腐男子ですが、お気に入りのBL小説に転移してしまいました

くるむ

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第一章

ここはどこ?

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「ああ~、やっぱり何度読んでも駿介しゅんすけが一番かっこいいよな。何でいつきは駿介とくっつかないかな」

駿介とは、『男なのに彼氏が出来ました』の当て馬キャラだ。クールな美形で普段は何を考えているのかわからない所があるくせに、いざとなると頼りがいのある優しい奴だ。
樹の事を一途に思っていたのに、結局は結ばれなかった。

「本当にさあ、樹は見る目がないよな。俺だったら絶対駿介を選ぶんだけどな」

よし、妄想の中でくらいは駿介と樹をくっつけてやるぞ。

電気を消して布団の中に潜り込んだ。
大好きな駿介の事を妄想しながら ――。




ドンドンドンドン。
ドンドンドンドン。

あまりに煩いドアを叩く音に目が覚めた。

「真紀ー、起きろー!」
ドンドンドン。


……誰だよ、こんな朝っぱらから。

「早く起きないと、飯食いっぱぐれるぞ!」

飯?
て、誰?

いつも朝の弱い俺を起こしに来るのは母さんだ。俺は一人っ子だから兄貴はおろか弟だっていない。

……あの声、誰?

ぼーっとする頭を無理やり持ち上げて驚いた。
俺が今いるこの部屋は、俺の部屋ではない。どういう事だ!?

突然見知らぬ場所に放り出されている現実に、頭がついてこない。俺のパニックをよそに、ドアはまだ叩き続けられている。

「真紀、起きたか?」

どうしよう、どうしよう。マジやばい。誰だよあいつ。

「真紀?」

どうやらいない振りは出来ないようだ。仕方がないから、意を決して返事をした。

「お、起きた」
「じゃあ待っててやるから、ここ開けろよ」

開ける?
うーわー、どうしよおぉぉぉぉ。

だけど、多分このままここで籠城する訳にもいかないだろう。

俺は深呼吸をして鍵を開け、ドアを開けた。
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