ハロルド兄様と2人でいると、またこれが絵になるんだよな。

「ノエル」
「はい?」
 ルークが僕の手をぎゅっと握った。なんだかちょっと機嫌が悪そうだ。唇を尖らしている。

「王子がカッコイイのはわかるけど、君の婚約候補は僕なんだからね」
「えっ?」
 えっと、それって、もしかして嫉妬しているの?
 じっとルークを見ていると、きまずそうな顔になった。

「やきもち焼きだってことは自覚してる」
「ルーク様……」

 今回はすんなり婚約していないからだろうか? アーネストの時もそうだけど、ルークはぼくに素直に好意を伝えてくれている。
 ……聞いてもいいだろうか、ぼくも。サラとはどうなんだ?って。

「あの、ルーク様」
「なんだい?」

 ルークが顔を上げてぼくを見た。
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