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第四章
希望を叶えましょう
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「真紀は駿介のことすっごく好きだったし樹とくっ付けたいって願望が強かったから、良いスパイスになるんじゃないかって思ったんですもの」
「それじゃあ、あの時『間違えた』って言ったのはあなたで、本当は芹沢先輩を連れてくるはずが間違って僕を連れて来たってことですか」
「ん~、そうなのよごめんね。※智紀の妄想も半端なかったから間違えて引きずられちゃった」
「……でも、じゃあどうして僕だけじゃなく、追加で芹沢先輩まで連れて来たんですか?」
「それはあなたが主人公の座を、狙おうと思い始めたからよ」
創作の女神クレアが口を挟んだ。その凛とした表情と口調に、三森は少したじろいだ。だけどすぐに、キッと顔を上げる。
「それの何が悪いんです? 僕は知らないうちにこの世界に連れて来られたんですよ? しかも駿介にも相手にされないただのモブで……」
三森は、よほどそれが悔しかったのだろう。女神から目を離さずに、しっかりと文句を言っている。
「……それは本当に申し訳なく思っております。私の監督不行き届きで、あなた方には多大な迷惑を掛けてしまいました」
「…………」
迷惑……、とは言えないんだよな俺の場合。
三森と違って俺は幸せだ。だって会えるわけなんてない推しキャラとこうやって出会えて、しかも恋人になれている。
もちろんどうやって現実世界に戻ったらいいのかという問題はあったけど。
「これからあなた方を元の世界へ戻します」
「え!?」
「今から?」
「不服ですか?」
女神にいやに澄んだ目で見られて一瞬たじろぐ。
だけどやっぱり、こんな中途半端で元の世界に帰るのは嫌だ。
「元の世界に戻りたいとは思うけど、今すぐは嫌です!」
「僕だって……」
「え?」
三森は正直飽き飽きしてると思っていたから、その一言に驚いて彼の顔を見た。
「なんですか? 僕が未練があるって言ったら変ですか?」
「あ、いやだって。不満いっぱいで、俺に嫌がらせしたんだろう?」
「……だからですよ。僕だって、恋人作って自由にイチャイチャしたいじゃないですか」
「三森……」
「僕らの世界では、こんなに大っぴらにゲイの恋人同士が楽しむことなんて出来ないでしょう?」
ああ、そうか。
ここはBL小説の世界で、おまけに偏見のない設定だから居心地はいいもんな。
「――わかりました。貴方がたには迷惑を掛けていますから、どういう帰り方をしたいのか教えて下さい。出来るだけ希望を叶えましょう」
※三森智紀
「それじゃあ、あの時『間違えた』って言ったのはあなたで、本当は芹沢先輩を連れてくるはずが間違って僕を連れて来たってことですか」
「ん~、そうなのよごめんね。※智紀の妄想も半端なかったから間違えて引きずられちゃった」
「……でも、じゃあどうして僕だけじゃなく、追加で芹沢先輩まで連れて来たんですか?」
「それはあなたが主人公の座を、狙おうと思い始めたからよ」
創作の女神クレアが口を挟んだ。その凛とした表情と口調に、三森は少したじろいだ。だけどすぐに、キッと顔を上げる。
「それの何が悪いんです? 僕は知らないうちにこの世界に連れて来られたんですよ? しかも駿介にも相手にされないただのモブで……」
三森は、よほどそれが悔しかったのだろう。女神から目を離さずに、しっかりと文句を言っている。
「……それは本当に申し訳なく思っております。私の監督不行き届きで、あなた方には多大な迷惑を掛けてしまいました」
「…………」
迷惑……、とは言えないんだよな俺の場合。
三森と違って俺は幸せだ。だって会えるわけなんてない推しキャラとこうやって出会えて、しかも恋人になれている。
もちろんどうやって現実世界に戻ったらいいのかという問題はあったけど。
「これからあなた方を元の世界へ戻します」
「え!?」
「今から?」
「不服ですか?」
女神にいやに澄んだ目で見られて一瞬たじろぐ。
だけどやっぱり、こんな中途半端で元の世界に帰るのは嫌だ。
「元の世界に戻りたいとは思うけど、今すぐは嫌です!」
「僕だって……」
「え?」
三森は正直飽き飽きしてると思っていたから、その一言に驚いて彼の顔を見た。
「なんですか? 僕が未練があるって言ったら変ですか?」
「あ、いやだって。不満いっぱいで、俺に嫌がらせしたんだろう?」
「……だからですよ。僕だって、恋人作って自由にイチャイチャしたいじゃないですか」
「三森……」
「僕らの世界では、こんなに大っぴらにゲイの恋人同士が楽しむことなんて出来ないでしょう?」
ああ、そうか。
ここはBL小説の世界で、おまけに偏見のない設定だから居心地はいいもんな。
「――わかりました。貴方がたには迷惑を掛けていますから、どういう帰り方をしたいのか教えて下さい。出来るだけ希望を叶えましょう」
※三森智紀
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