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ルークの答え
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モンゴメリー家の居間ではゆったりとした時間が流れていた。今ぼくは、家庭教師との勉強から解放されハロルドお兄様とお茶を飲んでいる。
「クラーク公爵の方から何の連絡もなかったね」
「そうですね」
お茶会の日から一か月がたっても何の打診もなかったので、あの時の僕の態度は正解だったのだと胸をなで下ろした。
「不思議だな。俺はてっきり、ノエルが婚約者候補に選ばれるんじゃないかなと思っていたんだけど」
「ええっ? なんでですか」
「ん~? ノエルは気が付いてなかったみたいだけど、ルーク様は一度ノエルのことを見てるんだよ」
「えっ? いつですか?」
「ほら、前に。俺が王宮近衛騎士団の特別稽古に参加した時、忘れ物を届けに来てくれただろ?」
「あー」
そんなこともあったのかな? 巻き戻りの前の話だ。
ぼくの中では大したことではなかったんだろう。覚えてないや。
「ノエルが帰った後にルーク様に声をかけられてね。今の子誰?って聞かれたんだ。弟だって教えたら『可愛い子だね』ってうれしそうに言うからさ、ノエルのいいとこいっぱいアピールしたんだよ」
「え……」
じゃあ茶会でルークが言ってたあれは、お兄様の方からぼくをアピールしたんじゃなくてルークがぼくを見かけて気になったからお兄様にぼくのことを聞いたってことなの?
あの言い方だとそんなふうには聞こえなかったけど、照れ隠しでうやむやな言い方をしたというふうに考えたら、ルークならありそうな気がする……。
ぎゅって胸が痛くなった。
なんだよそれ。それじゃあルークはぼくのことを最初は好きになっていたかもしれないってこと? それから浮気して、別の本命ができたってことなの?
無性にイライラした。
だって理不尽だろ? ルークが浮気してそれが本命になって、ぼくは振られて婚約破棄されてつらい日々を送って。死んだらそこで終わりかと思ったらそうじゃなくて6回もループして。ぼくだけ不幸な目に遭うなんて不公平じゃないか。何もかもルークの心変わりのせいなのに。
「ノエル?」
心配そうなハロルドお兄様の声でハッと我に返った。取り繕って笑顔を見せる。
……まあでも、今回打診がなかったっていうことは、ぼくは婚約者候補から外れたってことなんだろう。前回の茶会のときは1週間もしないうちに婚約者がぼくに決まったんだから。だからもう考えない。今回はこれでよしとしよう。
「婚約者は誰に決まったんだろうね」
「そうですね……」
誰でもいいや。でも、サラ嬢に決まってたらいいな。だって誰に決まったところで、どうせ彼女のほうに浮気するんだろうから、それなら最初っから本命を好きになってた方がいいに決まってる。
なんてそんな風に思っていたんだけど、
「そういえばこないだの茶会の件だけど、今回は婚約相手は決まらなかったみたいだぞ。どうやらルーク様ご本人が気になる方がいるから、もう少し待って欲しいと頼んだのらしい」
「は?」
父上の報告に、ぼくは唖然とした。
「クラーク公爵の方から何の連絡もなかったね」
「そうですね」
お茶会の日から一か月がたっても何の打診もなかったので、あの時の僕の態度は正解だったのだと胸をなで下ろした。
「不思議だな。俺はてっきり、ノエルが婚約者候補に選ばれるんじゃないかなと思っていたんだけど」
「ええっ? なんでですか」
「ん~? ノエルは気が付いてなかったみたいだけど、ルーク様は一度ノエルのことを見てるんだよ」
「えっ? いつですか?」
「ほら、前に。俺が王宮近衛騎士団の特別稽古に参加した時、忘れ物を届けに来てくれただろ?」
「あー」
そんなこともあったのかな? 巻き戻りの前の話だ。
ぼくの中では大したことではなかったんだろう。覚えてないや。
「ノエルが帰った後にルーク様に声をかけられてね。今の子誰?って聞かれたんだ。弟だって教えたら『可愛い子だね』ってうれしそうに言うからさ、ノエルのいいとこいっぱいアピールしたんだよ」
「え……」
じゃあ茶会でルークが言ってたあれは、お兄様の方からぼくをアピールしたんじゃなくてルークがぼくを見かけて気になったからお兄様にぼくのことを聞いたってことなの?
あの言い方だとそんなふうには聞こえなかったけど、照れ隠しでうやむやな言い方をしたというふうに考えたら、ルークならありそうな気がする……。
ぎゅって胸が痛くなった。
なんだよそれ。それじゃあルークはぼくのことを最初は好きになっていたかもしれないってこと? それから浮気して、別の本命ができたってことなの?
無性にイライラした。
だって理不尽だろ? ルークが浮気してそれが本命になって、ぼくは振られて婚約破棄されてつらい日々を送って。死んだらそこで終わりかと思ったらそうじゃなくて6回もループして。ぼくだけ不幸な目に遭うなんて不公平じゃないか。何もかもルークの心変わりのせいなのに。
「ノエル?」
心配そうなハロルドお兄様の声でハッと我に返った。取り繕って笑顔を見せる。
……まあでも、今回打診がなかったっていうことは、ぼくは婚約者候補から外れたってことなんだろう。前回の茶会のときは1週間もしないうちに婚約者がぼくに決まったんだから。だからもう考えない。今回はこれでよしとしよう。
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誰でもいいや。でも、サラ嬢に決まってたらいいな。だって誰に決まったところで、どうせ彼女のほうに浮気するんだろうから、それなら最初っから本命を好きになってた方がいいに決まってる。
なんてそんな風に思っていたんだけど、
「そういえばこないだの茶会の件だけど、今回は婚約相手は決まらなかったみたいだぞ。どうやらルーク様ご本人が気になる方がいるから、もう少し待って欲しいと頼んだのらしい」
「は?」
父上の報告に、ぼくは唖然とした。
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