2 / 80
第一章
せっかくだから願望成就するぞ
しおりを挟む
「もうー、遅いよ。早く顔を洗って」
「あ、うん」
現れたのは、大きな瞳が印象的な可愛らしい男子。どこかで会ったような気がするのだけど……。
しかもあの制服。
「あっ!」
「えっ、な、何?」
「あ、ううん。急ぐね」
そうだ、そうだよ。『男なのに彼氏が出来ました』の樹じゃん。
ってことは、何? 俺まだ夢でも見てるの?
ギュムっと頬をつねってみた。
いって! 痛たたた……。
信じられないけどこの痛さは夢じゃない。
てことは、ここは『坂上男子高等学校』の寮の部屋!?
もしかして……。これはもしかしなくても……、駿介に会えるってことじゃない?
それでもって話の進行具合では、樹と駿介の仲を俺が取り持つことが出来るかもしれないじゃないか!
小説の中に居るとか訳わからない状態に混乱はしているけど、俺にとって美味しい状況には間違いないんだと思い込むことにした。だってそうでもしないと、精神のバランスが保てない。
現実逃避と言われようが、俺は俺の思う通りのハッピーエンドに変えていくことに全力を尽くすことを心に誓った。
「お待たせー」
「じゃ、行こうか」
樹の笑顔はやっぱり可愛い。食堂に向かう道すがら、出会う人たちみんなが樹に目を向けて行く。
そうだよな。主人公は皆の注目の的だ。
「ねえ、真紀。俺ずっと思ってたんだけど、真紀は一人部屋って向かないんじゃない?」
「え?」
そう言えば、みんな2人部屋の設定だよな。何で俺だけ……、あ、違った。
寮長とか副寮長とか役職の付いている人達は個室が与えられていたっけ。
「もともと一人余っているからということで真紀が一人部屋になっちゃってたけど、その後鈴木が転校して行って柏木も一人になっただろ? 年度途中だけど、柏木の部屋に移っちゃえば?」
柏木……?
柏木って確か、生真面目でそこそこ顔が良くて少数だけどファンがいる設定だったよな。
柏木と同室になったら、柏木目当ての奴がやって来て、いちゃいちゃするところを間近で見れるのかな?
「真紀? 顔、変」
樹に変な目で見られて慌てて両手で顔をパシンと叩いた。
いかん、いかん。男同士がいちゃいちゃするかもって想像しただけで、顔がニヤける。
「あ、ごめん。でも、そうだね。柏木だったらしっかり朝起こしてくれそうだよね」
「だろう? 後で駿介に相談してみようぜ」
「そうだね! 賛成!」
二年生なのに、駿介副僚長の設定万歳!
さっそく駿介と樹のツーショットが見れるんだ!
めっちゃ楽しみ!
「あ、うん」
現れたのは、大きな瞳が印象的な可愛らしい男子。どこかで会ったような気がするのだけど……。
しかもあの制服。
「あっ!」
「えっ、な、何?」
「あ、ううん。急ぐね」
そうだ、そうだよ。『男なのに彼氏が出来ました』の樹じゃん。
ってことは、何? 俺まだ夢でも見てるの?
ギュムっと頬をつねってみた。
いって! 痛たたた……。
信じられないけどこの痛さは夢じゃない。
てことは、ここは『坂上男子高等学校』の寮の部屋!?
もしかして……。これはもしかしなくても……、駿介に会えるってことじゃない?
それでもって話の進行具合では、樹と駿介の仲を俺が取り持つことが出来るかもしれないじゃないか!
小説の中に居るとか訳わからない状態に混乱はしているけど、俺にとって美味しい状況には間違いないんだと思い込むことにした。だってそうでもしないと、精神のバランスが保てない。
現実逃避と言われようが、俺は俺の思う通りのハッピーエンドに変えていくことに全力を尽くすことを心に誓った。
「お待たせー」
「じゃ、行こうか」
樹の笑顔はやっぱり可愛い。食堂に向かう道すがら、出会う人たちみんなが樹に目を向けて行く。
そうだよな。主人公は皆の注目の的だ。
「ねえ、真紀。俺ずっと思ってたんだけど、真紀は一人部屋って向かないんじゃない?」
「え?」
そう言えば、みんな2人部屋の設定だよな。何で俺だけ……、あ、違った。
寮長とか副寮長とか役職の付いている人達は個室が与えられていたっけ。
「もともと一人余っているからということで真紀が一人部屋になっちゃってたけど、その後鈴木が転校して行って柏木も一人になっただろ? 年度途中だけど、柏木の部屋に移っちゃえば?」
柏木……?
柏木って確か、生真面目でそこそこ顔が良くて少数だけどファンがいる設定だったよな。
柏木と同室になったら、柏木目当ての奴がやって来て、いちゃいちゃするところを間近で見れるのかな?
「真紀? 顔、変」
樹に変な目で見られて慌てて両手で顔をパシンと叩いた。
いかん、いかん。男同士がいちゃいちゃするかもって想像しただけで、顔がニヤける。
「あ、ごめん。でも、そうだね。柏木だったらしっかり朝起こしてくれそうだよね」
「だろう? 後で駿介に相談してみようぜ」
「そうだね! 賛成!」
二年生なのに、駿介副僚長の設定万歳!
さっそく駿介と樹のツーショットが見れるんだ!
めっちゃ楽しみ!
148
お気に入りに追加
989
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

