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第五章
詰めが甘いんだ
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白熱した体育祭も全種目が終了し、総合優勝などを発表した後閉会した。
俺らは各自椅子を持って教室へと戻り、そのまま解散となった。
「楽しかったけど、疲れた~」
「そうだな。夕飯までまだ間があるから、シャワー浴び終わったら真紀の部屋にいってもいいか?」
「うん、もちろん!」
駿介の提案に嬉々として返事を返したら、色っぽい表情で微笑み返された。
う……。駿介のこの顔、俺弱いんだよな。もぞもぞする。
もちろん顔だけってわけじゃないけど。
「同じ部屋だったらよかったんだけどな」
「しょうがないよ。副寮長なんだし」
駿介は、当然のように俺の部屋までついて来てくれた。きっと谷口を警戒しての行動だ。
谷口と言えば……あれ、どうなるんだろう?
小説内では、谷口の樹に対する嫌がらせは一回きりだった。だけどそれは今回とは違って、良介や駿介が助けに入り大事になったからだ。
「あっ」
「え?」
頭の中でごちゃごちゃ考え込んでいたら思わず声が出てしまい、駿介に聞き返された。
え~と、まずいぞ。なんて誤魔化そう。
「あっ、えっと……。食後に駿介の部屋に行きたいと思ったんだけど、今日も相談事、受け付けているの?」
「今日はお休みだ」
「じっ、じゃあ、今日はゆっくりしてってもいいんだ」
「もちろんだ」
よしっ!
のんびりしている時間はないって言ってたもんな。今日は俺の方から、積極的になってやるんだ。
「じゃあまた後でね。シャワー浴び終わったら、すぐ来てね。待ってるから」
「ああ、飛んで来るよ。鍵、ちゃんと掛けとけよ」
「うん、わかった」
駿介とは手を振って別れて、言われた通りにちゃんと鍵を掛けた。
シャワーを浴びながら、中断していたさっきのことを考えた。
今日の谷口達の件だ。
小説の流れ通り、あれで終わりならいいんだけど、三森が絡んでいたことや誰にも知られずおさまってしまったことが、後にどんな影響があるのか分からずに戸惑っている。
三森は、あいつらに何か吹き込んだんだろうか?
「三森にちゃんと聞いとくべきだった……」
はあっ。
あいつが俺に嫌がらせをして来る事はもう二度とないだろうけど。
「詰めが甘いんだよな、俺」
一人反省会をしながらのシャワーを浴び終え、ベッドの脇に腰かけた。それとほぼ同時に、駿介の声とノック音がした。
俺らは各自椅子を持って教室へと戻り、そのまま解散となった。
「楽しかったけど、疲れた~」
「そうだな。夕飯までまだ間があるから、シャワー浴び終わったら真紀の部屋にいってもいいか?」
「うん、もちろん!」
駿介の提案に嬉々として返事を返したら、色っぽい表情で微笑み返された。
う……。駿介のこの顔、俺弱いんだよな。もぞもぞする。
もちろん顔だけってわけじゃないけど。
「同じ部屋だったらよかったんだけどな」
「しょうがないよ。副寮長なんだし」
駿介は、当然のように俺の部屋までついて来てくれた。きっと谷口を警戒しての行動だ。
谷口と言えば……あれ、どうなるんだろう?
小説内では、谷口の樹に対する嫌がらせは一回きりだった。だけどそれは今回とは違って、良介や駿介が助けに入り大事になったからだ。
「あっ」
「え?」
頭の中でごちゃごちゃ考え込んでいたら思わず声が出てしまい、駿介に聞き返された。
え~と、まずいぞ。なんて誤魔化そう。
「あっ、えっと……。食後に駿介の部屋に行きたいと思ったんだけど、今日も相談事、受け付けているの?」
「今日はお休みだ」
「じっ、じゃあ、今日はゆっくりしてってもいいんだ」
「もちろんだ」
よしっ!
のんびりしている時間はないって言ってたもんな。今日は俺の方から、積極的になってやるんだ。
「じゃあまた後でね。シャワー浴び終わったら、すぐ来てね。待ってるから」
「ああ、飛んで来るよ。鍵、ちゃんと掛けとけよ」
「うん、わかった」
駿介とは手を振って別れて、言われた通りにちゃんと鍵を掛けた。
シャワーを浴びながら、中断していたさっきのことを考えた。
今日の谷口達の件だ。
小説の流れ通り、あれで終わりならいいんだけど、三森が絡んでいたことや誰にも知られずおさまってしまったことが、後にどんな影響があるのか分からずに戸惑っている。
三森は、あいつらに何か吹き込んだんだろうか?
「三森にちゃんと聞いとくべきだった……」
はあっ。
あいつが俺に嫌がらせをして来る事はもう二度とないだろうけど。
「詰めが甘いんだよな、俺」
一人反省会をしながらのシャワーを浴び終え、ベッドの脇に腰かけた。それとほぼ同時に、駿介の声とノック音がした。
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