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第五章
間一髪
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「可愛げのない奴だな、とっとと突っ込んじまえよ」
「そうだな」
……!?
「やめろ……っ、放せ……、モガッ」
叫ぼうとしたら口をふさがれた。しかも谷口は俺の両足に体重を掛けて、暴れられないようにしている。
ちょっとこれ……。マジでヤバい奴だ。
ここで大人しくなんかしていたら、本気で危ない。
そう思ったら躊躇なんてしていられるわけが無い。
俺は口を塞いでいる手に、思いっきりがぶっと噛みついた。
「いってーー! てめえ、何しやがる!」
バシッ!
「つっ……」
怒った男に思いっきり引っ叩かれた。口の端に血の味が滲む。
「お前立場分かってんのかよ!」
切れた男は俺の胸ぐらを掴み、さらに殴ろうという体勢をとる。
俺はぐっと歯を食いしばった。
「おい、落ち着け――」
「真紀! いるのか!?」
揉めているうちにガラッと勢いよく戸が開き、駿介と勝野が入ってきた。
「真紀!」
「何してるんだ、お前ら!」
ゴツッ。
「痛っ!」
駿介たちの突然の乱入に驚いて胸倉を掴んでいた手を急に離したものだから、俺は肩を床にしたたか打ちつけてしまった。
痛いのなんのって……。
「大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫……」
「……の野郎」
俺のシャツが開けられているのに気付き、駿介の顔が一変して鬼のようになった。
凄い形相で谷口を殴ろうしたので、勝野が慌てて止めに入.る。
「おいおい、待て! こいつらは風紀委員に任せよう。すぐ連絡するから」
「一発ぐらい殴らせて下さい!」
「一発で済むのか? 済まんだろう?」
「済みます!!」
勝野の言葉に間を置かずに、駿介が真顔で叫んだ。それに一瞬ひるんだような顔をした後、勝野は毅然と駿介に却下を言い渡した。そして駿介が暴走しないようにと彼の腕を掴みながら、誰かに連絡をつけている。
「――大川、悪いが今すぐ来てくれるか? 風紀委員としてのお前に用がある。――ああ、頼む」
勝野は電話を切ってから、俺の方を向いた。それを見て我に返ったのか、駿介が勝野の腕をほどいて俺のもとに戻って来た。
「すまん、頭に血が上って……。大丈夫か真紀」
「うん、大丈夫。ちょっと、怖かったけど……、駿介達が助けに来てくれたから」
「真紀……」
駿介が俺を引き寄せて、しっかりと抱きしめてくれた。
その温かく強い力に、知らない内にこらえていた恐怖や色んな気持ちが堰を切ってあふれ出した。
「駿介……、駿介っ」
「大丈夫。もう大丈夫だから……」
しっかりと抱きしめてくれる駿介の腕に安堵しながら、俺はうわ言のように彼の名を呼びながら必死ですがりついた。
「そうだな」
……!?
「やめろ……っ、放せ……、モガッ」
叫ぼうとしたら口をふさがれた。しかも谷口は俺の両足に体重を掛けて、暴れられないようにしている。
ちょっとこれ……。マジでヤバい奴だ。
ここで大人しくなんかしていたら、本気で危ない。
そう思ったら躊躇なんてしていられるわけが無い。
俺は口を塞いでいる手に、思いっきりがぶっと噛みついた。
「いってーー! てめえ、何しやがる!」
バシッ!
「つっ……」
怒った男に思いっきり引っ叩かれた。口の端に血の味が滲む。
「お前立場分かってんのかよ!」
切れた男は俺の胸ぐらを掴み、さらに殴ろうという体勢をとる。
俺はぐっと歯を食いしばった。
「おい、落ち着け――」
「真紀! いるのか!?」
揉めているうちにガラッと勢いよく戸が開き、駿介と勝野が入ってきた。
「真紀!」
「何してるんだ、お前ら!」
ゴツッ。
「痛っ!」
駿介たちの突然の乱入に驚いて胸倉を掴んでいた手を急に離したものだから、俺は肩を床にしたたか打ちつけてしまった。
痛いのなんのって……。
「大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫……」
「……の野郎」
俺のシャツが開けられているのに気付き、駿介の顔が一変して鬼のようになった。
凄い形相で谷口を殴ろうしたので、勝野が慌てて止めに入.る。
「おいおい、待て! こいつらは風紀委員に任せよう。すぐ連絡するから」
「一発ぐらい殴らせて下さい!」
「一発で済むのか? 済まんだろう?」
「済みます!!」
勝野の言葉に間を置かずに、駿介が真顔で叫んだ。それに一瞬ひるんだような顔をした後、勝野は毅然と駿介に却下を言い渡した。そして駿介が暴走しないようにと彼の腕を掴みながら、誰かに連絡をつけている。
「――大川、悪いが今すぐ来てくれるか? 風紀委員としてのお前に用がある。――ああ、頼む」
勝野は電話を切ってから、俺の方を向いた。それを見て我に返ったのか、駿介が勝野の腕をほどいて俺のもとに戻って来た。
「すまん、頭に血が上って……。大丈夫か真紀」
「うん、大丈夫。ちょっと、怖かったけど……、駿介達が助けに来てくれたから」
「真紀……」
駿介が俺を引き寄せて、しっかりと抱きしめてくれた。
その温かく強い力に、知らない内にこらえていた恐怖や色んな気持ちが堰を切ってあふれ出した。
「駿介……、駿介っ」
「大丈夫。もう大丈夫だから……」
しっかりと抱きしめてくれる駿介の腕に安堵しながら、俺はうわ言のように彼の名を呼びながら必死ですがりついた。
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