イケメンに惚れられた俺の話
モブです(病み期)
BL
歌うことが好きな俺三嶋裕人(みしまゆうと)は、匿名動画投稿サイトでユートとして活躍していた。
こんな俺を芸能事務所のお偉いさんがみつけてくれて俺はさらに活動の幅がひろがった。
そんなある日、最近人気の歌い手である大斗(だいと)とユニットを組んでみないかと社長に言われる。
どんなやつかと思い、会ってみると……

俺の親友のことが好きだったんじゃなかったのかよ
雨宮里玖
BL
《あらすじ》放課後、三倉は浅宮に呼び出された。浅宮は三倉の親友・有栖のことを訊ねてくる。三倉はまたこのパターンかとすぐに合点がいく。きっと浅宮も有栖のことが好きで、三倉から有栖の情報を聞き出そうとしているんだなと思い、浅宮の恋を応援すべく協力を申し出る。
浅宮は三倉に「協力して欲しい。だからデートの練習に付き合ってくれ」と言い——。
攻め:浅宮(16)
高校二年生。ビジュアル最強男。
どんな口実でもいいから三倉と一緒にいたいと思っている。
受け:三倉(16)
高校二年生。平凡。
自分じゃなくて俺の親友のことが好きなんだと勘違いしている。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。

なんでも諦めてきた俺だけどヤンデレな彼が貴族の男娼になるなんて黙っていられない
迷路を跳ぶ狐
BL
自己中な無表情と言われて、恋人と別れたクレッジは冒険者としてぼんやりした毎日を送っていた。
恋愛なんて辛いこと、もうしたくなかった。大体のことはなんでも諦めてのんびりした毎日を送っていたのに、また好きな人ができてしまう。
しかし、告白しようと思っていた大事な日に、知り合いの貴族から、その人が男娼になることを聞いたクレッジは、そんなの黙って見ていられないと止めに急ぐが、好きな人はなんだか様子がおかしくて……。

【完結】小石の恋
キザキ ケイ
BL
やや無口な平凡な男子高校生の律紀は、ひょんなことから学校一の有名人、天道 至先輩と知り合う。
助けてもらったお礼を言って、それで終わりのはずだったのに。
なぜか先輩は律紀にしつこく絡んできて、連れ回されて、平凡な日常がどんどん侵食されていく。
果たして律紀は逃げ切ることができるのか。

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる