腐男子ですが、お気に入りのBL小説に転移してしまいました

くるむ

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第五章

あっちもこっちも気になる

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これは……!
女神の言っていたフラグと言う言葉が脳裏をよぎる。
柏木達が「ありがとう」と言って、三森の隣へと移動した。

うわ~。
もしかしたら今、柏木が恋に陥る瞬間とかを目撃する立場?

「……真紀、今度は何だ?」
「ふぇっ!? あっ、いや……」

駿介の、困ったような呆れた顔。バツの悪くなった俺は、えへへと笑って誤魔化した。

「……ったく、もしかして水本先輩の事も例の妄想で楽しんでただけなのか?」
「えっ?」

やべ。
やっぱ、バレてた?

「なんだ……、そういう事か。紛らわしいんだよ」

そう言いながら駿介が、くしゃりと俺の髪を掻きまぜた。

「紛らわしいって……」
「真紀が水本先輩のこと嬉しそうに見てたからさ、てっきり好みのタイプなのかと思った」
「ええっ!? んなわけないじゃん。俺にとっての最推しは駿介なのに」
「何だそれ。……とにかく、あんまりよそ見してるなよ」
「へへっ。ごめん」

とは言っても気になるんだよなあ。三森と柏木が本当にくっつくことがあるのかなあとか。

でも! 
優先順位は駿介だ。俺だって早くプロポーズしてもらわないといけないんだから。

「さてと、ごちそうさま」

お皿に残っていたハンバーグを頬張り、駿介が箸を置いた。俺も慌ててサラダを頬張り、味噌汁を飲み込む。

「置いてかないから慌てるなよ」
「でもさ……」

前にも同じこと言われたよな。要するに俺って、ちっとも成長してないってわけだ。

「もう、戻る?」
「……そうだな」

駿介がチラリと青島の方を見る。青島は水本生徒会長と話をしながら、のんびりとご飯を食べている。

「ゆっくりしてるようだから、先に行くか」
「そうだね」

俺は頷いて、駿介と一緒に席を立った。

「先に行くな」
「おう」

青島達は手を振り、一年達は軽く会釈をしてそれに応えた。

チラリと見えた柏木は、三森と何か話をしているようだった。

ああ、気になる。とっても気になる!
でも俺の優先順位は駿介だから。……後で三森にこっそり聞いてやろう。

食堂を出て教室に向かっていると、すぐに駿介が呼び止められた。振り返ると、寮長の勝野が立っている。

「駿介、今月の報告会の事で話があるんだが。今、いいか?」
「ああ、はい……」

チラリと駿介がこちらを見たので、大丈夫と言うつもりで笑顔でうなずいた。
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