最強美人が可愛い過ぎて困る

プロローグ

「蒼空―！　お前、部活いつから？」
「え？　もうそろそろ行くけど」

授業が済んで片付けていたら、陽翔と由羽人がワクワクと言った感じで近づいてきた。

「ちょっとだけ寄り道しろよ。剣道部の練習試合見に行こうぜ。因縁の堂坂高校が来てるらしいぞ」

「あー……」

そういや、大杉先輩も剣道部の練習試合を見に行くのなら少しくくらい遅れても構わないって言ってたっけ。顧問の先生もＯＫしてたし。
剣道なんてあまり興味は無いけど……。

俺の目の前では、最近から付き合い始めた友人らが楽しそうに俺を見つめている。
今が一番２人でいて楽しい時期だろうから、２人で行ってくれば良いのに……。

「ねえ、行こうよ蒼空。剣道部の主将ってすごく綺麗な人なんだよ」
「由羽人……。なにお前、あの人目当てなわけ？」

由羽人の天然な発言に、耳ざとく反応した陽翔が嫉妬の炎を燃やしている。

「な、なに言ってんだよ！　言っただろ？　俺の好みは陽翔みたいな正当な美少年だって！」
「由羽人……」

耳まで真っ赤にして慌てて反論する由羽人に、案の定陽翔がとろけるようなメロメロな表情になっていく。

「可愛い、由羽人！」
「ギャー！　バカ―、離せ陽翔！　みんな見てるだろー！！」


……はあ。
もう、なんなのこいつら。連日のように中てられているこっちの身にもなってくれ。


でも、そうだな。あの言い回しからしたら、きっと大杉先輩も練習試合を見に行くのかもしれない。
先輩がいない部活に急いで行く意味もないか。

「よし！　じゃあ行くか」

荷物をよいしょと肩にかけて教室を出ると、陽翔と由羽人も慌てて後をついてきた。

「ちょっと待てー！　お前、俺らを置いていくな―ー！」
「待ってよ、蒼空―！」


付き合い始めたからと言っても、この２人は親友同士でもあるんだ。
おかげで俺ら３人の友人関係は、相変わらず続いているのだった。