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第一章
何で俺!!
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「ちょっと何だよ、あれ。柏木俺らのこと無視してー」
「そうだよな。運動神経鈍い俺らには、このリレーが一番合ってるのに」
樹は俺のちょうど前の席だ。俺の方に振り向いて、二人で柏木への文句を言い合っている。だって、全員参加の綱引きとか以外にも、どれか一つ出ないといけないんだ。焦るに決まってる。
目立つスウェーデンリレーとか最悪だし、後目指すものはやっぱり10人11脚辺りか。
「じゃあ次は、二人三脚リレー。立候補する人」
これは5組10名だ。……これもパスだな。俺足遅いし、一緒に組む人の迷惑になるもん。
「立候補いませんか?」
「じゃあ俺と、岩瀬で」
「町田と岩瀬ね。あと8名、誰か居ませんか?」
「…………」
先に10人11脚を決めればスムーズだったのに。
……あ、そうだった。確かこの後誰も立候補しないから、その後推薦になって樹と駿介の取り合いみたいになるんだったっけ。
「推薦にしちまえばー?」
青島の声が飛んだ。
小説通りだ。それでその後―― 。
「そうですね。じゃあ誰か挙げて下さい」
「んー、じゃあ盛り上がりを考えて駿介と樹」
「おま……、何考えてるっ!」
青島の推薦に駿介が怒りの声を上げた。それに対して青島は「まあまあ」と駿介をなだめるような素振をした後、ボソッと何かをささやいた。
……こんなシーンあったっけ?
確実に少しずつ、俺が読んだ小説の感じと些細なことが微妙に違っている。やっぱりこれって、本当は登場しない俺が混じっているせいなんだろうか?
「ちょっと待ってよ、俺なんかの推薦しないでよ。足引っ張っちゃうじゃないか」
焦る樹に、良介もなんだか落ち着かない。
「クラスのみんなの為だ我慢してくれ。――心許ないなら、追加で真紀も推薦する」
「はあっ?」
続いての青島の爆弾に、今度は俺が素っ頓狂な声を上げる番だ。なんで俺!? 自慢じゃないが俺は部外者だぞ!
「これで5人集まりました。あと5人、自薦他薦問いませんよ」
俺らの抗議はスルーかよ?
あ、樹と駿介はこれでいいんだった。
「はい、俺立候補してもいい」
「俺も」
「俺もしてやるよ」
「僕も立候補する」
樹と駿介に釣られた奴らが我も我もと手を挙げた。その中には、もちろん良介も入っていた。
確かこの後の展開って、みんなが樹と駿介を取り合ったせいで、青島が強固なリーダーシップをとって樹と駿介を組ませたんだよな。
とにかく今の段階では人数が多過ぎる。
……よし、抜けよう。本編に関係ない俺が、わざわざ面倒臭い思いをしなくてもいいだろう。
席を立って手を挙げた。
「柏木ー、俺人数多いから……」
「俺と真紀、ペアな」
「えっ、ええっ?」
俺の言葉を遮って、駿介が俺とのペアを宣言した。
何で!?
周りもザワザワとざわめいたが、俺も驚愕した。
何で小説の流れと違う展開になってるんだよ!
驚く俺をよそに、駿介は静かに微笑んでいた。
「そうだよな。運動神経鈍い俺らには、このリレーが一番合ってるのに」
樹は俺のちょうど前の席だ。俺の方に振り向いて、二人で柏木への文句を言い合っている。だって、全員参加の綱引きとか以外にも、どれか一つ出ないといけないんだ。焦るに決まってる。
目立つスウェーデンリレーとか最悪だし、後目指すものはやっぱり10人11脚辺りか。
「じゃあ次は、二人三脚リレー。立候補する人」
これは5組10名だ。……これもパスだな。俺足遅いし、一緒に組む人の迷惑になるもん。
「立候補いませんか?」
「じゃあ俺と、岩瀬で」
「町田と岩瀬ね。あと8名、誰か居ませんか?」
「…………」
先に10人11脚を決めればスムーズだったのに。
……あ、そうだった。確かこの後誰も立候補しないから、その後推薦になって樹と駿介の取り合いみたいになるんだったっけ。
「推薦にしちまえばー?」
青島の声が飛んだ。
小説通りだ。それでその後―― 。
「そうですね。じゃあ誰か挙げて下さい」
「んー、じゃあ盛り上がりを考えて駿介と樹」
「おま……、何考えてるっ!」
青島の推薦に駿介が怒りの声を上げた。それに対して青島は「まあまあ」と駿介をなだめるような素振をした後、ボソッと何かをささやいた。
……こんなシーンあったっけ?
確実に少しずつ、俺が読んだ小説の感じと些細なことが微妙に違っている。やっぱりこれって、本当は登場しない俺が混じっているせいなんだろうか?
「ちょっと待ってよ、俺なんかの推薦しないでよ。足引っ張っちゃうじゃないか」
焦る樹に、良介もなんだか落ち着かない。
「クラスのみんなの為だ我慢してくれ。――心許ないなら、追加で真紀も推薦する」
「はあっ?」
続いての青島の爆弾に、今度は俺が素っ頓狂な声を上げる番だ。なんで俺!? 自慢じゃないが俺は部外者だぞ!
「これで5人集まりました。あと5人、自薦他薦問いませんよ」
俺らの抗議はスルーかよ?
あ、樹と駿介はこれでいいんだった。
「はい、俺立候補してもいい」
「俺も」
「俺もしてやるよ」
「僕も立候補する」
樹と駿介に釣られた奴らが我も我もと手を挙げた。その中には、もちろん良介も入っていた。
確かこの後の展開って、みんなが樹と駿介を取り合ったせいで、青島が強固なリーダーシップをとって樹と駿介を組ませたんだよな。
とにかく今の段階では人数が多過ぎる。
……よし、抜けよう。本編に関係ない俺が、わざわざ面倒臭い思いをしなくてもいいだろう。
席を立って手を挙げた。
「柏木ー、俺人数多いから……」
「俺と真紀、ペアな」
「えっ、ええっ?」
俺の言葉を遮って、駿介が俺とのペアを宣言した。
何で!?
周りもザワザワとざわめいたが、俺も驚愕した。
何で小説の流れと違う展開になってるんだよ!
驚く俺をよそに、駿介は静かに微笑んでいた。
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