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エピローグ

前編

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休み期間になると案の定、駿介の周りには女の子たちが集まって来た。

「稲積君カッコイイよね」
「前の学校は、男子校だったんでしょう? て事はやっぱり彼女とかはいないんだよね」

女子の目はきらきらと輝いている。何とか駿介とお近づきになりたいと、みんなそう思っているみたいだ。

「婚約者はいるよ」

駿介はニッコリと嬉しそうに笑いながら、瞬時に返事を返した。
駿介の事だ。恐らく面倒なことにならないようにと、最初に釘を刺しておこうと思ったんだろう。

途端に女子の顔が凍りついた。

「ええっ! 婚約者? もう?」
「そう。つい最近」
「……稲積君ってもしかしていい所のお坊ちゃんとか?」
「ああ、そうか! 政略結婚?」

女子があらぬ方向で騒ぎだしたので、駿介は苦笑いをこぼす。

「違うよ。純粋に好きで、ずっと一緒にいたいから婚約した」
「…………」

駿介があまりにも幸せそうに微笑みながらそう言うから、みんな言葉を失った。

「そっかー」
「婚約者じゃ太刀打ちできないね~」

残念そうにそう言って、女子がパラパラと散っていく。

「いつの間に婚約したんだ?」

青島がニヤニヤしながら近づいて来て、駿介の肩をポンと叩いた。

「真紀がいなくなる直前だよ」
「ああ……、そうか」

二人がくるりとこちらを向いた。

「……聞いたよ。女神にずっと一緒に居たいって言ってくれたんだってな」
「しかも親友の俺も、一緒に連れて来てくれって?」
「うん。迷惑じゃないよね?」
「当たり前だろう? 駿介のことを本気で好きなんだなって感動したよ」

からかうような口調だけど、声音は優しい。きっと本気でそう思ってくれているんだろう。

「ところで、駿介達の家族とかってどうなっているの?」
「いるよ」
「ええーっ、本当に?」
「ああ。作者の脳内には、ちゃんと俺らの家族も描かれていたらしい」
「それがそのまま再現されてるって言うこと?」
「そういうことだ。俺はともかく、駿介のお父さんは大会社の社長さんのようだぞ」
「ええっ?」

びっくりして駿介を見上げると、「心配することはない」と俺の頭にポンと手のひらを乗っけた。

「優秀な兄がいて、跡取りはそっちだ。しかもそっちの方にも理解が深い」
「良かったな」
「あ……、うん」

ってことは、問題は俺の方か。
……母さんの方から攻略していこうかな。こんなイケメンそうそういないし、いつか絆されてくれそうだもんな。

俺なりの展望を考えて、よしっと気合いを入れていたら二人に目を細めて見られていた。
きっと考えていることがバレバレだったんだろうなあと思ったら、ちょっぴり恥ずかしくなった。
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