47 / 80
第四章
マインドコントロール?
しおりを挟む
大綱引きや棒倒しを終えて、いよいよ二人三脚リレーが始まる。
うあ~、ドキドキする~。
手に汗べったりだし、足もがくがくだ。
「どうした? 緊張してるのか?」
「だって……。俺やっぱり駿介の足引っ張りそうだし」
「そんな事は無いさ。結構練習しただろう? しっかり息も合うようになって来たじゃないか」
「でも俺、足遅いし……」
「大丈夫、練習通りに走れば余裕だ」
「そうかなあ……」
「そうだって。信じろよ」
「うん……」
足が遅く期待されたことのない俺は、リレーのアンカーなんて初めてだ。それなのに選ばれてしまったという事は、やっぱり駿介の存在だけが意識された結果だ。
だから逆を言うと、良い結果が出ない時は……、俺だけの責任だって事なんだよ。
「こら。いつまでも余計なことを考えてると、ここでキスするぞ」
「えっ、ちょっと駿介!」
俺をリラックスさせるための冗談なんだろうけど、俺の背中に腕を回し、引き寄せようとするのは止めてくれ。
あちらこちらから悲鳴のような非難の声が聞こえてきて、余計に居た堪れない。
「真紀」
「いや、だから……」
ここでそんな甘い声出すなよ。
「余計な事は考えるな。外野は無視して、俺と一緒に走ることを楽しめよ」
「駿介……」
「俺なんて、一緒に走っている時の真紀の体温や匂い、それに感触とかを楽しんで走ってるんだぞ」
「えっ、俺匂うの? 臭い?」
「バカ。そういう意味じゃない。わかるだろ?」
ううう……。
だから! こんな大勢の人の前で、腰に来るような甘い声出さないでくれる?
「ああ、本当に可愛いな真紀は。……思いっきり抱きしめたいけどダメだよな?」
「だ……、駄目に決まってるじゃないか……」
こんな時なのに、俺の心臓は競技への緊張のドキドキから、いつの間にか駿介へのドキドキに代わっていた。
「なんだよ、あいつ」
「駿介さまと付き合ってるみたいだけど、調子に乗りやがって」
「知ってるか? 三森って奴の方があいつよりずっと可愛いぜ」
「関係のない奴の声なんて聞くこと無い」
そう言って駿介は、ニコリと笑って俺の両耳を手のひらで覆った。
じわじわと顔が熱くなる。
俺達のすぐ横では、樹と良介が同じようなやり取りをしていたらしいのだけど、惜しいことにその時の俺はちっとも知らなかったんだ。
うあ~、ドキドキする~。
手に汗べったりだし、足もがくがくだ。
「どうした? 緊張してるのか?」
「だって……。俺やっぱり駿介の足引っ張りそうだし」
「そんな事は無いさ。結構練習しただろう? しっかり息も合うようになって来たじゃないか」
「でも俺、足遅いし……」
「大丈夫、練習通りに走れば余裕だ」
「そうかなあ……」
「そうだって。信じろよ」
「うん……」
足が遅く期待されたことのない俺は、リレーのアンカーなんて初めてだ。それなのに選ばれてしまったという事は、やっぱり駿介の存在だけが意識された結果だ。
だから逆を言うと、良い結果が出ない時は……、俺だけの責任だって事なんだよ。
「こら。いつまでも余計なことを考えてると、ここでキスするぞ」
「えっ、ちょっと駿介!」
俺をリラックスさせるための冗談なんだろうけど、俺の背中に腕を回し、引き寄せようとするのは止めてくれ。
あちらこちらから悲鳴のような非難の声が聞こえてきて、余計に居た堪れない。
「真紀」
「いや、だから……」
ここでそんな甘い声出すなよ。
「余計な事は考えるな。外野は無視して、俺と一緒に走ることを楽しめよ」
「駿介……」
「俺なんて、一緒に走っている時の真紀の体温や匂い、それに感触とかを楽しんで走ってるんだぞ」
「えっ、俺匂うの? 臭い?」
「バカ。そういう意味じゃない。わかるだろ?」
ううう……。
だから! こんな大勢の人の前で、腰に来るような甘い声出さないでくれる?
「ああ、本当に可愛いな真紀は。……思いっきり抱きしめたいけどダメだよな?」
「だ……、駄目に決まってるじゃないか……」
こんな時なのに、俺の心臓は競技への緊張のドキドキから、いつの間にか駿介へのドキドキに代わっていた。
「なんだよ、あいつ」
「駿介さまと付き合ってるみたいだけど、調子に乗りやがって」
「知ってるか? 三森って奴の方があいつよりずっと可愛いぜ」
「関係のない奴の声なんて聞くこと無い」
そう言って駿介は、ニコリと笑って俺の両耳を手のひらで覆った。
じわじわと顔が熱くなる。
俺達のすぐ横では、樹と良介が同じようなやり取りをしていたらしいのだけど、惜しいことにその時の俺はちっとも知らなかったんだ。
55
お気に入りに追加
989
あなたにおすすめの小説

守護霊は吸血鬼❤
凪子
BL
ごく普通の男子高校生・楠木聖(くすのき・ひじり)は、紅い月の夜に不思議な声に導かれ、祠(ほこら)の封印を解いてしまう。
目の前に現れた青年は、驚く聖にこう告げた。「自分は吸血鬼だ」――と。
冷酷な美貌の吸血鬼はヴァンと名乗り、二百年前の「血の契約」に基づき、いかなるときも好きなだけ聖の血を吸うことができると宣言した。
憑りつかれたままでは、殺されてしまう……!何とかして、この恐ろしい吸血鬼を祓ってしまわないと。
クラスメイトの笹倉由宇(ささくら・ゆう)、除霊師の月代遥(つきしろ・はるか)の協力を得て、聖はヴァンを追い払おうとするが……?
ツンデレ男子高校生と、ドS吸血鬼の物語。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――
天海みつき
BL
族の総長と副総長の恋の話。
アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。
その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。
「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」
学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。
族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。
何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。

イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる