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エピローグ

後編

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「あの……」
「なんだ?」

「……部活の時も、そんなんですか?」
「え?」

「その、着替える時に、上半身裸のままで気にしないで皆の前でウロウロするとか……」
「……上半身。いや、普通に暑い時は下着だけでウロウロするぞ」
「や、止めてください!!」

「うわっ! なんだ!?」

本気で焦って飛び掛かったから御影さんもびっくりしたようだ。
だって、これは俺の死活問題だ!

「あ、えと。まずは着替えましょう」
「……おう」

  ☆
  ☆
  ☆

「いいですか、御影さん」
「…………」

あれから、着替え終わったところで母さんからご飯の準備が出来たと声を掛けられたので、まずは朝食を済ませてからまた俺の部屋に戻って来た。
そして今、恋人としての説教タイムだ。

「お願いですから、その……御影さんの綺麗な肌を見る権利は俺だけのものにしてください」
「……権利」

「そうですよ! 好きな人の裸……、いや、肌は……、他人には見せたくないものなんです。特に御影さんはモテるんだから、他の誰かのおかずになんてなってるのかと思ったら、いてもたってもいられないです!」

「……だけど暑いんだ」

ぽつりと呟く御影さん。

……確かに、部活後は暑いよな。しかも剣道なんて、道着を着てるだけでも暑そうだ。

「……じゃあ、せめて上半身だけで。タオルを首に掛けて大事なところは隠してください。それなら渋々ですけどオーケーします」
「…………」

独占欲丸出し。
分かってますよ、分かってますけど……!
これだけは譲れないんです!

必死の思いでじっと御影さんを見つめ、ドキドキしながら返事を待った。


「……分かった。そこまで言うなら善処する」
「あ、ありがとうございます!」
「その代わり!」

了承してくれたことが嬉しくて、御影さんに飛びつこうとしたら片手を突き出し制された。


「……また、ここに招待しろ。その時は、またそのシャツ来てやるから」
「……!!」


本当に。


本当に俺はこの人には敵わない。


ほれぼれするほどかっこいいのに可愛すぎるこの人に、俺はきっと一生敵わないのだろう。

振り回されることを前提に。


「はい。何度でも来てください。御影さんならいつでもウエルカムですから」

「……そうか」


うれしそうに微笑む御影さんに、そっと近づき唇を寄せる。
一瞬キョトンとした後に、御影さんはゆっくりと瞼を閉じた。


甘くて柔らかくて愛らしい唇。




俺の恋人は本当に最強の人です。
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