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第四章
腐男子の性なんだよ…… 2
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午後の部もどんどん滞りなく過ぎていき、そろそろ注目のスウェーデンリレーが近づいていた。
今は三年の騎馬戦が行われていて、白熱の試合が行われている。
「スウェーデンリレーに出る人は、そろそろ出て下さい」
「よっしゃ、じゃあ行くか」
「おう」
駿介の掛け声に青島に良介、柏木が応え立ち上がった。みんなの声援を受けて、ぞろぞろと実行委員の後についていく。
「なあなあ樹、ちょっといいか?」
良介が席を外した途端、わらわらと樹の周りに人が集まって来た。
「スウェーデンリレーのさー」
「良介結構足早いよな」
とにかくただ、樹の傍にいたいだけというのは見え見えで、ハッキリ言ってどうでもいい、樹が喜びそうな話題を振っている。
まあなー、気持ちは分かるよ。樹可愛いし、傍にいるとテンション上がるもんな。
傍でボーッと見ている俺の後ろから、ひそひそと話し声が聞こえて来た。
「だから俺はお前だけだって言ってるだろ」
「じゃあ何でさっき、あいつとイチャイチャしてたんだよ」
「してないよ! ちゃんと断ってたの聞いてただろ?」
「でも……」
痴話喧嘩!?
これはもしかしたら、仲直りのおいしい展開に入ってくんじゃないのか?
聞き耳を立てつつこっそり後ろを振り向くと、モブにしては可愛い感じの奴と少しキリッとした美少年が立っていた。
「口で言ってもわからないのなら……」
「えっ、ちょっと待って……!」
キリッとした美少年が可愛い感じの奴の手を掴み、少し強引に引っ張って行く。
うおおっ……!
あれ、あの後の展開って……!
スウェーデンリレー迄には まだ間がある。
ちょっぴり覗いて堪能してからすぐにここに戻ってくればいいんじゃないのか?
ぐずぐしている間に、あいつらの姿が遠くなっていく。俺は反射的にそいつらの後を追っていた。
グラウンドを出るための階段を下りて、トイレがある廊下の奥に入っていく。
これもしかしたら、キスどころかもっと先まで見れるかも……!?
「んぐっ!?」
突然誰かが後ろから俺の口を塞ぎ、すごい馬鹿力で俺をズルズルと引っ張っていく。
驚いて必死で暴れたら、また別の奴が現れて俺の腹を思いっきり殴った。
「い……、つっ」
「急げ、時間がないぞ」
「わかってる」
痛さのあまり悶絶し抵抗できなくなった俺を、そいつらは乱暴に引きずって行った。
今は三年の騎馬戦が行われていて、白熱の試合が行われている。
「スウェーデンリレーに出る人は、そろそろ出て下さい」
「よっしゃ、じゃあ行くか」
「おう」
駿介の掛け声に青島に良介、柏木が応え立ち上がった。みんなの声援を受けて、ぞろぞろと実行委員の後についていく。
「なあなあ樹、ちょっといいか?」
良介が席を外した途端、わらわらと樹の周りに人が集まって来た。
「スウェーデンリレーのさー」
「良介結構足早いよな」
とにかくただ、樹の傍にいたいだけというのは見え見えで、ハッキリ言ってどうでもいい、樹が喜びそうな話題を振っている。
まあなー、気持ちは分かるよ。樹可愛いし、傍にいるとテンション上がるもんな。
傍でボーッと見ている俺の後ろから、ひそひそと話し声が聞こえて来た。
「だから俺はお前だけだって言ってるだろ」
「じゃあ何でさっき、あいつとイチャイチャしてたんだよ」
「してないよ! ちゃんと断ってたの聞いてただろ?」
「でも……」
痴話喧嘩!?
これはもしかしたら、仲直りのおいしい展開に入ってくんじゃないのか?
聞き耳を立てつつこっそり後ろを振り向くと、モブにしては可愛い感じの奴と少しキリッとした美少年が立っていた。
「口で言ってもわからないのなら……」
「えっ、ちょっと待って……!」
キリッとした美少年が可愛い感じの奴の手を掴み、少し強引に引っ張って行く。
うおおっ……!
あれ、あの後の展開って……!
スウェーデンリレー迄には まだ間がある。
ちょっぴり覗いて堪能してからすぐにここに戻ってくればいいんじゃないのか?
ぐずぐしている間に、あいつらの姿が遠くなっていく。俺は反射的にそいつらの後を追っていた。
グラウンドを出るための階段を下りて、トイレがある廊下の奥に入っていく。
これもしかしたら、キスどころかもっと先まで見れるかも……!?
「んぐっ!?」
突然誰かが後ろから俺の口を塞ぎ、すごい馬鹿力で俺をズルズルと引っ張っていく。
驚いて必死で暴れたら、また別の奴が現れて俺の腹を思いっきり殴った。
「い……、つっ」
「急げ、時間がないぞ」
「わかってる」
痛さのあまり悶絶し抵抗できなくなった俺を、そいつらは乱暴に引きずって行った。
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