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第一章
衝撃の美人
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みんなが男に対して美人と言うくらいだから、相当綺麗な顔なのだろうけどあの強さだ。
きっとキリリとした凛々しい感じに違いない。
早く面を外してくれとじりじりしながら見ていると、その美人は礼をして戻った後、正座して面の紐を外しだした。
――パサッ
汗で少し濡れた黒髪が、煌びやかに舞う。
俺の目に映し出されたのは凛々しい顔なんかじゃなく、しかも気の強そうな感じでもない。
伏目がちな瞳を覆う長い睫毛。息を整えようと少し開いた唇が色っぽい。
――そしてそれ以上に、勝負に勝った後なのに静かすぎるその表情が、まるで何かに憂えているようにさえ見えて俺の心が騒めき始める。
透き通った素肌にほんのりと色づくピンク色の頬も愛らし過ぎて、頭の中は真っ白になった。
呆然とした。
呆然として、目が釘付けになる。逸らすことが出来ない。
ドクンドクンドクンドクン。
ドクンドクンドクンドクン。
す、すごい音だ。
心臓がこんなに激しく動くなんて今まで知らなかった。
「……蒼空?」
「蒼空! 蒼空ったら!!」
「え!? あ、な、なに」
美人から……、いや、御影さんから目が離せなかった。
慌てて陽翔の方を向くと、にやにやした表情で俺を見ている。
「何? 御影先輩に一目ぼれでもした?」
「え!?」
思わぬ指摘に、ボムッと顔が熱くなる。
ひと……、ひ、一目惚れ!?
うわーーーーーっ!
マジでか!?
そうだよ俺、俺今まで誰かを見て、こんな呼吸困難みたいな状態に陥ったこと無いよ!
紛れもない事実だった。
綺麗な顔なんて、嫌になるくらい見飽きているはずなのに、一目惚れなんてありえないと思っていたのに……。
俺はあの、最強としか表現できないあの人に、あの綺麗な御影さんに……、しっかり一目惚れをしてしまっていた。
きっとキリリとした凛々しい感じに違いない。
早く面を外してくれとじりじりしながら見ていると、その美人は礼をして戻った後、正座して面の紐を外しだした。
――パサッ
汗で少し濡れた黒髪が、煌びやかに舞う。
俺の目に映し出されたのは凛々しい顔なんかじゃなく、しかも気の強そうな感じでもない。
伏目がちな瞳を覆う長い睫毛。息を整えようと少し開いた唇が色っぽい。
――そしてそれ以上に、勝負に勝った後なのに静かすぎるその表情が、まるで何かに憂えているようにさえ見えて俺の心が騒めき始める。
透き通った素肌にほんのりと色づくピンク色の頬も愛らし過ぎて、頭の中は真っ白になった。
呆然とした。
呆然として、目が釘付けになる。逸らすことが出来ない。
ドクンドクンドクンドクン。
ドクンドクンドクンドクン。
す、すごい音だ。
心臓がこんなに激しく動くなんて今まで知らなかった。
「……蒼空?」
「蒼空! 蒼空ったら!!」
「え!? あ、な、なに」
美人から……、いや、御影さんから目が離せなかった。
慌てて陽翔の方を向くと、にやにやした表情で俺を見ている。
「何? 御影先輩に一目ぼれでもした?」
「え!?」
思わぬ指摘に、ボムッと顔が熱くなる。
ひと……、ひ、一目惚れ!?
うわーーーーーっ!
マジでか!?
そうだよ俺、俺今まで誰かを見て、こんな呼吸困難みたいな状態に陥ったこと無いよ!
紛れもない事実だった。
綺麗な顔なんて、嫌になるくらい見飽きているはずなのに、一目惚れなんてありえないと思っていたのに……。
俺はあの、最強としか表現できないあの人に、あの綺麗な御影さんに……、しっかり一目惚れをしてしまっていた。
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