腐男子ですが、お気に入りのBL小説に転移してしまいました

くるむ

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第四章

三森の願い

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「……僕の願いは、どうなるんですか?」

恨めしそうな三森の言葉に、二人の女神が視線を三森に向けた。

「智紀は恋人が欲しいのよね。だったら私が――」
「ヘレナ、あなたは少し黙っていなさい」
「…………」

女神クレアに咎められて、ヘレナは口を尖らせた。

「駿介の事を操作することは出来ませんけど、あなたにも一度フラグが立ち始めていたんですよ。ただ立ち上がる前に、折られちゃいましたけど」

「えっ? 嘘!」

三森が驚いて素頓狂な声を上げたけど、俺も全く知らないことでビックリした。
誰とだろう、気になる。

「その様子では、本当に気が付いていなかったんですね」
「気付いてませんでした。……どうせモブですよね」
「そうとも言えませんけど」
「ええっ!?」

三森同様、俺も素頓狂な声を上げた。

「そ、それ誰ですか?」
「知りたいですか?」
「もちろんです!」

女神は視線を斜め上に持っていき、少し考える素振を見せた。

「いいでしょう。あなたの動き方次第では、復活もありそうです」

三森が真面目な表情になった。少し緊張しているようだ。
変なんだけど、俺までそわそわしてくる。

「真紀と同じクラスの柏木です」
「ええっ!?」
「はあ……? あっ、まさかあの時の……」
「思い出しましたか、智紀」
「えっ、思い出したって、何かあったっけ?」

俺の知らないうちに何か起こっていたのかと三森を見ると、呆れた表情をされた。

「智紀が駿介の部屋に移動したいと言っていた時があったでしょう」
「……あ」

ああ~、あの時!
そう言えば駿介が、三森に柏木の部屋への移動を勧めていたっけ。

「でも僕、柏木は嫌いじゃないですけど、別に推しキャラってわけじゃないです」
「不服ですか?」
「不服というか……、興味なかったので彼との事を考えたこともなかったから……」
「だけど一度折っちゃったんですよね。それ、もう一度立てられるんですか?」
「そうですねえ……」

女神は意味深な表情を見せて、再度口を開いた。

「智紀」
「……はい」

女神に真顔で呼び掛けられて、三森も慎重に返した。

「あなたがもう二度と樹から主人公の座を奪おうとせずに、自分勝手な波風を立てようとしないのなら私はそこに介入しません。真紀――」

「はい」
「今日のこと、智紀を許せますか?」
「ああ~」

チラッと三森を窺った。目が合うと、こいつはバツの悪い表情になった。

「もう俺や樹に嫌がらせはしないか?」
「……しない」

しない、ねえ。もう一声あるといいんだけどな。

心の中でそう愚痴っていると、その心の声が聞こえたんだろうか?
三森が小さな声で、「ごめんなさい」と呟いた。
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