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エピローグ
後編
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駅まで3人で行き、そこで青島とは別れた。もしかしたら再会した俺たちに、気を遣ってくれたのかもしれない。
駿介の案内で電車に乗り、住宅街へと向かう。豪邸に住んでいるというだけあって、周りの家々もかなり立派な建物だった。駿介はその中の、ひと際大きな屋敷の前に立った。
「どうぞ」
「お、おう」
でっかい門に広い庭だ。庭の手入れも行き届いているようで、奥の方では綺麗な花が咲き誇っていた。
「真紀」
「あ、ごめん。今行く」
気が付いたら駿介はだいぶ先を歩いていた。呼ばれて駿介のもとへと走る。
駿介の部屋に行くまでに大勢のメイドさんに挨拶をされた。駿介はその中のメイド長らしき人に構わないでいいからと言い置いて、駿介の部屋に入った。
「やっと二人きりだな」
「うん……」
目が覚めて、俺が駿介の世界から消えてしまったんだってことに気がついて、どんなに淋しかったか。喪失感が半端なくて、呆然とした。
「駿介は、ここから消えたりしないよね」
「ああ。女神も約束してくれた」
その力強い一言にホッとしたら、矢も楯もたまらなくなった。勢いよく駿介に抱きついて、その胸にぐりぐりと頬をこすりつける。
「真紀……」
駿介は一瞬俺をギュッと抱きしめた後、そのまま俺をベッドに誘導した。そしてそっと仰向けに寝かせる。
愛おしそうに髪を撫でながら、駿介は俺の目をじっと見つめた。久し振りの間近で綺麗な顔に、俺の心臓はやばいくらいに煩さくなっていた。
「好きだよ」
「っ……、俺も」
か、顔が熱い。体中熱くなってきた。
恥ずかしさよりもドクドクと煩い心臓の方が気になる。どうしていいのか分からなくて、駿介を見ながらパチパチと瞬きを繰り返した。
「可愛いな」
猫のように目を眇めて、駿介が唇を寄せてきた。そして俺の唇を何度かついばんだ後、頬や顎、そして首筋へと唇を移動していく。
「んっ……」
声が漏れてピクンと身体が跳ねる。それに気を良くしたのか、駿介は俺が反応した所ばかり舐めたり吸いついたりするものだから、俺は変な声を上げ続けてしまった。
「駿……」
「今日は、いいか?」
「……え?」
「ずっと我慢してた。……抱きたい」
低くて色っぽくて甘い声に、俺の下半身が疼く。
正直未知の領域過ぎて怖い。怖いけど……。
駿介の真剣な瞳が愛しくて、俺は駿介の首裏に手を回して引き寄せた ――。
☆*: .。. .。.:*☆
「真紀……」
駿介が優しく俺の髪を撫でている。
「ん……」
「大丈夫か?」
「え……?」
あっ……!
目の前にいる裸の駿介に、あたふたした。ついでに俺も素っ裸だ。
とんでもない所に変な余韻があるのは確かだし、油断すると疼きがひどくなりそうだけど……。駿介に知られるとヤバいので、慌ててコクコクと頷いた。
「本当に?」
ふわわわわわっ。
駿介が俺の体を引き寄せて抱きしめた。素肌のその感触もヤバい。
「だだだ、大丈夫」
「ええっ?」
俺のテンパリ具合に驚いたのか、駿介が俺の顔を覗き込んできた。
そして一瞬目を見開く。
「可愛い……」
駿介の指がするりと俺の背中を撫でる。もちろん素っ裸だから、直に感じるその指の感触がさっきの行為を思い出させて本気でまずい。
「駿介ぇ」
涙目で睨むと駿介は苦笑してその手を離した。そして放り投げられていたシャツを手に取り、駿介は「そう言えば」と話し掛けてきた。
「三森も柏木とここに来てるぞ」
「え? 柏木も?」
どういう事だ? 柏木まで三森にプロポーズしたのか?
