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第四章

やっと三森を捕まえた

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「よー、一着おめでとう」

実行委員の豊田らが駿介のもとにやって来て、ハイタッチをした。

「お疲れのところ悪いが、今時間あるだろ?」
「何だ?」
「東尾らが些細な事で揉めててさ、埒が明かないから一緒に来てくれないか」
「はあ? なんで俺が。俺は実行委員じゃないぞ」
「わかってる。悪いとは思うけどさ、東尾ちっとも折れないんだよ。だけどあいつ、駿介の言う事は聞くだろう」

頼むと言って、豊田や嶋岡が両手をパンと合わせた。
駿介はそれにため息をついて、俺を見た。

「しょうがないからちょっと行ってくる。――あれ? 青島は?」
「あれ? いないね。トイレかな?」

もしかしたらまだ谷口のことを警戒していて、青島に傍にいるよう頼むつもりだったんだろうか?

「大丈夫だよ、駿介。こんなに人のいっぱいいる所で、あいつだって変な真似なんかしたりしないよ」
「……それはそうだが」
「駿介早く」

痺れを切らした豊田が足踏みしながら催促をする。
駿介はそれにしょうがないなという顔をして溜息を吐いた。

「じゃあ、行って来る。すぐ戻るから」
「うん、行ってらっしゃい」

渋る駿介を心配させないように、俺は笑顔で手を振った。

過保護なんだよなあ、駿介。悪い気はしないけど。

こんなよく晴れた健康的な雰囲気の日は、変なことなんて起きっこないような気がする。
ん~と伸びをしながら周りを見ていると、俺の視界の端に三森が入って来た。思わず慌てて席を立ち、三森の許へと走った。

「三森!」
「芹沢先輩……」

三森の周りには、数人が群がっていた。彼らの表情から見て、どうやら三森にかなり骨抜きにされているらしい。俺の知らないうちに、三森の周りでも変化は着々と起きているようだ。

「話があるんだけど」
「あんた何時も駿介先輩とつるんでる人ですよね? 三森に何か?」

三森が返事をする前に、背の高いモブが三森を守るように前に出て来た。
おい、おい。

「少し二人で話しがしたいんだけど」

俺がそう言うと、そいつはますます威嚇するように俺を睨んだ。

「いいよ、広。大丈夫だから」
「三森……」
「すぐ戻るよ。……行きましょうか」
「おう」

俺も駿介が戻って来るまでには戻っていたいので、グラウンドを降りたすぐ傍に三森を誘導した。
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