「元々は俺と青島と三森の三人だけを転移させる予定だったみたいなんだけど、三森が傍にいた柏木を抱きしめて離さなかったから女神がしぶしぶ許可をしたようだ」
「そうなんだ……」
そうか。じゃあ三森は柏木に恋をして、離れたくないと思ったんだ。
「俺の知らない所で、真紀達は女神と色々と約束をしていたんだな」
「駿介と離れたくなかったから」
「真紀……」
駿介が幸せそうに笑う。その夢みたいな綺麗な表情にうっとりしていたら、また押し倒されてとんでもない目にあってしまった。
……まあ、幸せだからいいんだけどさ。
その後、書店の一角には新刊が並んだ。
『男なのに彼氏が出来ました (駿介編)』だ。
駿介の相手の受けは正樹で、俺とは漢字が違っていた。
駿介の案内で電車に乗り、住宅街へと向かう。豪邸に住んでいるというだけあって、周りの家々もかなり立派な建物だった。駿介はその中の、ひと際大きな屋敷の前に立った。
「どうぞ」
「お、おう」
でっかい門に広い庭だ。庭の手入れも行き届いているようで、奥の方では綺麗な花が咲き誇っていた。
「真紀」
「あ、ごめん。今行く」
気が付いたら駿介はだいぶ先を歩いていた。呼ばれて駿介のもとへと走る。
駿介の部屋に行くまでに大勢のメイドさんに挨拶をされた。駿介はその中のメイド長らしき人に構わないでいいからと言い置いて、駿介の部屋に入った。
「やっと二人きりだな」
「うん……」
目が覚めて、俺が駿介の世界から消えてしまったんだってことに気がついて、どんなに淋しかったか。喪失感が半端なくて、呆然とした。
「駿介は、ここから消えたりしないよね」
「ああ。女神も約束してくれた」
その力強い一言にホッとしたら、矢も楯もたまらなくなった。勢いよく駿介に抱きついて、その胸にぐりぐりと頬をこすりつける。
「真紀……」
駿介は一瞬俺をギュッと抱きしめた後、そのまま俺をベッドに誘導した。そしてそっと仰向けに寝かせる。
愛おしそうに髪を撫でながら、駿介は俺の目をじっと見つめた。久し振りの間近で綺麗な顔に、俺の心臓はやばいくらいに煩さくなっていた。
「好きだよ」
「っ……、俺も」
か、顔が熱い。体中熱くなってきた。
恥ずかしさよりもドクドクと煩い心臓の方が気になる。どうしていいのか分からなくて、駿介を見ながらパチパチと瞬きを繰り返した。
「可愛いな」
猫のように目を眇めて、駿介が唇を寄せてきた。そして俺の唇を何度かついばんだ後、頬や顎、そして首筋へと唇を移動していく。
「んっ……」
声が漏れてピクンと身体が跳ねる。それに気を良くしたのか、駿介は俺が反応した所ばかり舐めたり吸いついたりするものだから、俺は変な声を上げ続けてしまった。
「駿……」
「今日は、いいか?」
「……え?」
「ずっと我慢してた。……抱きたい」
低くて色っぽくて甘い声に、俺の下半身が疼く。
正直未知の領域過ぎて怖い。怖いけど……。
駿介の真剣な瞳が愛しくて、俺は駿介の首裏に手を回して引き寄せた ――。
☆*: .。. .。.:*☆
「真紀……」
駿介が優しく俺の髪を撫でている。
「ん……」
「大丈夫か?」
「え……?」
あっ……!
目の前にいる裸の駿介に、あたふたした。ついでに俺も素っ裸だ。
とんでもない所に変な余韻があるのは確かだし、油断すると疼きがひどくなりそうだけど……。駿介に知られるとヤバいので、慌ててコクコクと頷いた。
「本当に?」
ふわわわわわっ。
駿介が俺の体を引き寄せて抱きしめた。素肌のその感触もヤバい。
「だだだ、大丈夫」
「ええっ?」
俺のテンパリ具合に驚いたのか、駿介が俺の顔を覗き込んできた。
そして一瞬目を見開く。
「可愛い……」
駿介の指がするりと俺の背中を撫でる。もちろん素っ裸だから、直に感じるその指の感触がさっきの行為を思い出させて本気でまずい。
「駿介ぇ」
涙目で睨むと駿介は苦笑してその手を離した。そして放り投げられていたシャツを手に取り、駿介は「そう言えば」と話し掛けてきた。
「三森も柏木とここに来てるぞ」
「え? 柏木も?」
どういう事だ? 柏木まで三森にプロポーズしたのか?
「元々は俺と青島と三森の三人だけを転移させる予定だったみたいなんだけど、三森が傍にいた柏木を抱きしめて離さなかったから女神がしぶしぶ許可をしたようだ」
「そうなんだ……」
そうか。じゃあ三森は柏木に恋をして、離れたくないと思ったんだ。
「俺の知らない所で、真紀達は女神と色々と約束をしていたんだな」
「駿介と離れたくなかったから」
「真紀……」
駿介が幸せそうに笑う。その夢みたいな綺麗な表情にうっとりしていたら、また押し倒されてとんでもない目にあってしまった。
……まあ、幸せだからいいんだけどさ。
その後、書店の一角には新刊が並んだ。
『男なのに彼氏が出来ました (駿介編)』だ。
駿介の相手の受けは正樹で、俺とは漢字が違っていた。
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こういうのもゲームの強制力なのかな。
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感想有難うございます。
そして、タイトルを発見してくださり有難うございました(✿◡‿ ◡)
お気に入りもありがとうございます。
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